♥ 「こころブーム」 ♥
♥ いま我のこころは健やかピーマンを手に取りしばし見とれていたり 松井多絵子
夏目漱石は今世紀に入って世界で新たな読者を増やしていると、7月月22日朝日夕刊は伝えている。生前から作品が翻訳されているが、2001年以降は約60作が30ケ国以上に訳された。海外の人が関心を寄せやすい異国趣味とは遠い漱石の作品が読まれる理由は国境や時代を超えても得られる「共感」らしい。
中国の人気書評サイトに漱石の作品の感想が多く書きこまれている。例えば ♥ 「こころ」
の友人「K」の自殺を背負い続ける「先生」の厳格な倫理観と、利益至上主義に走る中国社会の現状を比較する記述もある。自分自身に引きつけて中国人は読んでいるのだろうか。
朝日に今連載中の ♥ 「こころ」 が漱石人気に拍車をかけているのだ。新聞広告の
『吾輩ハ猫ニナル』が目立つ。書店で漱石の『吾輩は猫である』と間違えて買わないように。しかし 「猫二ナル」 も面白そうだ。第51回の芥川賞候補であり、第57回群像新人文学賞を受賞している。著者の横山悠太は1981年生まれ。北京に住んでいるとか。日本語と中国語を混交した文体、「猫二ナル」は日本人の父を持つ中国青年の成長を描くユーモラスな作品らしい。
奇抜卓抜、面白い、見事な漱石論 大絶賛の声・声・声!大型新人、驚異のデビュー作。まるで油蝉の大合唱のような広告文。写真の横山悠太は俯いている優男である。朝日連載の今日の ♥ 「こころ」 先生の遺書(六十六)はいよいよ佳境に、、。
これから綿矢りさサンのお話を聞きます、朝日朝刊✿リレーおぴにおん を。
7月23日 松井多絵子 、