風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

楽書き雑記「あいちトリエンナーレ散歩⑥古民家の展示場が人気の岡崎市内会場へ













あいちトリエンナーレに、名古屋市以外の参加都市として豊橋市とともに参加している岡崎市。とりわけ岡崎市は前回から参加しており、今回は古民家を展示場にするなどトリエンナーレに取り組む意欲がうかがえます。興味深い作品にもいくつか出会えました。

岡崎市内の会場は東岡崎・康生・六供の3会場。
康生会場の中の岡崎シビコ6階フロアには3つの作品が展示されていますが、観覧にはかなり長い時間を要しました。
そのひとつ、「トランスディメンション イメージの未来形」(ディレクター 後藤繁雄)というプロジェクト。正直言ってトランスディメンションなんて、ちんぷんかんぷんでしたが、解説などを読むと写真表現のこれからをテーマにしているようです。

写真の世界は、デジタル化やパソコンの画像処理、3Dプリンターによる立体化などで「写真とは」の定義も定かではなくなりつつあります。現代アートを含む絵画や彫刻などアートの世界全体が大転換期を迎えた、といえるでしょう。
高校生の写真展会場で審査員の先生が「もうITを制約するなんてできません」と話していたのを思い出します。絵画などの制作過程にも様々なITの活用が浸透してくることでしょう。

僕は写真の専門ではありませんが、仕事ではいつもカメラを携帯し、現像・焼き付けも体験してきました。もうその必要性は無さそうな年齢とはいえ、この大転換期を少しでも理解したいとアーティストたちの作品に見入りました。

岡崎シビコ6階では、岡崎の伝統産業である花火を小型の温室花壇ほどのガラス室内で爆発させ、飛び散った無数のガラス片を接着剤でつないで元に戻したような作品も。案内書には「作為と無作為のあいだに生まれる不確定な範囲を精確に捉える」とありました。
近くの国道一号線沿いにある戦後まもなく建ち、モダニズム建築の面影が残る岡崎表屋ビルでは、インドからやってきた作家が家具なども生かして岡崎の歴史や文化を表現していました。

六供(ろっく)会場の「石原邸」は、閑静な街の中に江戸期からたたずむ登録有形文化財の古民家です。

訪ねた日が週末だったとはいえ、観覧者の多さにびっくり。若い人だけでなく年配の人たちの姿で埋まり、僕の一連のトリエンナーレ会場めぐりの中では一番の賑わいです。

こんなに多くの人が訪れるのは、なぜ?

疑問は展示コーナーに入ってすぐ解けました。

32種48本のビンに入った香辛料の匂いを楽しめるコーナー、今にも壊れそうな薄いつくりの陶器の花瓶を手にして、展示位置を自由に変えてみることができるというコーナー、岡崎特産の八丁味噌をとかした液の変化の写真が飾られたふすま・・・。
「作品には手を触れないでください」の制約が多い中で、観覧者参加型や触れることのできる作品はどの会場でも人気のようです。

古民家の昔懐かしい造りの居間と中に残る年代物の装飾品、土間に置かれた昔の生活用具、日本庭の造りも現代アートの展示物とマッチしています。
ボランティアたちの丁寧で、にこやかな説明と応対も印象的でした。

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これで「あいちトリエンナーレ2016」の会場散歩シリーズを終わります。
今回のトリエンナーレの会期は、10月23日までです。
僕も休館などで見ることができなかった作品や、展示期間が限定されている作品、もう一度見たい作品などと会いに出かけたいと思っています。

     
           
 

 
岡崎特産の八丁味噌を解かしてできた変化の美が表現されています
 

 


モダニズム建築の展示場・岡崎表屋


六供会場の登録有形文化財「石原邸」

 

 

 


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