友達に教えてもらわなかったら、こんな京料理のお店は、まだ知り得なかったかもしれない。
虎ノ門あたりの細い路地、こんなところにあるの?と思うような一角にある と村 さん。
行く前に、事前に調べて知っていたのは、ご主人は「京味」で働かれていたということ、
そして敷居が高そうな高級日本料理ということ・・・。
こんな私が行っても良いのかしらん?と思ってしまったけど、でも、
「帰国祝いだよ!・・・って何か言い訳つけないと、なかなかこんなお店にいけないからね。」 と
同い年の友達が言ってくれるから心強い。
中に入ると、6席ほどのL字のカウンター。
席数は少ないけれど、カウンターはとっても広々としている。
入口の左奥には個室のお座敷も。
ご主人の戸村さんは、日本手拭を頭に巻いた作務衣姿が似合い、
“まじめな料理人気質” のようなものを感じられる。
最初は、プレミアムモルツの瓶ビールをいただくと、グラスはうすはり。
そんなちょっとしたことが嬉しかったりして。
一番最初のお料理は 蛤の茶碗蒸し 。
そして 鮑 、 ホタルイカ沖漬け と続く。
ちょっと食べかけだけど・・・
というのも、こんなちゃんとしたお店で写真撮るなんてなー・・・と思っていたけど、
鮑があまりにも美味しくて、思わずご主人に 「写真は撮っても良いのでしょうか?」 と聞いちゃった。
それに、気さくに 「えぇえぇ、どうぞ。」 と仰ってくださったので。
以降、お料理の写真は撮るものの・・・そしてどれも美味しいのだけど、
日本料理というものをちゃんと知らない自分。
料理の“名称”については、かなりアヤシイし、薀蓄たれるほどの経験はないので、
もっとお勉強が必要なのだけど、メモという感覚で、書いてみます・・・。
茄子の上にお味噌と雲丹 。
「え?味噌と雲丹の組み合わせ?」 と一瞬思うのだけど、これが絶妙!
最初に茄子と味噌の合体した味わいが口に広がり、最後に雲丹の風味が後を引く。
お椀は、穴子と大根。
このお出汁の味わいが・・・体に沁みる~~。
と、ご主人が
「もう少し後だと、筍が美味しい時期になると思うんですけどね。」 と語りかけてくれたのがきっかけで
いろんな話に盛り上がる。
最初は、
“筍が本当に美味しい時期は、たった1週間ほど、私は4/10前後だと思ってます” という話に始まり。
人間が時期関係なく、無理やり食材を出すのではなく、
自然に合った時期に料理人が合わせるべき、ということ。
(築地では “初物” なんて言って、なんであんなに高いものを出すんでしょうね~。)
料理人が料理より出しゃばっちゃ、いかんのです、ということ。
食材そのものの味が日本料理の基本、あれこれ味をつけるべきではない、ということ。
そして、一番熱く語ってらっしゃったのは
気持ちのこもっていない料理は、料理とはいえない、ということ。
一見、気難しそうにみえるご主人はお話好きと思われ、こんな話題に熱くなってくれた。
でも、ちゃんと我々とも良い距離を置いて、つかず離れず。
食べ進める速さも見ていてくれて、絶妙のタイミングで次から次へと料理が出てくる。
揚げ海老芋 には、ほんのり柚子の風味が。
あちちっ。
中がほっくほくで、海老芋そのものの味がじんわり。美味しい。
そして、この アカザ海老 が最高!
茹で上げられて、湯気がもくもくのアカザ海老を、“素手”でパパパっと皮をむいて出してくれる。
そして、ご主人の「頭を持って、尻尾の方からかぶりついて食べちゃってください。」という言葉に、
“お上品に”とか、そういうことを気にせず、豪快にパクっと。
さっきのお話の通り、余計な味はついていない。
アカザ海老本来の味と、海水の塩っ気のみ。でも、この海老の甘みというか旨みが素晴らしい!
頭の方についているミソも、ズズズっと啜ってしまう。
お刺身は マナガツオ 。
目の前でおろして少し時間をおいた山葵も用意してくれたけど、これは何と言っても塩が良い!
マナガツオ自体に弾力があって、噛み締めるとじんわ~~りと旨さが口いっぱいに広がる。
この焼き魚をすっかり失念(>_<)!
