{ 殻ちゃん~24回 }
6月から殻ちゃんの制服は夏服になった。白い半そでのシャツブラウス、紺色のテトロンのプリーツのスカート。身長もアキと同じになり、一人っ子のアキには殻ちゃんは妹のような感じである。4時すぎに学校から帰った殻ちゃんは、一枚のプリントをアキに渡す。
殻 ✿ 「6月15日の午後2時から保護者会があるんだって」
アキ✿ 「6月15日か。 特に仕事がないから出られるよ。担任の泉先生を見たいしね」
殻 ✿ 「進次はね小泉進次郎に似てるよ。<ボクを信じろ>って初めに挨拶したんでシンジローってあだ名がついちゃった。若くてカッコイイ。保護者会のママ、キレイになってね」。
3年前に社会科の先生になったシンジローの授業は面白い。世界史の古代エジプトは、彼が学生時代に周遊したエジプトのビデオを見せながらのお話。とても楽しかった、ボクもエジプトに行きたいなあ、と殻ちゃんが数日前に云っていた。その生き生きした目を見ながらアキは安心した。ユイの息子の足立塔なんかに殻ちゃんが夢中になる筈がないだろう。
アキは洋服タンスをひらく。着古した服ばかり。安物の服ばかり。豊かな子弟の多い神山中学のママたちは服装もさぞかしだろう。アキは殻ちゃんが脱いだ夏の制服を来て「これこそオラによく似合う」と思った。殻ちゃんも 「ママ、かっこいいよ」と笑ってる。どこにでもある
シャツブラウスだが左袖に K のブルーの刺繍、ブランドのマークめいて高級に見える。
「林真理子の語録」 にアキは話しかけられているような気がする。
♥ きれいでいられる人とそうでない人の差って結局 諦めるか諦めないかだ。
今日はここまで。次の25回も読んでくださいね。 7月27日 松井多絵子
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