名古屋の松坂屋美術館で開催中の日展日本画部の春季展「第49回日春展」を見てきました。秋の「日展」に比べると作品のサイズは小さいですが、若々しく意欲ほとばしる作品を目にすることができました。6月1日(日)まで。
素人の僕などが作品を評価したりはできませんが、絵を見ての感想を少し。
日春賞・外務大臣賞の「藤棚」。
棚の枠組みと力強く伸びる幹、棚を覆う緑の葉を、棚の下から描いています。
未熟な僕はフジを描こうとすると、咲き誇る花と曲がりくねった幹に目を奪われ、棚の部分は無視しがちです。「こんな描き方もあったのだ」と気づかされる思いでした。
日春賞のうちの一枚「装」。
ハンガーに掛けられたワンピース、ショール、下に赤いハイヒールが描かれています。
これからデートに出かけるところでしょうか。
「お昼はどの店で、何を食べようかな」「赤い靴、彼は気に入ってくれるかな」
それとも帰ってきたところでしょうか。靴の様子からすると、こちらの方かな。
「ワンピース素敵だね、って彼がいってくれた。うれしかったなあ」
絵を前にそんなことを思い、ウキウキしました。
勝手なことを書いて、作家さんの意図と違っていたらごめんなさい。これらの受賞作品は「日春展」のホームページに掲載されています。
「日展」といえば、不正審査問題の発覚を機に「只今、改革中」ですね。
この問題を真っ先に取り上げた朝日新聞によれば、日展はこの春、改革検討委員会の中間報告として、①「日展」の名称を「改組新日展」とする②長老支配や階級制度を改めるため序列を緩和、評議員や参与、参事らを会員とする③審査を公開する――との案を発表。一昨日(5月26日)の理事会では、さらなる検討が必要として、協議を重ねて7月に決着させることにしたようです。
この問題との因果関係ははっきりしませんが、日春展のホームページによれば、近年の応募点数が年毎に減っているのが気になります。
改革委の「不退転の決意」を感じ取れないわけではありません。でも、100年の歴史を超える公募団体が不正問題をクリアして生まれ変わろうとすれば、並大抵の努力ではできません。
組織改革以上に意識改革も忘れてはならないでしょう。
ピラミッドの上部を構成する役員はもちろん、日展を目指す作家も含めて、改革に取り組む真摯な姿勢を期待したいものです。