ペルー旅行、1週間まるまる遊んできたけど、
純粋に 「楽しい」 と思えることばかりじゃなく、いろんな事を考えさせられる旅だった。
屋根のない埃だらけの家、鉄道やタクシーに寄ってくる必死な売り子、激しすぎる貧富の差、麻薬産業・・・
「楽しい思い出旅行」 の間に、ちょっと脱線して、こんな話しを少し ─────
“治安がよくない” やら “拉致が多い” っていう日本から持ち込んだ悪いイメージと、同じスクールのクラスメイトのペルー人友達の話しを聞いたりして身近にも感じてる良いイメージと、色々思いが交差しながら初めて南米に降り立った日。
なんやかんやで、初南米の不安を抱える自分たちを、リマの空港で出迎えてくれた現地オペレータは、日本人 Yさん 男性。
怪しいアミーゴがいっぱいの空港出口で、旅行会社の担当Yさんを見つけたときは、かなり安心した。だからかな、「ニコっ」と笑って出迎えてくれたその顔が、今でも忘れられない。
でも、会った瞬間 「なんか不思議な雰囲気」 を感じた。
小柄で背中がちょっと曲がってて、髪の毛はムースでツンツン、眉間にシワがくっきり、そして眉毛キリ! ぱっと見、ヤンキーみたい。(ごめん!)。旅行会社のヒトってペラペラ喋る印象だけど、Yさんは人馴れしていないような、優しい口調で、ポツリポツリ・・・とゆっくり喋る。
ファーストネームが「ラファエロ」さんだから、きっと在ペルー日本人なのだと思う、ちょっと日本語を忘れかけてるカタコト口調で、でも関西訛りが印象的。
ホテルまで案内してくれる車中 (ペルー人運転手とYさんと我々のみ)では、私たちを安心させようという気遣いを感じる穏やかなものごしなのに、運転手に指示する時は、眉間のしわをグっと深くして、すんごい渋いスペイン語を発する姿を見て、“南米で生きていく為には、こんな風貌も必要なんだろうか。” なんて思った。
そんな車中で、ペルーでの注意事項をいろいろ語ってくれたのだけど、気になるのは、治安。ウチの親は「ペルーは拉致が多いから気をつけなさいよ!」とうるさかったと言うと、意外な返答が。
いやー・・・ペルーは良い方ですヨ。ブラジル、メキシコ、エクアドルに比べたら。
へぇ~そうなのかぁ。 日本からすると、ブラジルとかメキシコの方が、旅行ツアーも多そうなのに。
と、そのくらいにしか思わなかったのに、その後の言葉に、さらにびっくり。
ペルー人は優しいのでネー、コロスまではしないですよ。
え"・・・?
こ・・・コロスって・・・。
それって、拉致とか以前の問題では(汗)。
・・・と思うような話に、改めて気を引き締める。
Yさんは、ホテルと空港間の送迎やら、長距離バスの手配、クスコまでの飛行機の手配などなどをアシストしてくれて、我々にとっても本当に心強い存在だったのだけど・・・
少し、気になる動作もあった。
“もしかして、あがり症? もしくはアルコール好き??”
