えくぼ

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向き合う力

2014-07-28 09:16:27 | 歌う

             ☀ { 向き合う力 } ☀

▲ 山頂のするどき牙がわれに向くアルプス連峰深夜の映像  松井多絵子

 『向き合う力』という新聞の本の広告。著者は阿川佐和子ではない。女優の池上季実子。   「デビュー40年の女優が明かす、生きづらさを乗り越えるためのコツとヒント」。だそうである。昨今の猛暑にこの世の生きづらさを感じる。タイミングのいい広告だ。親との葛藤、いじめ、結婚、仕事と子育ての両立、大事故と後遺症、おひとりさまとしての老後、なんてシンドイ人生だろう。

 池上季実子は1959年生1月生まれ。まだ50代の半ばなのに女の苦労をすべて背負った女なのか。歌舞伎役者で人間国宝の八代目・坂東三津五郎の孫。ニューヨーク州マンハッタンで生まれ3歳で帰国。1974年にテレビドラマでデビュー。オスカープロモーション所属

 20年以上も前、わたしが歌会に出詠した1首を「発想が面白い」とほめてくださったった方がいた。そのときベテランの歌人が 「まあいい歌ですけどね。上には上がありますからね」と一言。深夜のテレビのアルプス連峰がわたしに向ける鋭い牙に見える。いや、映像のアルプスの頂上に向ける私の視線が怯えているのだ。山は登れば登るほど険しいのだ。と。

 池上季実子はいわゆる美人ではない。少し妖しい女、ミステリーの似合う女優ではないか。スーパーのセールへ駆けつける主婦というより、夫に家事をさせる高慢な妻をおもわせる。こういう女は女に好かれない、女の味方がなくて苦労している女。そんなおんなを何人も知っている私の思い込みで、「池上季実子」像を作っているかもしれない。しかし女を味方にするにはかなりのサービス精神が要る。お金と時間と忍耐力。結局、できるだけ人とかかわらない暮らしをしたい、そして おひとりさま、池上季実子はすでに 「おひとりさま」 ✿すべての経験には「意味」がある というキャッチフレーズ、彼女は半世紀をひたむきに生きたのだろう。 ✿ 向き合う力 は 池上季実子の体当たりの著書かもしれない。

  我が家から徒歩15分の書店へも行かず夏眠、ミンミン蝉の合唱をききながら。 

                         7月28日  松井多絵子