AI (ええ愛・Atelier Ichien)

ここは、『AI(ええ愛)』のある人たちの自由な空間です。一つ一つの記事に『AI(ええ愛)』が込もっているものばかりです。

母子の愛  100人の1歩より

2011年05月19日 | うたしやきなお話
一円の…愛読している…メールマガジンより…お福分け…させて…いただきます…m(__)m…
写真は…ゆらゆらのかおりさんの…提供です…m(__)m…
ありがとう…ございます…m(__)m…


vol.808[母子の愛]


ゆうです

おはようございます♪

いつも読んで頂きありがとうございます☆


あと10日☆

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「東京大空襲で見た母子の愛」

西村滋(作家)



ともかく何か職を探そうと、昭和十七年、

十七歳の時に単身上京しました。


実は終戦近くになって自分も結核を患い、

世田谷の療養所に入っていたんですが、

当時は外科病院が人手不足のため、

回復期にある病少年を手伝いに行かせていたんです。
 

割合に元気だった僕は昭和二十年三月九日の夜、

浅草にあるその病院へ行きました。


ただ御徒町の駅に降りると、何だか嫌な感じがするんですね。

予感というのかな。
 
で、病院に着いて怪我を負った少年のベッドの傍に座った途端、警戒警報が出たんです。

それからしばらく静かなだと思っていたら、

いきなりガーンッ!

と爆撃が始まった。


外を見たら電線が垂れてるわ、家がゴーゴー燃えてるわで、

えぇっ!? と思ってね。
 

ここにはいられない、と怪我の子を連れて

廊下へ出たらその直後、病室に爆弾が落っこったんですよ。

もうちょっと遅かったら死んでましたね、本当に。


とにかく外へ飛び出すと、両側の家が激しく燃え上がり、

みるみる広がっていく。


目の前に乳母車があったので、どうせ燃えるのならと頂戴して、

その子を乗っけて一目散に駆けました。

皆は隅田川の橋へ橋へと逃げる。
 

僕は勝手が分からないから、とにかく他の人についていく。

すると橋の手前は渡れない人でいっぱいで、どうにもならない。
 

それでまた大通りへ戻ってきた時に、

これは風上へ逃げたほうがいいと考えました。


それを突破できれば火に追われることはない。
 
でも大変ですよね。


目に火の粉は入っちゃうし、

そのうちに強い熱風がきて乳母車から手を取られてしまい、

その子とは離れ離れになりました。

とにかく向こうの建物までは、と考えたんですが、

途中で僕も力尽きて倒れ込みました。
 

五分刈の頭は火に炙られて脂が浮き出てくる。

焼けた物が飛んできて着ていた服に火がつく。

こんな所で焼き殺されるなら死んだほうがマシだ。
 

そう思って舌を噛みました。

でも力が足りなくて、切れなかったんですね。


そのまま失神しそうになった時、

「こっちだ、こっちだ」という声がしてゴロゴロ転がっていくと、

自分が天麩羅のネタになったようにシューッと音がして、

衣服の火が消し止められたんです。
 
電車の線路の枕木が爆弾で剥がれた所に、

消火用の機器が置いてあって、誰かがぶちまけてくれた。

それで奇跡的に助かったんですよ。


ただ、軍隊のトラックが無茶苦茶に走っていて

死体の上を踏み潰して走る。


こっちが生きてることを示すために必死に手を振って

「寝ちゃダメだ、寝ちゃダメだ」と

周りにいた皆で声をかけ合いました。


それでも、いつか気が緩んだんでしょうね。

気がついたら夜が白々と明けていました。


焼け跡を素足で歩くのはまだ熱いぐらいでしたが、

僕は放心状態になったまま足を動かしていました。

何か、助かったという気がしない。

あたりは地獄絵ですよね。
 
皆死んでて、焼け死体。


軍隊が来たんですが、遺体処理に困り、

積み上げた死体の山にガソリンをぶっかけて燃やしている。


誰が誰だか分かりゃしない。
 
でも僕はそれを見ても何の感情も起きないくらい、

ポカーンとしていました。



そのうちにある場所で、人が集っているのを目にしました。

見ると若いお母さんが死んでいるんですが、

その路地の突き当たりが石塀で、

どこにも進めない所へ入っちゃったんですね。
 
前にも後ろにも行けなくなって、

結局子供だけでもお母さんは守ろうとしたんじゃないでしょうか。


素手で穴を掘ってね、
その穴へ子供を埋めて、自分の体で蓋をして……。
 

その子は死んでいます、もちろん。

死んでいましたが、お母さんのおかげで

非常にきれいな遺体でした。

お母さんの背中は焼け焦げてもう真っ黒……。


それを覗いて見た瞬間、僕は説明を聞かなくても

事情がすぐに飲み込めました。


その時に初めて人間に戻ったんじゃないですか。

ウワーッ! て泣いたんですよ。
 
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