{ 直木賞の黒川博行さん }
✿まず賞を、そして急いで実力を、ふかく礼して花束を抱く 松井多絵子
候補になったのは6度目で、黒川博行さんは第151回の直木賞を受賞 「読み物として候補作のなかで一番おもしろい。ずっと質を落とさず書いてきたことに敬意を表したい」 と選考委員の伊集院静氏は語る。黒川さんは30年も前から小説を書き始めた、人生の大半が大阪暮らし。シリアスな物語に大阪弁の会話を巧みに盛り込む。ベテランの作家の受賞である。若い人の才能を大切にするあまり、若すぎる人に賞を与えているように思える昨今、65歳の直木賞に拍手、拍手である。賞を手にしたら急いで実力をつけるつもりが、急いでマスコミに名と顔を、、。まるで芸能人になる若手の受賞者のようににはなる筈がない黒川博行さんは。
受賞作 ✿ 破門 ✿ 金への執着心が強いヤクザと堅気の建設コンサルタントがコンビを組むシリーズの第5弾。詐欺師を追い、マカオのカジノや大阪を飛び回る。新聞記者に取材し、犯罪の手口を先取りして書くことが多いらしい。次回作のテーマは ✿ 後妻業 ✿ 遺産狙いで高齢者と結婚する女の話。「こんなのに引っかかったらあきませんと世に知らしめる。フィクションならそれができる」 と7月18日朝日 「ひと」 の黒川さんの髭もじゃの顔が笑っている。65歳からなぜか老人にされる日本。老人は住みにくい日本。わたしたち老人のリーダーになっていただきたい人である。もっと、もっとがんばってください。黒川博行さん。
二百字の原稿用紙だあの家は、白いタイルの三階の家
7月19日 松井多絵子