名古屋の松坂屋美術館で開催中の第69回春の院展の名古屋展(4月20日まで)を観てきました。今回は昨年12月19日掲載のブログ「日本画界の新星と85歳の新入生」で取り上げた「新星」が今回も入選したのに加えて、僕の親戚からも初入選者が出るという嬉しいニュースが重なりました。
「新星」として紹介した愛知県立芸術大学院生・平田望さんは、一昨年、同大学4年生で「秋の院展」に初入選。大学院に進んだ昨年の秋も入選。そして今回、春の院展に初入選したのです。画家の道を順調に歩んでいると言えるでしょう。
彼の相次ぐ入選を誰よりも喜んでいるのが、平田さんの祖父で、昨年秋に僕の通う水彩画教室に入ってこられた「85歳の新入生」平田正雄さん。「私も孫の頑張りに負けてはおれません」と、人生初めての「お絵かき」を楽しまれています。お二人に心から拍手です。
親戚の初入選者は、福岡県北九州市在住の松本由美子さん(65)。嫁御のお母さんです。
「芸術に対する憧れがあって以前から絵を楽しんでいたのですが、子育てや勤めにひと区切りついた10年ほど前から本格的に絵筆を取るようになりました」と松本さん。着実に力をつけて福岡県展や北九州市展などで入選・入賞するようになり、「春の院展初入選」の喜びにも浸ることができました。
絵のモチーフは身近なところで見つけることが多いとか。今回入選した「花の符」も、北九州市内の廃屋跡で出会ったヤマフジを題材にしたそうです。名古屋展には会場の都合で展示されてはいませんが、全作品集を手にして、その見事さにしばらく見とれました。
藤まつりなどで見るフジとは違う優しくて清楚な花の感じや、長く垂れる蔓の生命感。そして巧みな緑の使い分け。
「interminable fairy tale」
松本由美子さんの作品
「花の符」
(日本美術院「第69回春の院展全作品集」から)