まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その50

2014-04-15 22:37:07 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ええ、ついに50回超えですよ。

お付き合い頂きまして、ありがとうございます。

まかろんもここまで長くなるとは思ってなくて・・・

あ、さっき誤字を発見しましたので、直しました。
えっと、17回目のところです。
ナヲキさんの名前を間違ってタイプしてたので、それを修正しました。

このお茶菓子はお出ししながら続きを書いてたので、後からいろいろ
つじつま合わなくなるんじゃ、とすごく心配したのですが、
結局そのまま終わることができました。良かったです。

この話もあともう少しです。
皆さまはどんなラストを想像してますか?

さあ、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その50

 ナヲキさんは 立ち上がった
 そばに立つ 桜の木に手をかけた
 ごつごつとした 木肌の下から
 じんわりとした ぬくもりが伝わってきた
 ナヲキさんは 幹をぽんぽんと叩いた

<つづき>

馬たちが消えた 反対側の空の際が
うっすら 黄色くなり始めた
街を押し包むような 暗い空は
少しずつ少しずつ 薄くなって
水で薄めたような蒼色を 見せ始めた

ナヲキさんは 桜の木に寄りかかり
辺りを包む薄蒼い闇が 静かに
軽くなっていくのを 桜と眺めた
空では 東の際の淡い黄色が
柔らかな桃色に変わっていった

桜のゼリーのような 東の空に
東の物たちは 包まれていた
ベビーブルーの空が おずおずと
その桜色の空を 抱きしめていた
ナヲキさんは 桜の木を振り返った

桜の枝が ざわりと鳴った
丸々としたつぼみが 枝いっぱい
こぼれんばかりに ついていた
まだ薄暗さ残る 蒼い空の下
ナヲキさんは 微笑んだ

ナヲキさんは 枝をそっと撫で
木から離れると 西の空に向かって
深々と 頭を下げた
もう一度 幹を軽く叩き
自分の店に向かって 歩き出した

店の勝手口は 鍵がかかっていた
それもそうかと思って
入口に回ると そこも閉まっていた
ナヲキさんは 着ているコック服を
さぐってみたが 鍵などあるわけもなかった

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。
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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その49

2014-04-15 22:27:05 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
今日は満月だそうですよ。

真冬の寒さはもうありませんので、ちょっとゆっくり見てみたいですね。

まかろんは今日も生きています。

貴方も、貴方の喜びを生きている、その事実を
この月の下でかみしめられますように。

では、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その49

  だったら俺だって 頑張った!
  馬は いなないて言い募った
  一人で地ならしとカミ迎えした!
  なるほど と女の子は馬を見据えた
  私に 牝馬の姿になってねぎらえと

<つづき>

馬は ぎょっとして目を見開いた
いや・・何か怖いからいい・・・
賢明ですね と女の子は言った
でもよぉ 俺たちにだって少しくらい・・
馬はぶつぶつ つぶやいた

女の子は その声を無視して
すらりと 立ち上がり
では私はこれで とナヲキさんに告げた
櫻神さまを お待たせできませんので
ナヲキさんは うなずいた

女の子は白馬に近づき 背に乗った
ゆらっと 空気が揺らいで
女の子は 元の白蛇の姿になった
目が 鮮やかな若葉色になっていた
蛇は身を伸ばして 馬にゆるく巻きついた

じゃ行きましょうか と蛇は言った
おう と馬は幾分落ちつかなげに答えた
馬は足踏みし 首を振り
別に取って喰いはしませんよ と
蛇が おかしげに言った

分ぁってらぁ と馬は
いささか乱暴に言い そして
カッと地を蹴ると 空に舞いあがった
白銀に光る尻尾が 流星のように流れ
馬と蛇は空中で ふいっと掻き消えた

ナヲキさんは 立ち上がった
そばに立つ 桜の木に手をかけた
ごつごつとした 木肌の下から
じんわりとした ぬくもりが伝わってきた
ナヲキさんは 幹をぽんぽんと叩いた

<つづく>

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