愛知県刈谷市井ヶ谷町の小堤西池にある、広大なカキツバタの群生地を訪ねてきました。
ここ数年、この地方のカキツバタやハナショウブ園では気になる生育状況が見られますが、小堤西池の守る会の話では「今年は少し開花が遅れているものの、蕾の状態から見るといい方ではないかと思っています」とのことです。
池というより水田のような小堤西池のカキツバタは、毎年5月中旬ごろから下旬にかけて咲き、京都府・大田の沢、鳥取県岩美町の唐川と並ぶカキツバタの3大群生地のひとつ。
1938年(昭和13年)に国の天然記念物に指定されています。
小堤西池のカキツバタも花数の減少などに見舞われていますが、除草剤が使えないなど天然記念物ならではの制約も多い中で、守る会を中心に熱心な保護活動に取り組んでいます。
年2回の除草作業や、水源になっている近くの丘陵地の竹林の伐採。特に9月には、数日かけて企業や大学・高校生ら大勢のボランティアが、池にはびこるヨシや雑草を汗と泥にまみれて取り除くなどしています。
池の周りを歩きました。
青い装いのカキツバタが風に揺れ、水面に映ります。
大きな花弁で色とりどりに咲き誇るハナショウブのような華やかさはありません。清楚で気品があって控えめで・・・。
天然記念物保護のため、駐車場からも600mほど歩かねばなりませんが、田園や雑木林の風景も和ませてくれます。
まだ多くの蕾が見られます。「今月下旬まで楽しめます。みんなで頑張りますから来年も見に来てください」。守る会会員のこんな言葉を背に池を後にしました。