まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その24

2014-04-01 21:17:29 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その24

  ナヲキさんは 膝からくずおれた
  何も見えてない身体に 雪が吹きつけた
  長大な黒い煙が 空の穴から顔をのぞかせ
  ぞろりと 穴の周りでとぐろを巻いた
  穴の向こうから 赤黒い空が見えていた

<つづき>

黒い煙は 竜の形をしていた
雲の向こうの 赤黒い光を浴びながら
地上で動かない ナヲキさんを見た
黒い竜は にったり嗤った
厚い雲からごろごろと 重い音がし始めた

待ちなさい 音なき声が響きわたった
ナヲキさんの周りに 降り注いでた雪が
突如舞い上がり 白い光の帯となった
光の帯は 彫像と化したような
ナヲキさんを ぐるりと取り囲んだ

白い光は ちろちろと舌をひらめかせた
紅い目が二つ 光の中に生まれた
紅い目は 空の黒い竜を見上げた
出ましたね 荒魂・・・!
白く輝く蛇が 目をすがめて言った

出たがどうした 巳よ
黒い竜が 地にとどろく声で言った
たかが旧年の支が 気張るでない
これしきの雪で 我を抑えたつもりか
竜は一層 雪雲を蹴散らした

不気味な光が 地上に差した
雲の合間に 赤黒い満月が輝いていた
これより陽の気が 強まる時節ぞ
竜は低く嗤いながら 空を回った
いつまでも雪を 降らせておけまい

竜が空を滑るたび 雲は散らされた
雲の向こうは 星も見えない夜空
大きな緋い月が 濁った闇に君臨していた
蛇の白い身体は 赤く照らされ
蛇は苦しそうに 身をよじった

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。


※変更:2018年8月6日
ナヲキさんを ぐるっと取り囲んだ → ~ ぐるりと~


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その23

2014-04-01 21:10:57 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ども、お今晩は~。

新年度、というか、今日はエイプリルフールの日です!
皆さま、今日は何か楽しい嘘に出くわしましたか。

まかろんも何か!と思ったのですが、何も思いつきませんでした。

で、エイプリルフールの主眼は「嘘をつくこと」ではなく、
「みんなを楽しませること」だと思い至り、こちらをご用意しました

 NAVERまとめ 「武蔵野線あるある秀逸ツイートまとめ」

これを見れば、武蔵野線が愛おしくなる!・・・かもしれない。


では、張り切って続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その23

  女性はバン!と 勢いよく出ていった
  カランカラン・・・と
  ドアベルが うつろに響いた
  ナヲキさんは ぼうぜんと
  まだベルが揺れてるドアを 見つめた

<つづき>

ナヲキさんは ふらふらと
先ほどまで 自分の全てだった
厨房に戻り 作業の続きをしようと
卓上のボールに 手を伸ばした
俺は だって パティシエだから

だけど

ボールは手を滑り 床に落ちた
薄桃色のクリームが どろっと広がった
ガランガランと やかましい音が
誰もいない厨房に 響き渡った
だけど 俺は 独りだ

ナヲキさんは 外に走り出た
わけの分からない衝動が
胸の中で 荒れ狂ってた
空に叫びたかった 地に伏したかった
ごめんごめん生きててごめんなさい

ドォッッと ナヲキさんの身体を
何かが 突き抜けた
巨大な黒い閃光が 空を突き刺し
一面雪をまく 灰色の雪雲は
閃光に切り裂かれ ぽっかり穴をあけた

ナヲキさんは 膝からくずおれた
何も見えてない身体に 雪が吹きつけた
長大な黒い煙が 空の穴から顔をのぞかせ
ぞろりと 穴の周りでとぐろを巻いた
穴の向こうから 赤黒い空が見えていた

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする