風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

楽書き雑記「二の足を踏んでいた展覧会を見てきました=ファン・デ・ナゴヤ美術展2019」

  

「僕にはなかなか理解できないだろう」。そう思って二の足を踏んでいた展覧会を、名古屋市民ギャラリー矢田(地下鉄ナゴヤドーム前矢田)で見てきました。
「ファン・デ・ナゴヤ美術展2019」(27日まで)。一般的な作品展とは全く違いますが、今年は現代アートの国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の開催年。そろそろ目を慣らしておかねば、と出向きました。

ファン・デ・ナゴヤ美術展は、名古屋市が文化事業基金を活用して1999年から年一度開催しています。
「さまざまなジャンルの新しいアートに発表の場を」との狙いで、応募に年齢・国籍・居住地などの制限はなく、若手作家らの登竜門になっています。

2019には3つの作品が選ばれました。20~40代のアーティストたち。市民ギャラリー矢田に7つある展示室の全てを使って展示しています。

 

まず、企画・出品作家とも川松康徳による「NARRATIVISUAL:M」(M氏の告白:矛盾を純粋培養するアイデンティティの病)という作品。

M氏はベルギ―国籍でオランダ在住の韓国人女性。川松は愛知県立術大学での21日間の協働制作を含めて約600日間、M氏との語り合いなどを通して「告白」という形で、多様化するアイデンティティに迫っています。

「Mさんの生い立ちや環境、周りの人たちから受けた視線や言葉などを知ることで、Mさんの複雑なアイデンティティを共有して作品化しました」と川松。M氏の祖父母が陶器の里・愛知県瀬戸市出身の日本人だったことから陶器の破片や、子どものころ狭い敷地の住まいの窓から見ていた空の青、両親の写真などを通して表現しています。


 続いて「風景をみる/風景にみる」(企画・小田川祐希、出品作家・丸山のどか)と題する作品。


山や海、街並み、家庭・・・。いつも目にする風景だけど日々変化する。自分と他人が同じ風景をみても、互いにみているのは違う。何気なくみている風景を少しだけ意識することで、自分だけにしかみえない風景があるのでは、というのが作品のテーマです。

展示室に並ぶのは、沢山のソーラーパネルが並んだ風景やテレビ、ソファ、観葉植物、風景画などが置かれた部屋。「ソーラーパネルが並ぶ風景も、自然エネルギーの有効活用としてみる人の一方で、広い自然や敷地をつぶしているとみる人がいる。木材を使った私の作品だって自然の無駄使いとみるか、芸術とみるか」と丸山さん。
ソーラーパネルの周りには、ホームセンターで買った木材や塗料代、作品を展示場に運んだレンタカーなどの領収書を置いて表現しています。


最後は「予見する人工物~映像という人工物は未来を予見する(企画・韓成南 出品作家・韓成南、西山修平)。


作品説明などによると、2人の作家が映像合成技術などを用いて過去と現在や、離れた場所とを結び付けてみたり、時空間が混在する映像空間を現実の空間に出現させる映像を上映。「人工的世界が出現する瞬間に立ち会う時、未来の自分が見ている世界を予見するでしょう」としています。

覚悟していた通りどの作品も僕にはやや難解でしたが、作家の丁寧な説明を受けて制作の意図や表現が分かり始めると、楽しさも沸いてきました。
今年8月1日から10月14日まで75日間、「情の時代」をテーマに名古屋市の愛知県美術館や豊田市美術館などを会場に開かれる「あいちトリエンナーレ2019」が楽しみです。


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