
【人間 この未知なるもの】4956
渡部昇一氏の心に響く言葉より…
私の生涯を決定した本を三冊挙げよといわれたら、アレキス・カレルの『人間 この未知なるもの』を欠かすことができません。
それほど大きな影響を私はこの本から受けました。
カレルのこの名著に学ぶことも人生修養の糧となると思いますので、この名著を紐解いてみたいと思います。
アレキス・カレルはフランス人の医者です。
しかし、滞米期間が長くロックフェラー研究所にいたころにノーベル賞を受賞しています。
カレルが何故、この『人間 この未知なるもの』を書いたかと言いますと、若いころに「ルルドの奇跡」などを見て、この世には理屈では解明できない訳のわからないことが、まだたくさんある。
とりわけ人間というものが何か、ぜんぜんわかっていないじゃないか、ということが頭にあったのでしょう。
こうして彼は、今の世の中で納得できていることが、実は違うのではないか、という例をいくつもあげています。
一例をあげれば、今の普通人の食生活は、フランスのルイ十四世やロシアのフリー ドリッヒ大王よりも贅沢になっている。
「しかし」と彼は言います。
そしてショッキ ングなことばかり並べていきます。
例えば、スポーツ選手の神経は昔の人に比べてもろくなっている、と彼は言います。
考えてみればその通りです。
カレルは西洋の例をあげていますが、日本のマラソン選手である高橋尚子選手でも野口みずき選手でも、非常に速く走ることができるものの、代わりに、すごく丁寧に身体を管理しないと何もできません。
ちょっと無理して走ればすぐにアキレス腱を切ったり、肋骨にヒビが入ったりします。
ある意味、すごく弱くなっているのですね、今のスポーツ選手は。
ところが考えてみれば、岐阜の大垣にいた豊臣秀吉軍は、琵琶湖の北にある賤ヶ岳で戦いが始まると、一晩で槍を担いで駆けつけ、翌朝からはもう戦っているわけです。
肉体的にも精神的にもものすごく強いんですね。
もちろん隊の速さで言えばマラソン選手よりは遅いでしょう。
しかしマラソン選手が槍を担いで走るわけではありません。
それは厳密なるコーチがいたりして、ようやく走って、後は半年ぐらい休まなきゃいけない。
翌日から戦争なんて考えられないことです。
もっと面白いことは、身長が伸びるということは、進化ではなく退化ではなかろうか、とも書いています。
これも白人としては実に驚くべき発現です。
何となく白人は 身体が大きいから進化していると思っているのですが、実は、大きくなることは良いこととは言えないのではないか、ということを例をあげて説いています。
今の日本人は昔の日本人より皆、背が高く肉体的には進歩しています。
しかし、昔は皆、背の低い小男でした。
しかし耐久力になると抜群にありました。
また知力も、だんだん下がってきているのではないかとも書いています。
自然科学というのは過去の実績に継ぎ足し、継ぎ足しで発展してきました。
だからどんどん進むわけですが、それに比べて研究者や国民の知力が伸びているかというと、そうでもない。
フランスでは明らかに落ちており、アメリカにおいても知能の水準は、さまざまな科学の進歩によって、たくさんの発明品が世に出たにもかかわらず低い、というようなことを言っています。
このように「おっ」と思われる事例がたくさん登場します。
だから読んでいて面白 いのです。
それから精神病患者がどんどん増える傾向にある、とも指摘しています。
何故なら、精神病状態の研究は盛んに行われ、それ故に患者数も増えているが、肝心な精神病が何故起こるのか、という研究は進んでいない、と言うのです。
こうした状況を見てカレルは、白人文明の終わりではないか、と非常に危機感を覚えます。
彼はアジアのことは知りませんからアジアのことには一切触れていません。
すべてフランスとアメリカを中心に述べています。
『「修養」のすすめ』致知出版社
https://amzn.to/3McMnsO
本書の中に「適応能力」の話がありました。
『人間にはものすごい適応能力があるということも言っています。
適応能力とはどういうことかと言うと、寒い時、体全体が寒さに応じるような態勢を整える。
この適応能力がなければ人間は死んでしまうわけです。
そして、
「適応能力は鍛えなければ駄目だ。
生物の価値は適応能力の高さにある。
人間が自分で適応能力を高めるためには、意思の力が必要だ。
寝たいだけ寝て、食べたいだけ食べたらどうなるか。
適応能力がどんどん下がっていく。
だから空腹に耐え、眠たいのを我慢して仕事をすることも重要である」
と主張しています。』
なんでも手に入る現代、我慢のできない子どもが増えたと言われています。
甘やかしすぎたり、しつけができなかったりしたことが原因です。
耐えること、我慢することは、現代において、ますます必要です。
つまり、セルフコントロール力をつけるということです。
自制心であり、克己心で、誘惑や衝動的感情に打ち克ち、行動を制御することです。
セルフコントロール力を身につけることができる人でありたいと思います。
