見かけると描きたくなる巨木の根っこ。大地に食い込んだどっしり感が魅力だからですが、今回のように縦横に伸び、土に覆われたところがほとんどない剥き出しの根っこを描いたのは初めてです。
この根っこと出会ったのは、三河湾に浮かぶ佐久島の西港そばにある崇運寺(そううんじ)の境内。
この寺は慶長5年(1600年)6月、天下人への足場を固めた徳川家康が抵抗勢力討伐のために大坂城から船で会津に向けて出陣、途中で佐久島に停泊した際の宿にしたと見られているそうです。
樹木の種類は定かではありませんが、寺の脇の小高い林で成長していく過程で根元の土が崩れ、根が剥き出しになったのでしょう。太いヤマイモのような根が何本も伸びています。
根と根の間の土は雨で流されて穴がぽっかり開いており、そこには林の中から滑り落ちてきたのか、カボチャ大の石がたくさん詰まっています。絵は10号です。