まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その36

2014-04-08 21:41:39 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
まかろん、今日少し回り道して、家の近所の桜並木の所で
落ちてる桜の花を拾って帰りました。

水を張った器に入れておくと、しばらくもつんですって。

やってみたら、びっくりしました。

この時期部屋に、かなり良くできた桜の造花を飾っているのですが、
どんなに良くできた造花も、本物の花の存在感はそれ以上でした。

本物の花、と言っても、たかが切り離された、数十分でしおれるはずの
あの道端におちてる桜の花ですよ?

それでも、適当な器の水に浮かせると、その、
辺りを払うような瑞々しさ、生々しさと言ったら、
まかろんが普段目にする、人工物に満ちた世界全てを凌駕するかのようでした。

生きている、ということは、これほどエネルギーが違うのだな、と思いました。

人間も本当は生きているんですけどね。

では、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その36

  積っていた雪は 消えていた
  花も葉もない 焦げた枝から
  また一滴 水が滴った
  ナヲキさんは ぶるっと身震いをした
  夜気はまだ 薄着には寒かった

<つづき>

お疲れさまでした と声がした
木の枝に 大きな大きな白蛇が
ぐるりと木を囲んで 絡んでた
少し欠けた月が 枯れたような
白い光を 投げかけていた

なんとか 間に合いましたね
蛇は 木の上から呼びかけた
ナヲキさんは 黙って見返した
何か大事なものが 身体の裡で
はち切れそうで 口を開く気になれなかった

蛇は 訳知り顔でうなずいた
分かってますよ もうじきです
もうすぐ0時 春分の陰陽門が開きます
そうしたら貴方は・・・ と蛇は言った
桜を 喚んで下さい

ソレハ イケナイハズジャ?
ナヲキさんの目に 問いが浮かんだ
蛇は瞼のない目を 和ませた
今の貴方なら大丈夫 というより
今こそ やって頂きたいのです

蛇は木の上から 寄るよう促した
さあこちらへ 木のそばへ
ナヲキさんは 素直に従った
どのみち 他にしたいことなど
裡の圧力で 考えられなかった

ナヲキさんは 叫びたかった
怒りや焦りや恨みなどではなく
ただただ・・・
そう それでいいのです
と蛇は そっと言った

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。
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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その35

2014-04-08 21:18:16 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ども、お今晩は~。

今日は暖かかったですねぇ。
日が落ちるのも段々遅くなっています。

春です。

爛漫です。

週間予報を見ますと、少し気温が下がる日もまだまだありますので、
不用意に身体を冷やさないよう、お気をつけ下さい。

では、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その35

いや それはただ“それ”だった
“世界”という思考は すぐさま
“いのち”と 翻訳され
“いのち”と思った瞬間 それは
“愛”や“力”や他の意味となった

<つづき>

全ての意味が 満ちあふれ
溶け合い 一つの意味を発してた
それはただ “それ” だった
生々しくも 清らかで
限りない力強さと 静けさがあった

大きな大きな“それ”に
ナヲキさんは 吸い込まれていった
何もなかった 夢も希望も求める苦しみも
全ては ここに“在る”のだから
いまここに全て 在るのだから

爆発した 拡散した 広がった
どこまでも 伸びていく世界
とどめるものない 完全さ
森羅万象が 弾け出た
躍動する美 力 光 明朗

痛みがあった 喜びがあった
哀しみがあった 分かち合いがあった
意は震えて 事象を生じた
全ては美しく 在が輝いた
涙が一つ こぼれ出た

ぴちょんと 何かが滴った
ナヲキさんは 目を開けた
大きな黒焦げの木の前に
ナヲキさんは 立っていた
あの公園の 桜の木だった

積っていた雪は 消えていた
花も葉もない 焦げた枝から
また一滴 水が滴った
ナヲキさんは ぶるっと身震いをした
夜気はまだ 薄着には寒かった

<つづく>

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