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渡部昇一氏の心に響く言葉より…
私の生涯を決定した本を三冊挙げよといわれたら、アレキス・カレルの『人間 この未知なるもの』を欠かすことができません。
それほど大きな影響を私はこの本から受けました。
カレルのこの名著に学ぶことも人生修養の糧となると思いますので、この名著を紐解いてみたいと思います。
アレキス・カレルはフランス人の医者です。
しかし、滞米期間が長くロックフェラー研究所にいたころにノーベル賞を受賞しています。
カレルが何故、この『人間 この未知なるもの』を書いたかと言いますと、若いころに「ルルドの奇跡」などを見て、この世には理屈では解明できない訳のわからないことが、まだたくさんある。
とりわけ人間というものが何か、ぜんぜんわかっていないじゃないか、ということが頭にあったのでしょう。
こうして彼は、今の世の中で納得できていることが、実は違うのではないか、という例をいくつもあげています。
一例をあげれば、今の普通人の食生活は、フランスのルイ十四世やロシアのフリー ドリッヒ大王よりも贅沢になっている。
「しかし」と彼は言います。
そしてショッキ ングなことばかり並べていきます。
例えば、スポーツ選手の神経は昔の人に比べてもろくなっている、と彼は言います。
考えてみればその通りです。
カレルは西洋の例をあげていますが、日本のマラソン選手である高橋尚子選手でも野口みずき選手でも、非常に速く走ることができるものの、代わりに、すごく丁寧に身体を管理しないと何もできません。
ちょっと無理して走ればすぐにアキレス腱を切ったり、肋骨にヒビが入ったりします。
ある意味、すごく弱くなっているのですね、今のスポーツ選手は。
ところが考えてみれば、岐阜の大垣にいた豊臣秀吉軍は、琵琶湖の北にある賤ヶ岳で戦いが始まると、一晩で槍を担いで駆けつけ、翌朝からはもう戦っているわけです。
肉体的にも精神的にもものすごく強いんですね。
もちろん隊の速さで言えばマラソン選手よりは遅いでしょう。
しかしマラソン選手が槍を担いで走るわけではありません。
それは厳密なるコーチがいたりして、ようやく走って、後は半年ぐらい休まなきゃいけない。
翌日から戦争なんて考えられないことです。
もっと面白いことは、身長が伸びるということは、進化ではなく退化ではなかろうか、とも書いています。
これも白人としては実に驚くべき発現です。
何となく白人は 身体が大きいから進化していると思っているのですが、実は、大きくなることは良いこととは言えないのではないか、ということを例をあげて説いています。
今の日本人は昔の日本人より皆、背が高く肉体的には進歩しています。
しかし、昔は皆、背の低い小男でした。
しかし耐久力になると抜群にありました。
また知力も、だんだん下がってきているのではないかとも書いています。
自然科学というのは過去の実績に継ぎ足し、継ぎ足しで発展してきました。
だからどんどん進むわけですが、それに比べて研究者や国民の知力が伸びているかというと、そうでもない。
フランスでは明らかに落ちており、アメリカにおいても知能の水準は、さまざまな科学の進歩によって、たくさんの発明品が世に出たにもかかわらず低い、というようなことを言っています。
このように「おっ」と思われる事例がたくさん登場します。
だから読んでいて面白 いのです。
それから精神病患者がどんどん増える傾向にある、とも指摘しています。
何故なら、精神病状態の研究は盛んに行われ、それ故に患者数も増えているが、肝心な精神病が何故起こるのか、という研究は進んでいない、と言うのです。
こうした状況を見てカレルは、白人文明の終わりではないか、と非常に危機感を覚えます。
彼はアジアのことは知りませんからアジアのことには一切触れていません。
すべてフランスとアメリカを中心に述べています。
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本書の中に「適応能力」の話がありました。
『人間にはものすごい適応能力があるということも言っています。
適応能力とはどういうことかと言うと、寒い時、体全体が寒さに応じるような態勢を整える。
この適応能力がなければ人間は死んでしまうわけです。
そして、
「適応能力は鍛えなければ駄目だ。
生物の価値は適応能力の高さにある。
人間が自分で適応能力を高めるためには、意思の力が必要だ。
寝たいだけ寝て、食べたいだけ食べたらどうなるか。
適応能力がどんどん下がっていく。
だから空腹に耐え、眠たいのを我慢して仕事をすることも重要である」
と主張しています。』
なんでも手に入る現代、我慢のできない子どもが増えたと言われています。
甘やかしすぎたり、しつけができなかったりしたことが原因です。
耐えること、我慢することは、現代において、ますます必要です。
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