{ 作者を離れた言葉たち }
7月15日朝日夕刊の ✿ あるきだす出す言葉たち は1978年生まれの岡田佳奈
✿ うらおもて 10首 より私の気になる4首を取り上げてみることにする。
♠ 夕顔の上りくだりの坂ありぬ
夕顔の咲く坂道を作者が歩く。しかいこの句は夕顔が坂道を上り下りしているようだ。
♠ 夏蝶の怒りの如く飛び出せり
怒っている作者の前に蝶が現れたのか。羽ばたく蝶がまるで怒っているようだ。
♠ 病葉の穴の向かうに言葉あり
穴の上に落ち葉が重なっている。木から捨てられた病葉の言葉。どんな言葉だろうか。
♠ 円ろきかな蓮の浮葉のうらおもて
蓮の葉はまさに360度の豊かな緑の円。葉裏も全円だが陽を遮られ、淋しい緑色である。
、
岡田佳奈は2004年に 「魚座」新人賞受賞。広島大学で行動科学を研究。行動の切り替えを行う脳の仕組みに関する研究をしているらしい。まだ30代半ば、今後が楽しみな女性である。この 「うらおもて」 には 「彼」 は見えない。私が気がつかなかったのか、
岡田佳奈サマ あなたの彼の 「うらおもて」 の句を書いてくださいね。
7月16日 松井多絵子