{ わたしの壁 }
◆ 白壁に強風はたはた折れ曲がりわたしにだって言い分がある 松井多絵子
本の広告の多い朝刊のなかでも一際目立つ ◆ 自分の壁 ◆ 著者は解剖学者・東京大学名誉教授の養老孟司。 すでに 「バカの壁」 は437万部も売れたそうである。新刊の 「自分の壁」の広告のキャッチフレーズを読むだけでも、私には20数分かかった。
● 「自分探し」なんてムダなこと ● 「自分」とはただの矢印である
● 知るべきは「自分」ではなく「他人」 ● 個性なんて追い求めなくていい
著者は1937年生まれ。4歳の時に父親を失い医師の母親に育てられたらしい。人間をよく分かっている解剖学者から見たら、私はムダなことばかりしている生きものであろう。
◆ 白い壁、白いテーブルその上のメモには何も書かれていない
● 体内には別の生きものが住んでいる ● 脳は他人の顔色をうかがう
● 1日10分自然を見ることで意識が変わる ● 「本当の自分」より「本物の自信」を
◆ 壁のごと迫る津波を語るとき海辺の女は瞼をとざす
テレビの画面の女は 「津波はまるで壁が自分に迫ってくるような、、。」と語りながら目をとじていた。祈っているように見えた。祈るしかすべがなかったのだろう。その瞬間は。
外壁にひろがる蔦はいま書きし手紙の草書の乱れのように
7月25日 松井多絵子