ビストロ レアール

石川県小松市にある「ビストロ レアール」のシェフがつづるあんなことこんなこと

初めてのビズー

2005年06月26日 | フランスこぼれ話
bisou
ビズー

両頬を合わせながら耳元で
chu chu と 音を出しながらするあいさつ

普通おとこ同士がビズーをする時は
親兄弟親戚いがいの他は
女性同士か男性と女性で
それも普通の知り合い程度なら
握手か言葉だけで済ましてしまいます。

私がはじめて
このビズーを経験したのはノルマンディーのレストランの
メートルド テル宅に呼ばれた時で
フランス人の家によばれたのもこの時が初めてでした

彼の名はマルセル23歳
えっ 若いのに支給長?と思う方もおられるでしょう
フランスでは年功序列ではなく
仕事が出来れば年齢は関係ないのです。
奥さんの名前はジスレンヌ
ホテルのフロントとベッドメイクなどをしていました
そして生まれたばかりの男の赤ちゃん
ルドビック

フランス語の辞書を片手にいざマルセル宅に
彼らも日本人が初めてで
話題を探すのに苦労しましたがそのうちに
だんだん盛り上がり 
ジスレンヌの妹のカリンヌが彼の
フィリップと(同じレストランで働いていたキュイジニエ)
やってきて
カルバドス酒を飲みながら
楽しいじかんを過ごしました

夜もふけて
みんなが マルセル宅から引き上げる前に
それぞれがビズーをして 帰るのですが

chu chu chu chu
と両頬に交互にする時

〔楽しんだ? よかった! じゃあまたね! ボンソワおやすみー!〕ってなことを
いいながらするので
これにもテクニックが必要になるのですが
これが なかなかむずかしくって

さて 私の順番が回ってきて
心臓がドキドキ なんせフランス人の女性ですよー
緊張とカルバドスの酔いのせいか はたまた
異国の女性と頬を合わせることの喜びのためか
私の頬と耳はちょっと熱をおびていたかも?

chu!チャン マサ chu!たのしかった?chu!またきてねchu!おやすみ
てな 具合で初体験いたしました。

ちなみに
フランスでもパリから上の方では4回
ディジョン サヴォアなど真ん中へんでは3回
したの方 コートダジュールなど南仏では2回でした
まあ その人の出身地方にもよりますが

あと 右からはじめるか 左からはじめるかにも
みきわめが必要で これにも テクニックが必要になります!

フィリップなどサーヴィス中にたまたま彼女が
厨房を横切る時に鍋を持ったまましていました

結構
やみつきになるのですが 日本に帰ってきてからは
ビズー出来ないのが
ちょっと 寂しいかもしれません。

ヨネちゃんとリオネル

2005年06月26日 | フランスこぼれ話
ロット エ ガロンヌ県
アジャン市 ピュミロール村
人口645人の小さな村にある
レストラン ローベルガード
この小さなレストランに世界各国から
グルメ達がやってくるのです。

ここでは
このレストランの紹介ではなく

一人の日本人キュイジニエと
一人のフランス人キュイジニエの
小さなやりとりが
なぜか 私の記憶に 残っているのでお話しようと思います。

当時 飛ぶ鳥落とす勢いの シェフ(私の師)ミシェル トラマ

このレストランは日本人のキュイジニエ達から
トラの穴(トラマ、トラあむぁ、トラのあマ、トラのアナ?)
と 呼ばれていました
こんな所に米山くんフランスに来ていきなり二つ星きたものですから
さあ大変

一時はノイローゼになり被害妄想でにもなったりして

「ヨネちゃん早くやめたほうがいいよー」

〔ほかの地方の一つ星のレストランのほうが楽しいよ」

とか アドバイスしたものでした。

普通 日本から来てレストランを探したり
紹介されて働く場合
パリだと星なし 地方だと一つ星のレストランからはじめて

フランスでのシステムやフランス語
サーヴィスのタイミングその他 いろいろと
体験しながらフランスに慣れてから
二つ星や三つ星のレストランをねらうのですが

それはともかく
そのレストランにフランス人の
天然キュイジニエのリオネルが入って来ました

フランス人はあまり器用な人がいないのですが
彼はそれに 2重の輪を掛けたぐらい
不器用な子で サーヴィス中
料理の盛り付けでも

「メールド メェールド」
(クソ クッソー)と叫びっぱなし

これにはシェフも困っていました
そんな彼とヨネちゃんが話す時が来た時のこと

リオネル:やあぁ 君なんていう名前?

ヨネちゃん:ジュ マ ペール ”ヨネ”

リオネル:えっ じゃあ 俺と同じ名前じゃん!

ヨネちゃん:ノン ノン ノン セ パ サ ”よね”

リオネル:だからリオネルだろ?

ヨネちゃん:「違うって言ってるだろー米山だー!ヨーネーヤーマー!」

リオネル:ふーん(じつはわかっていなかった)

その後もリオネルがヨネちゃんを呼ぶ時には ”リ よね ル”と呼んでいました。

そのヨネちゃんは新横浜のホテルのレストランでシェフをしています。