さかなのさけ （六本木） の 小僧山水

六本木界隈って、高級レストランとかBARくらいしかないと思っていたから、
自分の行動範囲からは、思いっきり抜けていた。
“開拓しよう”　という気がなかったから、当然良いお店も知らなかった。

んが！
こんな所に、こんなお店があったとわ！


六本木から見て溜池山王方面、首都高架下の大きな通りから、細い路地に曲がってすぐ。
ちょっとひっそりとした通りに、その　さかなのさけ　はあった。

店構えはちょっとモダンな感じだけど、ガラガラっと戸を開けると、
ニット帽が似合うマスターと、ちゃきちゃき母さんのような奥さんが迎えてくれる。

10席くらいの小さなカウンターのみ。
入ってすぐにでも、なんだかまったりした空気が流れているのがわかる。

なんでだろう。
やっぱりマスターと奥さんの醸し出してる雰囲気なんだろうか。

お酒担当と思われるマスターは、
動かない時は、両手を前に組んで、真っ直ぐに立っている姿勢の良さが印象的。
会話の受け答えも、とっても穏やかだけど、どこか変わった風貌。（写真のちょびっと左の方に・・・）



ベリーショートヘアのお母さんは、ハキハキとしてて、受け答えも爽やか！

お料理をテキパキと作っている姿が「お母さん」って感じなので、ついついそう呼んでしまったら、
「“お母さん”じゃあね～。」　と（笑）。
すかさず友達が　「いやー、キレイなお姉さん♪」　とフォロー。


さて。
お通し・・・が！やっぱり、おいし～い！そんな最初の出し物からして、拘っている。

お母さんが　「アスパラ菜の白和えです。」　と言って出してくれた言葉に、
　「え？？　アスパラ菜　って？」　状態な我々。

いわゆる「アスパラ」とは全然違うのだけど、
茹でると食感が似てるから、そんな名前が付いた、と教えてくれる。
しかも、黄色い花がついてる。花も食べられるんだ～。


お料理のメニューは野菜系がたっくさんあって、嬉しい限り。
しかも、どれもこれも美味しそうなのだ～～。

まずは　大阪風のなます　。

面白いネーミングで頼んじゃった。
なんで大阪なの？って他のお客さんが聞いてくれたら、
お母さんが「私が母から教わっただけよ～。」　と。

なるほど。
というのも、マスターとお母さんは、もともと大阪船場でお店をやっていたんだそう。
生まれも育ちも大阪なのかな？！


“自家製”　という、お母さん手づくりの　大根もち　。

これがとっても美味しい！この、香ばしい秘訣は、干し海老！

しかも、大根が美味しい時期しか作らないから、もうこの日で終了なんだとか。
なんて良いギリギリのタイミングで来れたんだろう～。


茄子ゆずみそ　は、素揚げのもの。

「見た目は熱そうに見えないけど、かぶりつくと、ぜーったいに口が火傷するから、気をつけてね。」
とアドバイスをくれながら、「そう言っても、みんなガブっとやっちゃうんだから。」と笑ってる。

ううーむ、気をつけなければ。
アレだな、焼きトマトにかぶりつくと、中からアッチンチンの汁が口に飛び出るのと一緒だ。


と、こんな感じで野菜が本当に美味しい。
とはいえ、他にも、魚の刺身やホタル烏賊、塩辛やほうぼうなど、いっぱい酒肴がそろっているので、
何を食べようか迷ってしまうのだ。

この後選んだのは　とり肝刺し　。

ううう・・・うまい！！
こんな料理とともに、日本酒も。

お酒のメニューはないので、ここではマスターに直接聞いてみるのが良いみたい。

「アレとアレとあんなのがあってね・・・まぁ、そこに入ってますヨ」とマスターの指差す所には冷蔵庫が。
わーい！何があるか見に行ってみよう～！

妙の華　はなぶさ　や　旭菊　綾花　や　貴　に　王禄　なんかは知ってるけど、
小僧山水　て、初めてかも？！

この後冷たいのをいくつか頼むのだけど、小僧山水はお燗でお願い。

深みのあるキレイな味わいだな～と思っていたら、蔵元さんは　金の井酒造　。
綿屋 を造っているところだ～。こんな銘柄のも出していたんだなぁ。

そして、秋鹿　山　もお燗で～。

・・・って飲んでいたら、ほぼ全種類飲んでしまった。

ちなみに、さかなのさけでは、純米酒100mlは、どれを頼んでも500円～600円。
“六本木価格”じゃないのが嬉しいな♪


さて。
実はお店に入る前から、事前に「元は大阪にあった」というのは知っていたので、
カウンターで、この丸いのを見た瞬間・・・

「でっかい “たこ焼き” だぁ～～～！！」　と、盛り上がる我々。

って、本当にそんなデカいたこ焼きなワケがなく、これは　ひろうす　なんだとか。
最初は「ひろうす？？」と分からなかったのだけど、漢字で書くと　飛龍頭　。
関東では がんもどき って呼んでるけど、そうか～、こういう読み方もあるんだな。

お母さんお手製だというし、もちろん注文。
すると、ずいぶんなが～～く煮込んでくれるのだ。

完成図はこちら～。

「これだけじゃ大きさが伝わらんだろ。」と、タバコで大きさ比較をさせてくれる友達。
しかも、なが～く煮込んで出汁をたっぷり含んだので、カウンターに乗っている調理前のよりも大きい！


さてさて。
お店にはBGMは無いのだけど、奥には古時計があって、時間になると音がなる。
ボーーーン、ボーーーン　という音に、はじめは「いいね～」と言いながら聞いていると・・・

“ボーーーン・・・ボーーーン・・・ボンっ・・・ボンっボンっボボボン！！”

えええ？！
思わず友達と顔を見合わせて笑ってしまった。
マスター、おかあさーん、この時計、なんかおかしいよ（笑）！！

しかも、このリズム、一定じゃなくて、一時間後は　
“ボーン、ボンっボボンっボーン、ボボン！！”　ってな具合。
聞いてると、なんだか、ズッコケそう（笑）。


こんな感じで、マスターやお母さんとの会話で、笑いが絶えず、
こぢんまりしてる雰囲気なので、隣のカップルやカウンターみんなで、ワイワイ盛り上がれちゃう。

料理も本当に美味しいし、お酒と肴とカウンター好きにはタマラナイ！


[さかなのさけ]
東京都港区六本木3-8-3 遠藤ビル１階
03-3408-6383
18:00～23:00
定休日：日曜　祝日　月曜不定休