風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

楽書き雑記「巨岩と断崖と弘法大師と=高知県東部の旅・ジオパークの街・室戸市へ①」

 

高知県東部の旅は、市の全域が世界ジオパークに認定されている県東端の室戸市へ。

以前、マイカーでこちらの方へやってきた時は、日程のやりくりがつかずにちょっと見ただけ。その反省と今回は4人連れということで観光タクシーのお世話になりました。
まず、これまで日本に上陸した大型台風を真っ先に受け止めてきた室戸岬です。

どこまでも広がる太平洋の海原。遠くからやってきた大波をはじき返す巨大な岩々。切り立つ断崖。まさに大自然のアートです。折から沖合にある台風の影響で寄せるうねりや波も高いようです。

同じ高知県の西端にある足摺岬に立った時と同様、気分が高揚します。水平線を見つめながら「向こうはアメリカ。なんちゅうたち(何といっても)土佐の隣はアメリカぜよ(だよ)」と気炎をあげていた子供のころを思い出しました。

幾重にも重なる海崖と剣先のような巨岩の間を歩きます。
ハマユウ、サボテン・・・。中南米からの帰化植物で生態系を壊しかねないと対策が論議されているというリュウゼツランも。

巨大なタコのような樹木にも出会いました。国の天然記念物に指定されている「アコウ」です。亜熱帯ではよく見かけますが、枝や幹から垂らした何本もの気根で岩にへばり付いて成長、樹高を低くすることで猛烈な台風から身を守っているようです。

振り返った向こうの山には室戸岬灯台。レンズの直径2・6㍍、光の到達距離は日本一の49キロだそうです。

 「むろとジオパークセンター」へ。
ヒトが生きる地球(大地)の自然・歴史・文化遺産を教育やツーリズムを通して保全していこうという、ユネスコの世界ジオパークに室戸が認定されたのは2011年。以来、自然体験やツアーなどの基地になっています。

数多くの展示資料の中で、くぎ付けになったのは巨大地震の発生源である海溝の立体模型。ここは台風だけでなく地震観測の最前線でもあるのです。
100年前後ごとに繰り返されている南海トラフ巨大地震に備え、津波避難所や海抜を示す数字をあちこちで見かけます。

かつて土佐備長炭の生産で栄えた室戸市内の吉良川町にも立ち寄ってきました。土佐漆喰を使った土蔵などの街並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

室戸には室戸山最御崎寺(むろとざんほつみさきじ)など、四国八十八ケ所霊場の札所が3カ所もあります。
近くには19歳の弘法大師が修行したという洞窟・御厨人窟(みくろど)。中へは入れませんでしたが、入ったところで凡人には何も悟ることはできないでしょう。

大師ゆかりの地のわりには、お遍路さんの姿をあまり見かけません。猛暑の昼間は避けて夜間に歩く人が多いと聞きました。近くには青年大師像、さらに幕末の志士・中岡慎太郎像もありました。

遍路といえば、現役時代の仲間の一人は退職後、①引き返すことなく最後まで歩き通す②ケータイは持参しない②宿坊は利用してもホテルには泊まらない――などを自分に誓い、八十八ヶ所の全行程を打ち上げました。話を聞きながら、尊敬の念と己の甘さを痛感したものです。

明日は人気の「廃校水族館」です。

 

弘法大師が修行した洞窟・御厨人窟(みくろど)

青年大師像

 

中岡慎太郎像

 

  


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