YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

YBRの燃料計故障と修理

2012年10月21日 | YBR125整備

去年の話でもしようか・・・
ある時、YBRを走らせてたら突然エンジンが不調になって止まったんだ。
ついに来たか?中華の落とし穴??
燃料計(ガソリン残量メーター)を覗き込んでもまだ残量は十分あるのになぜ?
思い出してみたら、ある日を境に針が下がらなくなって今回はいやに燃費がいいなって
喜んでたんだよな。w
冷静にガソリンコックをリザーブ位置に回して3分ほど待ってエンジンスタートさせたら
いつもの元気なYBRに戻った。

こんな中途な位置で下がらなくなったメーターの針


気のせいかとガソリン満タンにするとFまで表示はするものの、その後消費する途中で
また針が下がらなくなってた。orz

まさかセンサーフロートでも途中で引っかかってるのかと思って、ガスが残り少なくなった
時点でセンサーを外して確認してみたけどまったく問題ない。
また、配線類をテスターでも確認しても異常なし・・・いったいどうなってるんだ??

残りは燃料計自体だと考えてメーターユニットを分解して取り出してみる。

針を指で触って動かしてみても引っかかりが無いので機械的な故障ではなさそう。

しかし、裏側・側面の抵抗器(以下、“抵抗”と記す)のうち1個を固定してる接着剤が
黒く変色してるのを見逃さない俺ではない。

こいつに間違いないだろうけど、さて簡単に焼けるもんかな?
それほど大電流が流れる回路じゃないしなぁ・・・・まあいいや、調べてみよう!
ついでに回路解析でもしてみよっと♪

抵抗の接着をはがして金属ケースを引っ張ると外れて中身が見えた。

色々調べたら、このメーターは直交式の磁気回路による可動鉄片型だという事が
分った。
62Ω側にはガソリンタンク内のセンサーの可変抵抗(最大値:90~100Ω 最小値
4~10Ω)が直列に接続されていて、その合成抵抗がガソリン残量によるセンサー
の浮きに連動して変わって「振れ値」を決定し、75Ω側は「振れを適度に押し戻す」
ための緩衝機能(ダンパー)
として働くんだね。

つまり、振れはするけど振動やガソリンの油面の細かい変化では動かないようにし
ている、ゆれ止めなわけだ。

だれだ?こんなすばらしい機構を考え出した人は!?
すげーぞあんた!頭よすぎる、惚れちゃいそう///▽///

とりあえず焼け跡のある75Ωの抵抗をハンダゴテで外して単体で抵抗値を計って
みる。

う~む、完全なる開放状態。(テスタの1とドットの表示は切れている事を表してる)
つまり「焼き切れてる」状態だ。
各巻き線も確認したけど切れてはいないのでホッとした。
しかし、なんで切れたのかな?

思うに、このメーターは閉鎖された小さな空間に納まってて、熱がこもって耐え切れなく
なっちまったと想像するけど、だったら他のYBRも同じ故障が多発するんじゃないか?
そんな話は聞いたことないけど、昔オクで出品されてた中古車で似たような症状の
ものが特記であったので、中華部品の品質の個体差で現れたのだと思う。
俺、こういう当たりくじ(ハズレ)を引くのは得意だぜ!orz

さて、部品箱を探したけど75Ω3Wなんて気の利いた金属皮膜固定抵抗なんか
都合よく在庫してなかった。
しかし眼にとまったのは150Ω2Wの1%精密抵抗が2個
2個並列にしてやれば合成抵抗75Ω4Wになる。
暗算でも解けるくらいに簡単なオームの公式。
日本の義務教育のたまものだよ、覚えてればだけどナー。

で、そそくさとハンダ付けしてみる。

ちなみに同値・並列接続時のみ、抵抗器の耐電力値がそれぞれの値を足したもの
になるので、純正のが3Wに対して1W余裕の4Wになったわけだし、これで少しは
熱問題も解消するだろう。。
直列じゃ変わらないので注意ね。


これでたぶん直るだろう・・・外した燃料計を元に戻してメインスイッチをオンにする
と、今度はちゃんとメーターが下がった。
で、カス欠間際まで走ってもきちんと表示されるようになった。
押し戻しの磁気回路が動作してる証拠だね。


これで世にも珍しい燃料計の故障と修理は完了。
めったに起きるもんじゃないな、こんな故障は。
振動でハンダとか外れたりしたんじゃないかと想像してたけど、元のハンダ付けは
しっかりした品質で、よく売られてる中華製安電化製品のようなイモハンダ、テンプラ
ハンダの類ではなかったので、なんだかんだでYAMAHA品質ではある。
でもね、さすがに抵抗器単位での品質のばらつきなんかはわからんよ

まあ、今は安定して燃料計は表示している。

しかし、パーツカタログって便利だな。
ある意味、分解図だからね。
おかげで燃料計が単体で外せるのが分ったし、サービスマニュアルのおかげでフロ
ートセンサーの可変抵抗の標準値も分ったし、こんな普通じゃない故障でもなんと
か修理にこぎつけたわけだ。
多分、バイク屋ならメーターアッシーごと交換で修理だろう。
俺がバイク屋ならそうする。
だって解析から修理までは普通にめんどくさいんだもん。