YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

アイドリング調整の落とし穴

2020年06月13日 | 雑記

 キャブレター形式がバルブを直接開閉させるVM型や
PD・PE・PZ型などで、不必要にアイドリング調整を頻繁
に行った時に起こる不具合例を紹介してみるよ。

 ここのアイドリング調整スクリュー。

セッティングが決まって安定したらめったに触らないネジ
だけれど、真冬の暖気時に少し増し締めして暖気が終わっ
たら元に戻すような使い方をする人も居るだろう。

知人がこの方法を頻繁にやっていて通勤に使っているバイ
クのアイドリングが段々不安定になった。
もしかしてスロー系の経路が汚れて居るのかと思って、
キャブクリーナーで掃除してみたりパイロットスクリュー
を再調整してみたりしたけれど、どうもまだ不安定なのだ。

季節の変わり目の微妙なセッティングずれの可能性もあるか
ら、ジェットニードルの微調整でも行うつもりでバルブを
外してみたら異常に気付いた。

 アイドリング調整スクリューの先端が当たる場所に凹み
が出来ていた。

ここまで凹んだ状態は見た事が無い。

 よく観察するとかなり深い凹みで削れている。

何度も調整を繰り返すと削れて起きる凹み
この凹みが出来たおかげで微調整してアイドリングを決
定しても、微妙な位置で引っかかったり凹みにハマったり
で回転数がアクセル開閉のたびに不安定になってるのだ。

 修理というか補修するなら凹みを平らにすれば直るだ
ろう。

凹みの周囲をリューターやヤスリで均して凹みを無くせば
アイドリング調整でピッタリ決まるはず。
これは暇でないと面倒な作業だよね。
知人にキャブレター内部の部品セットを買って交換した方
が楽で早いと進言し、それまでは我慢してもらった。

 新品の内部部品セットはほとんどの部品が入っていた。
予想通り、メインジェットとパイロットジェットには
穴径の刻印はされておらず、これらジェット類だけは補
修用に使うのをためらう。w

アマゾンでPZ27用の内部部品セットを注文してから一月
経ってやっと届いたとの事。
新型コロナウイルスの影響はまだ続いている。
届くだけマシかな。

 比較してみた。

外径・全長・カッタウエイ(斜め部分の角度)はまったく
一緒だったから調整しなくても問題なく使える。

 ついでにジェットニードルも新品交換するかと比較して
みたら形状が違っていた。

長さはこれでも問題無いが、テーパーと言われる円錐部分
の太さ・角度に違いがあり、補修セット付属品は細めだ。
つまりセッティングが濃いめに変わると予想した。
試しにこの新品ジェットニードルで試走してみる事になって、
新品バルブに組んでからエンジン始動後にパイロットスクリ
ュー調整とアイドリング調整を行った。

予想通りにアイドリングが安定したので、不具合の原因は
やはり削れて凹んだ部分だった。

細いテーパーのジェットニードルで試走した結果、全体的に
トルクが太ったけれど加速が緩慢でキビキビ感が失われた。
知人曰く、昔乗っていたビジネスバイクのCD125Tに似た
感じだとの事でトルクフルで扱いやすい反面、加速がダルく
て通勤加速に使えないとの感想だったよ。
予想通りに濃いめのセッティングに変わってしまったようで
ある。
結局、普段使っているジェットニードルに戻してから試走し、
2年間にわたる微調整で決定したセッティングに戻して落ち
着いた。

今回の凹み発生の原因は以下の通り。

・アクセルを閉じたまま何度もアイドリング調整を行った。
・調整スクリューの先端がバルブ接触部を削ってしまった。
・凹みで位置決めが不安定になってアイドリング不調になる。

今後凹みを発生させないために気をつける事。

・調整スクリューを回す時はアクセルをほんの少しだけ開け
 てスクリュー先端を一時的に非接触にしながら行う。
・厳冬期の始動直後の暖気時にはアイドリング調整スクリュー
 で一時的にアイドリング回転を上げず、アクセルワークを
 一定に保って安定するまで待つ。

この2点だけを守れば今回のような不具合は発生しないだろう。

なお、負圧式キャブレターのBS25型などはそもそもアイドリング
調整機構がこれとは違う構造なので、アイドリング調整スクリュー
を見て分かるように、頻繁に調整しても影響するような削れ方は
起きにくい。

以上、強制開閉式キャブレターのアイドリング調整の落とし穴で
した。