阿佐ヶ谷の北口。
中央線のガードレールと平行して伸びる、細い道幅のスターロード商店街。
ここの雰囲気は大好きで、歩いてるだけで 「ココよさそう、あっちもいいな、あ!あそこも!」 状態。
そんな、良さそうなお店がたくさんある中、
何度かこの界隈のお店に足を運ぶたびに、目に入ってくる提灯がとっても気になっていた。
というのも、その提灯に書かれているお店の名前は 燗酒屋 っていうんだもの。
飲み友達がいつの間にやら足しげく通うようになったらしく、今回誘ってくれたのだ。
縄暖簾にこの提灯、その脇にチラっと中が見える木の格子がついた窓が、いい~~~感じ。
ガラガラっと扉を開けると、すぐにL字のカウンター、そして一番奥に小上がりが一つだけ。
と~ってもこぢんまりしていて、淡い照明に燈された店内は、どこか懐かしい雰囲気。
そして、カウンターの中にいる若女将が、これまた癒される感じなのだ~。
若女将のご希望と、
まだ行ったことのない男性客への“お楽しみ”という意味も含めてぼかしを入れましたが
着物に割烹着 が、と~っても似合う。
女将さんの、ほんわかしてるんだけどチャキチャキっとした受け答えがこれまた気持ち良い。
メニューを眺めつつ、瓶ビールとお通し。
と、メニューを見ている場合じゃない!このお通しが美味しくてびっくり!!
「地養鶏の胸肉をドレッシングで和えてあるだけですよ。」と言うのだけど、
そんな簡単に出せる味わいじゃないと思う。
“お通しが美味しいお店はイイ” って、よく聞くけど、いや~!ここも初っ端からやられました~。
さて。落ち着きまして。
黒いボードにあるメニューの中には5種類くらいのお刺身と、
煮物、揚げ物、ちょっとした和え物などなど・・・なんだか飲兵衛のツボを突くお料理がたくさん。
お刺身は 初鰹 と タイラ貝 と カンパチ を盛ってもらう。
初鰹が、これまた脂はないのにスンゴイもっちりでおいしい!
思わず女将さんに、そう言ってしまうと、
「今日のは鹿児島産のものだから、特に脂が全然ないですよね。大蒜よりも生姜が合うと思います。」
と、お魚にもなんだか詳しそう。
今年は気候が変だったから、お魚事情も変になってたりしますか~?と聞いてみると、
「味が落ちるということは無いけど、時期外れのものが美味しかったりしますね。
黒鯛なんて夏からのものなのに、もう今日のは美味しいんですよ。」 などなど。
さてさて。
日本酒は、今の時期だけ 新酒飲み比べ というのをやっているらしく、最初はそれを頼んでみる。
3つの銘柄は 滝自慢 と くどき上手 にごり と スキー正宗 朝一搾り 。
割烹着姿の女将さんが注いでくれます。。。癒されます。。。(オヤジ化してる自分)
「全部原酒でアルコール度数が高いので、喉が渇くと思います。お水も飲んでくださいね。」
と、さりげなくアドバイスしてくれるのも嬉しい。
確かに、スキー正宗に至っては、19%もある~!
しかも、3日前に開栓して最後の数ccとなったものと、口切のものと、両方出してくれたのだけど、
味が全然違ってびっくり。
口切はすんごい“アルコールっぽい”つんつんした感じだけど、3日前のはもう角が取れているのだ。
冷たいお酒を飲んでいると、なかなか食も進まないので、お燗に切り替え。
燗酒には、どんなお酒があるんですか?と聞くと、
奥から持って来た一升瓶を、カウンターに並べて見せてくれる。
大七 生もと に 鯉川 純米酒 に 石鎚 に 黒帯 悠々。
女将さん一人でキリモリしているこんな小さなお店なんだから 「たった4種類」 なんて言いっこなし。
と言いつつ我々は 「たぶん全種類飲むんだろうけど(笑)、何から飲もうかな~♪」
ま、いつものことで・・・。
お燗は、目の前の、6つ用意されてる燗所に、とぷん・・・とつけられる。
と、そこに温度計を “すっ” と刺して、その流れでタイマーを “ピピピっ”。
そんな流れるような手際を眺めているのも気持ちが良い。
他にもお料理を。
春らしい何か・・・と思い、ホタルイカと葱のぬた を。
写真、ボケボケですが(涙)。デジカメの電池が切れちゃったので、この日はiPhoneのカメラだい。
でも、とっても美味しいホタルイカと葱。
ちなみに。
普段は満席のことが多いと聞いていたけど、この日は特に混雑することもなく、
まったりゆったりした時間が流れている。
ぽつり、ぽつり、と入ってくるお客さんに、「あら、いらっしゃい。」と、顔がほころぶ女将さんを見ると、
みんな常連さんのよう?!