ちょっとした事だけど、例えば領収証やクーポンを封筒に入れる時に、手が震えてなかなか入れられなかったり、ホテルの宿泊記録の紙をフロントに出す時も、手が震えてまっすぐ差し出せなかったり。そして、ガラが本当に悪いワケでもないのに、左手はいつもズボンのポケットに入れている。
相方は気付かなかったみたいなので、「ヤだな、そんなトコに目がついちゃう自分」 と、あまり気にしないようにした。
が。
何度か一緒に行動していて、お客は常に我々2人だけだったのもあって気が緩み、クスコから帰ってきた最後の最後に打ち解けた雰囲気になった時だっただろうか。
何の話をしていたのか忘れたのだけど、流れでYさんの 「ワタシ、実際にユウカイされたことありましてね」 という言葉から衝撃的な話が始まった。
「え"え"え"?!」 なんてビックリする我々に 「いや、ペルーじゃないですよ。」 と。
飽くまで穏やかに笑いながら、でも 「ブラジルに居たときにね・・・」 と、ポツリポツリと語ってくれた。
日本へ一時行って、南米に帰ってきてから(っていう表現をしたので、南米で育ったのだと思う)ブラジルで働いていたそう。
その時の仕事は「集金」。誘拐犯もYさんの仕事パターンを前もって調べていたんだろう、その集金が目当て誘拐された、と。
それだけでもビックリなのに。
彼らは、お金を奪ったら、Yさんを殺そうとしたこと・・・
半殺し状態で押し込まれた車のトランクから逃げ出したこと・・・
Yさんの口から飛び出てくる話しは、自分にとっては、とてつもなく別次元の話しに思えた。
むしろ「何で私たちにそれを話すの?」って。
びっくり・・・なんて一言では言い表せない。
平和な日本で、ほけーっと仕事して、「今晩などんなツマミにどんなお酒を合わせようかな♪」なんて悩める日本人にとっては衝撃的な話である以前に、実感すら沸かない話かもしれない。
だから、自分の体からは血の気が引いた。
そんな体験をした人が目の前にいる。
うまく言葉が出ず「よく無事でしたね…」なんていうチンケな言葉しか出なかった。
でも、まだ話の先があった。「その後もいろいろありましてね」と続く。
なんと、誘拐犯がYさんを殺そうとした方法は 麻薬 。
押さえ込まれた状況で、腕に何本も何本も・・・たくさんの注射を刺されたという。
「相手もワタシの首をさわって “死んだから大丈夫” みたいなこと言ってたのを覚えてますヨ。
だから油断してたみたい。」
それでトランクから逃げ出せたと言っても…その致死量に至る、多量の麻薬は… Yさんに出会った時に「手が震えてるな」って思った意味が理解できた。
「その後が大変で・・・つきあてた女性とも離婚してネ。いやーブラジルはヤな思い出しかないデスヨ。」
なんて、最後は冗談っぽく言いながら苦笑してるけど、ここまで社会復帰できるには、相当苦しかったんじゃないですか?!
ウソや作り話をしている顔じゃないのは、最初に感じた、あの「不思議な雰囲気」からワカル。
それは “本当に生きるか死ぬか、の修羅場を潜り抜けて来た人が持つ” 雰囲気なのかもしれない。
別れ際の業務連絡中、フライト日程表を渡してくれるYさんの手が、再び震えているのに気付いてしまった…そんな私に、Yさんは気付いたのか。。
最後には
「ブラジルは今でも1日300件くらいの誘拐がありますが、ほとんどがブラジル人の金持ちを狙ったもので、観光客はダイジョブですヨ。ペルーはもっと安全で、1日に3件くらいですから。」と、言う。
うん、ありがとうございます・・・ホントに。
それにしても、Yさんが体験した「本当の命の危険」からしたら、自分らが日本でいつも心配している「危険」の規模がなんと小さい事か。
なんで、同じ時代に、同じ言葉を喋り、同じ地球上で生きてるのに、こうも違いがあるのか。
でも。
Yさんの、また違う旅の話しを聞いたりしていると、今は今で楽しそう。そして「まったくペルー人はネー」なんて悪口をいいながらも、口調から地元への愛情を感じる。
それが、なんだか嬉しかった。最後の最後に、Yさんが生き生きしてるのを感じられて、本当に嬉しかったんです。
こんなYさんとの出会いも一期一会、きっとこの出会いは私の心に一生刻まれるだろうな。
ブラジルのスラム街を舞台にした映画
シティオブゴッド。
子供たちの日常に、麻薬が拳銃があって、
幼い子供が銃で人を殺している内容で、
これってノンフィクションだとしても
大げさだよな~って、
観ているときに思ったのですが、
あとから日常の普通の光景だと教えてもらい
衝撃を受けたと同時に、生き抜く力
底力が違うんだな~と
ここがサッカー、ブラジル代表と
日本代表の決定力の違いかと・・・・??
