司馬遼太郎は多くの著作を残して1996年に73歳の生涯を閉じたが多くの日本人に読まれ、若者にも経営者にも好んで読まれた。中でも「竜馬がゆく」は未だに人気を保っている最高傑作だ。この作品の竜馬が孫さんの人生に文字通り決定的な影響を与えた。
小説がこれほどまでに人に決定的な影響を与えた例はそうあるものではない。15歳でこの小説を読んだ孫さんのその後の人生の行動規範にり、金だけを追いかけがちな世の事業 . . . 本文を読む
下記の記事を並べてみるとソフトバンクグループ(SBG)が8日発表した2021年7~9月期連結決算の最終利益が3979億円の赤字に終わった原因が透けて見えるかもしれない。
ニューヨークトランプ・タワーの仇をニューヨーク証券取引所で討たれた格好になる。
孫さんは「リスクは管理できる」と述べている。アリババから多くの利益と今後の学びを得たというべきだろう。
中国投資を縮小し、日本投資を増やすな . . . 本文を読む
トマ・ピケティの「r >g」の不等式が示す現実におそらく相当数の人が漠然と疑問を抱いているのではなかろうか。お金が人よりも稼ぐ。
21世紀の資本は①経済成長率より資本収益率の方が高くなる傾向がある。
②この格差不平等は世襲を通してさらに拡大していく。
③不平等是正には資産への課税強化が不可欠。
この①を簡潔に表したのが不等式「r>g(アールダイナリジー)」。
お金の引力の法則 . . . 本文を読む
わたしはこの時代の孫さんを直接知っているわけではない。しかし孫さん自身が十分に語っている、そして弟の泰三さんや西和彦も当時の様子をそれぞれの立場で語っている。
孫さんは後年に語っている米国留学の話から見ていくことにしよう。
「僕が16歳で、アメリカに渡ったわけです。そのときに父親が血を吐いて病院に入院している不幸のどん底だった。そのときに僕は一人アメリカに行くと決めた。
家族のためにも、そし . . . 本文を読む
孫正義がゆく: ADSL開業 半径5メートルでみた桶狭間の戦い
宮本正男
ソフトバンクの次期主力商品ADSL12Mbit/sの販売を前にして前途に大きな壁が立ちはだかり、開業以来最大の危機を迎えた。
TTCの決定を根拠として干渉の恐れがあり、差別的に取り扱うとNTTから宣言されたの . . . 本文を読む
当時のYahooが実施したアンケート調査では、74%が価格の魅力で使いたいと答えている。しかし、評価できないと答えた26%の人の心配は以下のようなものだった。この心配を多くの人が持っていたしソフトバンク社内ですら、ほぼ同じ意見ではなかったか。
エピソード 心配
(心配1) 採算性が不透明であり,事業の継続性に疑問がある。
当時の他社は例えばアッカは50万加入を採算分岐点と考えていた。それが3 . . . 本文を読む
NTT東西は作業の平準化を図るために工事量の平準化を繰り返し主張していた。一方、ADSL事業者側は、顧客獲得は波があるのが一般的で、平準化など現実にはできない。申し込みが有る度、NTT東西にそのまま申し込みをする。NTT側の言い分も理があり、いつも双方の議論がすれ違い、交渉は一向に進展しないままに時は流れた。根底にはNTT側のモチベ-ションに対する不信感があることは言うまでもない。孫正義はこのNT . . . 本文を読む
「なぜ試験の成績が悪いのか理解できない、試験から逆算してやるべきことをすべてやる、それだけのことをやらないから良い成績がとれないのだ」顧客対応の会議で孫さんがよく使ったセリフだ。
2001年9月1日に開業して大変なことに気が付く。コールセンターやテクニカルサポート、顧客受付システムがお粗末極まりないのだ。素人集団が開業したらこうなる見本のような危機にぶつかった。
最初の立ち上げをリードした . . . 本文を読む
孫さんはどうしてADSL事業を始めたのだろうか。本人は
「通信事業者になりたいと思ったことは一度もない。情報革命の一環として成功させたかった」
と後年に述べているが、一方では
「ADSL事業は人生で最も苦労した仕事」とも述べている。
軍資金をためる時代から通信事業者へ向かう道筋を記してみた。
20代後半の孫さんは江副氏の勉強会に参加している。
1985年4月1日にNTTが民営化され . . . 本文を読む
IP電話サービスに限らないが、新サービスを開始するとき、実際にIP電話機能付きのモデムを顧客に使ってもらってさまざまな不具合を洗い出すプロセスを総務省が規定している。
そのときにスタッフが提案してきたのは常識的な試験数量だった。ところが孫さんはそれを会議で却下し2ケタ多い数を指示した。
驚いたスタッフは
「そんな数量は通りませんよ。やるなら自前のテスト環境を作ってやってくれと言われます」 . . . 本文を読む
わたしは2001年から2005年まで孫正義に身近に接し、折に触れて孫さんが「竜馬がゆく」に感銘を受けていることを感じていた。それも中途半端なものではなく、彼の心の深いところに沈潜してビジネスから生活まで行動をを律していることを感じ取っており、おそらく現在にいたるまで変わっていないと思う。
孫さんの志は「竜馬がゆく」の「世に生を得るは事を成すにあり」に触発されたものであり、「竜馬がゆく」を孫さんの . . . 本文を読む
孫正義がゆく: ADSL開業 半径5メートルでみた桶狭間の戦い
宮本正男
「なんだ、光ファイバーの販売が全然進んでいないじゃないか」と孫さんが会議ではっぱをかける。
「NTTがニューファミリータイプの小売4500円を出してきました。卸料金5074円にもかかわらず小売りの方が安いので . . . 本文を読む
スティーブ・ジョブズ(1955年2月24日 - 2011年10月5日)が亡くなって昨日で10年になる。56歳といえば早逝といえるだろう。
2007年1月9日、Macworld 初日の基調講演でスティーブ・ジョブズがiPhoneを発表。
この日付を見て驚く。亡くなる4年前に孫さんは独占販売のチャンスをものにしている。そしてソフトバンク携帯事業飛躍の土台としている。孫さんとスティーブ・ジョブズ . . . 本文を読む
孫正義がゆく: ADSL開業 半径5メートルでみた桶狭間の戦い
宮本正男
孫さんにも苦い経験がある。2008年の光の道構想の挫折だ。
孫さんは2000年の第151国会 衆議院 憲法調査会で参考人として出席し次のように述べている。
「光ファイバを引くのにおいて、電柱に三十センチずつ . . . 本文を読む
2001年の暮れだったか総務省幹部が日本橋に来社した。FWA直線間無線へ参入のお誘いだった。当時の事業に直接関係がなさそうなのでお引き取り願ったがふと携帯電話事業が頭に浮かび孫さんに参入の意思を尋ねたことがある。
当時はADSL事業に頭がいっぱいでそれどころではないよとの答えを推測したが案に相違して
「そのうちね」
と。
今から考えると既に携帯電話事業が視野に入っていたことが理解できる。
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