この小さな空間にはTVは無く、ラヂオでNHKのニュースが流れている。
これをBGMに、そっちこっちの会話が耳に入ってきて、思わずみんなで笑ってしまうシーンも。
常連さん「カツオいいね」 → 女将さん「生姜がオススメですが、ニンニクもありますよ。」
「んじゃ生姜で」 → 「ハイ、ニンニクですね。」
「ヲイこら・・・」 → 他のお客さんみんなで「あはは♪」
みたいな。
私が「そのラジオ、なんか年季ありそーですね。」というと、
困った表情の女将さんが「そう見えます?実は外側だけで、中は普通なんです。」と言うと、
畳み掛けるように 「そうそう。至って現代のモノ」 と常連さん。
そして、みんなでまた 「あはは♪」
とか。
「今日は客がいないね。」 という常連さんには、
“ねー!もぅ!WBC決勝戦の再放送を、みんな家で見てるんでしょうね。これじゃ私、干上がっちゃう!”
なんて、ボヤいている女将さんが、また可愛かったりして。
そんなのがきっかけで、WBCの決勝試合について、またカウンターみんなで話が盛り上がりつつ、
でも、やっぱり、お客同士や女将さんと、良い距離が保たれている。
そんな、ゆるりとした店内で、お燗を飲み進めつつ、
お料理は追加で、友達オススメの 車えびの天ぷら 。
頭まで揚げてくれているし、椎茸や大葉の野菜も一緒なのが嬉しい。
すんごいサックサク。
最後に もつ小鍋 。
白くて大きく見えるのは玉子。 なので、比較でどのくらい小さな鍋か分かるでしょうか。
飲んで食べるには、お腹にちょうど良い大きさ。
もつも、臭みが全然なく、と~ってもやわらかい・・・何日煮込んだんだろう?っていうくらい。
お会計を頼むと 「鰹にタイラに・・・カンパチでしたっけ? あとホタルイカに・・・・」 と、
頼んだものを一品一品、電卓でカタタタタっと打つ女将さんの姿も、これまたイイです~~。
こんな女将さんや、他の常連さんも、一見の自分に普通に接してくれて
初めてのようなんだけど初めてじゃないような、なんとも言えない居心地の良さを感じてしまうのだ。
[燗酒屋]
東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-3-3
電話番号は控えます。
小さなお店なので、常連さんのことを想った女将さんの希望です。
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1人か2人で行って、女将さんとの話を楽しみながらまったりとくつろぐ、そういう店ですね。
私は月イチのペースで通っているのですが、早いうちに阿佐ヶ谷に引っ越して、自分の台所代わりにしたいなあと思ってます。
また行きましょう。
大七も、黒帯も・・石鎚はなんじゃいって感じですね(w)
くどき上手を燗してぇ~って・・初めて行ったところじゃ無理か・・。
19度ねぇ、梅ちゃん20度って・・。
開栓分酒がま~るくなってるのかな・・。
時間は、時間だね~。
蛍烏賊は、日本海のものかなぁ?
相模湾にもいるんだけどねぇ・・。
支払いは現物で? (笑)
今の鰹は、脂が乗ってない分、鮮度が命ですなな。
実は、割烹着(白)フェチでありまする・・・。
「サラリーマンでよかった。」って思いますよ~。
きっと仕事帰りだからこそ、こういう気分になるんでしょうね。
あのなんともいえない間合いが心地よかったです。
料理もお手ごろな値段なのに、とっても美味しいですし。
良いお店に連れて行ってくださって、
ありがとうございました!
まったくそう感じさせないところが、またスゴイです。
このスキー正宗は、口切のはほんっとに“アルコールつんつーーん!”でしたよ~。
たった3日で、こうも味が開くのか、と思っちゃいました。
(その代わりダメになるのも早い?!)
鯉川は、普通とまではいかないですが、
最近は見かけるお店が増えたように思います~。
いいな!
いやホントにこんなお店が家の近くに欲しいものです。
お支払いは一升瓶の現物で(笑)。