あれ?話が可笑しいぞ(笑)
私はYさんの話しを聞きながら、
ドラマの「24」のワンシーンを思い浮べてました。
ドラマや映画の世界だと思っていたことが、
現実にしかも目の前に居る人が体験しているとは。。。
アメリカも麻薬の問題は尽きないですが、
それ以上に南米はもうどうしようもないくらいヒドイみたい。。。
「生き抜く底力」、彼らが日本に来たら、また困っちゃうくらい違うのでしょうね(苦笑)。
サッカー選手は、まだ「金持ち」の部類なので、
「麻薬と拳銃」を日常で持ってる子供たちの環境とも違うかもしれません。。。
海外行くと、そういうことすごく感じるけど、帰国するとまた忘れちゃう。それが悪いこととも思わないけど、そういう人がいることは忘れないようにしたいなって思うなぁ。
日本も物騒になってきてるけど、人を殺す理由が全然違うよね。
私はこれが一番心配・・っていうかイヤだ。
貧しくて辛いから犯罪を起こしちゃう、
麻薬欲しいけどお金ないから犯罪を起こしちゃう、
許しちゃいけないけど、そこには「原因」が明確にあるのに、
最近の日本の犯罪って「異常」だよね。。。
平和ボケしてる国特有の感覚なんだろうか。
むかついたから「コロス」とかサ。。。
そして人間の欲。
このまま行けば日本だって相当の貧富の差が出来そうだし、教育や道徳もかなりレベルがさがってる。
しかもリアルとバーチャルが混ざったような状態ともとれる。
人事ではないのかも知れないとこの頃思うよ。
社会主義がほぼ崩壊して、資本主義と独裁が残っているわけだけど、いずれもこのままでは上手くいかないのは目に見えている。
人間が一歩大きく進化出来るか?それともまた同じ過ちを繰り返すのか、そう言った岐路にたっているんだろうね。
明るい未来を信じたいです!
「日常」で起こるらしいです、誘拐。
アメリカでも、
子供を遊ばせる環境は必ず親の目のある場所じゃないといけなくて、、
日本のように「外で遊んでらっしゃーい!」 なんてことをやっていると、
逆に、親が警察につかまっちゃいます。
だからって、そんな世の中をどうすればいいのか。。。
>人間が一歩大きく進化出来るか?それともまた同じ過ちを繰り返すのか
本当に「岐路」だと思います。
帰国後、お金を貯めて飲食店を開きましたが面倒なお客には彼はペルーペルーと言ってペルー人に成り済まします。それで納得されちゃうくらいペルー顔。スペイン語が母国語の女性が大好きなオジサンです。
そうこう言いながら日本も地域によってはおかしくなってきましたよ。景気が悪くなるとヘンな事が増えます。
最近電車が人身事故でよく止まります。ワタシの最寄り駅でもこの20日間でたぶん3回、1回は中央線の前ガラスが割れたとこを見てしまいました。
憂さ晴らし的なイタズラも増えました。ワタシも含めてご近所の自転車が一斉に傷つけられたり、ポストが潰されていたり。エスカレートしなければ良いのですが。とりあえず繁華街に近い今のところから実家方面に移ろうかと思いはじめています。
ホールドアップや政治や宗教絡みのテロは無いけれど理由がわからない理不尽な事は増えそうですよ。
本気で何とかしないといけないよね。
わかってる人は何十%かいるのかな?
「食が危ない」
TVでも週刊誌でも井戸端会議でも話題になるけど、さて、ホントに危機感もって、勉強して、理解して、行動してる人は?
そういう人は1%もいないんだろうな。
きっと。
旅は人を育てると言いますが、米国生活だけでなく
アメリカの東西南北を見ることで、今の世界の
現実がまき子さんの身近に、肉薄してくるのがわかります。
桜の咲く頃、日本に帰られる まき子さんは
一回りも、二回りも大きくなっていることでしょう。
身長、体重のことではありません。
ひやおろし の燗酒がすすむ今日この頃です。