記憶に残っている味わい的には 鰆 だったかなぁ。 ほんのり西京焼き。
皮が香ばしく、パリっと焼かれているのが、また好み。
蟹飯 も、良い風味だ~。
湯葉の葛あんかけ 。
これも、とってもシンプルな味わい。
でも、一言でシンプル・・・と言って良いのかな?と思うような奥行きもあるんだよなぁ。
〆は、じゃこ飯か半田そうめんを選べる。
迷ったけど、半田そうめんをチョイス。
これが、しこしこ歯ごたえ感が、しっっっかり!
そして、おつゆがこれまた美味し~い!
少し甘めなのに、全然もったりせず、むしろ口がさっぱりするから不思議。
デザートを撮り忘れてしまったのだけど
「お彼岸ですから、おはぎをどうぞ。」 と、にこやかに笑うご主人の顔が、なんだか忘れられない。
ちなみに、お酒は〆張鶴のみ。
冷酒、常温、お燗と用意されているのだけど、お燗好きの我々は、始終ずーっとお燗を。
女性の店員さんが錫のチロリで出してくれるのだけど
その際には必ず最初の一杯をお猪口に注いでくれる。
その手が、また綺麗で。
艶やかというのではなくて、“仕事している” という、お母さん的な、懐かしいような女性の手。
ゆっくり飲んで食べていたので、我々が最後のお客になってしまったのだけど、
お店を出る時に、手土産で「じゃこ」をお土産に用意してくださったのはビックリした!
きっと、誰にでも・・・ではないと思うので、ココに書こうかどうしようか迷ったのだけど、
こんな優しい心を持っているご主人のことを留めておきたくて。
こうして思い返してみると、
食べ進めている間は、一つ一つの料理のインパクトを感じるというより、始終一環して淡々とした印象。
でも。
最後に、はたと気づくと “いつの間にか、満足感たっぷりになっている” のだ。
そんな素晴らしい京料理のお店なのに・・・
自分の未熟さのため、
この「と村」さんの良さの半分も、ここには表現できてないと思います・・・
また、本当の良さを芯から理解できるには、もっと年を重ねないといけないと思います・・・
とはいえ、ちょっと背伸びしたお店だったかもしれないけど、とっても良い経験になったな。。
こんな素晴らしいお店を教えてくれて、一緒に行ってくれた友達にも、大感謝。
[京料理 と村]
港区虎ノ門1-11-14 第二ジェスペールビル1階
03-3591-3303
18:00~21:30
定休日:日曜
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タメイキがでてしまいました。
3年に1度でいいから(いや、もしかして一生に一度か?)こういうの食べたい!
それでも行けて良かったです。
ご主人との話も、本当にいろいろお勉強になり。
3年に一度でも、5年に一度でも、
こういうお店で食べたいものです・・・。
もはや日本酒blogではなくグルメblogですね。
お支払いも大変なことになったのでは。
ワタシもいつか行ってみたいですね。
そんな機会がくるとも思えませんけど。
その日までもう少し経験を積みたいと思います。
おはぎの写真が見たかったです。
「行ってみっちゃった」っていう備忘録で・・・。
お支払いについては、突っ込んじゃいけません(笑)。
私も、もっと経験を積んで、年も重ねたら、
また行ってみたいものです。
きっと、もっと良さがわかるんだろうなぁと。
ちなみに和菓子が大好きなのん兵衛なお燗好きな友達です(笑)。
こういう雰囲気に場慣れしてるから、これまた心強かったりして。
それを感じさせない気持ちの良い接客してくれて、それができるから一流なんだろうな~って思う。
こういうお店で自然なエスコートしてくれる男性ってカッコよく見えるよね(笑)
我社のそばですが、「なか卯」と同じで、敷居が高そうでなかなか入れそうもない…。
京野菜も最近は葛飾の八百屋でも買えるので、助かります(笑)
コワイ店主の高級料理店もあるけど、
やっぱり気持ちの良さって大事だなーって思うね。
それが店主が言ってた「料理人が料理以上にでしゃばっちゃいかんと思ってます。お客さんは美味しいものを食べに来てるだけなんだから。」
って意味にも繋がるのかなぁ。
自然なエスコートしてくれた友達、かっこよく・・・
見えたことにしておこーっと(笑)。
葛飾の八百屋さんならお手ごろ価格で買えそうですね?!
京料理というものをちゃんと食べたのは、初めてかなぁ。。。
いつか本場の京都で食べてみたいものです。