名古屋市民ギャラリー栄で開かれている、コンピューターグラフィックアートの個展を見てきました。岐阜市在住の小栗シゲオさん(76)。「以前はグラフィックデザイナーとして、印刷会社などと契約した仕事をこなしていたのですが、それを辞めて何ら制約を受けることなく、自由気ままに生み出している作品を見てください」と話しています。13日(日)まで。
「60歳になった時、プロとしての制作を辞めました。若い人たちの力に、自分はもう・・・と思ったからです」「でも、それからは描きたいものを描き、究めていくことができ、楽しくなりました」と小栗さん。
ヨーロッパの古城やアフリカ大陸の自然動物園などへも出かけて取材。スケッチ画をもとにコンピューターソフトを使って描いていきます。
色調を変えたり、図形を変更したり。「これまでに描いたのも取り出して、手直ししてみるのも楽しいひとときです」と話します。
個展は14回目。「生命の讃歌」と題して、自然と静物、女性と風景をサブテーマに描いた30~50号大の作品が会場いっぱいに並んでいます。抽象的な作品も何点か。
正直にいえば、コンピューターでの絵画制作の経験がない僕は、近年の電脳アート作品を見ながら「コンピューターだから描けるのだろうな」といった考え方がありました。しかし、当然ながら、作者の感性や表現力があってこそ、これだけの作品を生み出せることを知りました。
これからの制作目標がありましたら――の問いに、小栗さんは答えてくれました。
「もっと僕の個性を出した作品を描くことです。実はプリントはしていませんが、もう何作かできています」
来年以降の個展での拝見が楽しみです。