
【デジタル時代のマーケティング・エクササイズ】3955
酒井光雄氏の心に響く言葉より…
終身雇用は年功序列と並んで、これまで日本企業が前提としていた雇用制度だ。
この制度が存在するため、日本の人材の流動性は諸外国と比べて低いままだ。
日本経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は2019年4月22日の記者会見で「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」と述べ、トヨタ自動車の豊田章男社長は同年5月13日に行われた自身が会長を務める日本自動車工業会の会長会見で「雇用を維持し、税金を払っている企業にとって、もう少しインセンティブが出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないか」と述べた。
日本を代表する経済団体のトップが、相次いで日本企業は終身雇用を維持できなくなる趣旨の発言をした。
与信管理のクラウドサービスを行うリスクモンスターが、2018年に就職活動を迎える2019年卒の学生の志望先をまとめた「就職したい企業・業種ランキング」を2018年3月29日に発表した。
このデータを見ると、就職希望ランキングの1位は国家公務員(5.6%)、2位は地方公務員(5.2%)となり、安定を重視する学生が多いことが明らかになった。
そんな中で、奈良県生駒市長の小紫雅史氏は2019年6月2日付『ダイヤモンドオンラインで、「公務員の終身雇用制度は10〜15年で崩壊する」と題し、以下のような趣旨の指摘をした。
地方公務員法第27条2項には「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、もしくは免職されず…」という身分保障に関する規定があるが、小紫氏は、公務員の終身雇用は10〜15年後、すなわち2030年から2035年をめどに崩壊していくとし、その理由として以下の3点を挙げている。
1. 多くの公務員を雇用し続けることができない財政状況になる
人口減少や高齢化、行政課題の多様化などに伴い、自治体の財政状況は厳しくなり、多くの公務員を雇用し続けることができない財政状況になる。
2.AIやICTの普及と外部委託の増加によって、職員が従事する業務が大きく減少する
定型業務をAIが行うようになれば、適正な職員数が今とは大きく変わり、10年もすると相当の自治体業務はAIやICTによる対応が可能になる。
3.急激な社会変化や市民ニーズの高度化・多様化等に対応するには、プロジェクトごとに外部から専門家を登用するほうが合理的になる
職員採用に社会人経験枠を設けて年齢制限を撤廃するなど、多様な人材を求める動きはすでに自治体で始まっている。
年齢に関係なく地域に付加価値をもたらすことのできる職員を抜擢し、中途採用者など多様な視点を組織に持ち込んで、過度な同質性をあえて乱しにいくことが不可欠になる。
その上で、小紫氏はこれから公務員になる人材は、
「終身雇用が崩壊しても役所が手離さない公務員になること」
「公務員をやめても食べていける公務員になること」
だと指摘した。
奇しくもトヨタ自動車の豊田章男社長も、2019年の社員向けの年頭挨拶で、同様の指摘を行っている。
「(トヨタ自動車の社員は)トヨタの看板が無くても、外で勝負できるプロを目指してください。
私たちマネージメントは、プロになり、どこでも闘える実力を付けた皆さんが、それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境を作りあげていくために、努力してまいります。
他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えられます。
皆さん、一緒にトヨタの未来を作っていきましょう」
定型化されパターン化された仕事はITやAIに代替えされ、これからの仕事は人間だからできる仕事に集約されていく。
その一方でこれまで存在しなかった新たな職業も誕生していく。
1980年代から1990年代にかけて、アメリカをはじめとする製造業の現場では産業用ロボットの活用などにより、省力化が急速に進んだ。
その雇用の受け皿になったのが、流通業(トラックなどの運転業務や倉庫業務)と小売業だ。
21世紀に入り、アメリカでは小売業が製造業を押さえて最大の雇用創出源となり、アメリカの労働者の10人に1人は小売り業で働いている計算になる。
アメリカの小売市場は5兆ドルといわれるが、その5分の1が2020年までにネットに移行すると予測されている。
アマゾンは世界中の倉庫に10万台以上のロボットを導入し、今後さらに増やす計画だ。
アマゾンはロボットを導入することで個別の倉庫当たり年間2200万ドルを節約できると試算している。
将来、ドローンや自動運転車での配達も視野に入れており、アマゾンの従業員が1人増えると、リアルの小売店の従業員が2人減るといわれている。
自動運転実用化されると、全国のタクシー、トラック、バス、ウーバーなどで運転している人たちは転職を余儀なくされる。
その一方、ユーチューバー(YouTuber)に代表される動画クリエイター、ブロックチェーンのエンジニア、データサイエンティスト、AIに精通したエンジニア、プロeスポーツ選手といった新しい職業も生まれてくる。
定型化やマニュアル化できる仕事は、人間が携わる必要はなくなり、人間だからできる仕事、ITやAIでは代替できない価値を創造する仕事に私たちは取り組むことになる。
人の寿命が企業の寿命を超える時代では、人は一生をひとつの企業で終えることはできなくなり、2社以上の企業で働くことが当たり前になる。
社会にとってなくてはならない存在になれば、その人の社会的価値は高まり、人生の選択肢が増える。
また就職して働くだけでなく、起業して世界を魅了する企業に成長させることができれば、社会により大きく貢献できる。
マーケティングはビジネスのためだけに存在するのではなく、私たち個々人の可能性を広げる翼にもなり得るサイエンスだ。
仕事はもとより、読者の可能性を最大限に拡張させるためにもマーケティングの力を身につけてほしいと心から願っている。
『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』プレジデント社
リンクトイン創業者が書いた「アライアンス」という本がある。
その中に、本書の中でトヨタの社長が話したことと同じようなことが書いてあった。
『雇用を「取引」ではなく「関係」としてとらえるための枠組みを示すこと、雇用を「アライアンス」だと考えてみよう。
自立したプレーヤー同士が互いにメリットを得ようと、期間を明確に定めて結ぶ提携関係である。
マネジャーと社員がお互いを信頼して相手に時間と労力を投入し、結果的に強いビジネスと優れたキャリアを手に入れる。
「アライアンス」は、そのために必要な枠組みとなるのだ。
アライアンスの関係は、雇用主と社員が「どのような価値を相手にもたらすか」に基づいてつくられる。
雇用主は社員に向かってこう明示する必要がある。「当社の価値向上に力を貸してほしい。当社も『あなた』の価値を向上させよう」
ベイン・アンド・カンパニーのチーフ・タレント・オフィサー、ラス、ハーゲイも、新入社員や社内のコンサルタントに向けて同じことをいっている。
「我が社は君たち(一般的な労働市場で)の市場価値をさらに高めるつもりだ」
一方で、社員は上司に向かって次のように明示する必要がある。
「私が成長し活躍できるように手を貸してください。私も会社が成長し活躍するための力になりましょう」
社員は会社の成功のために時間と労力を投入し、会社はその社員の市場価値向上のために時間と労力を投入する。
ただカネと時間を交換するのではなく、互恵的な提携関係を結ぶことで、雇用主と社員がこの関係に投資でき、より大きな果実を狙うために必要なリスクを負えるようになる。』
まさに、雇用関係においても、新しい時代がきている。
そして雇用関係だけでなく、あらゆる面においても、激動の時代がすでに始まっている。
それは、本書の目次にもあるような項目だ。
「異業種から参入した企業によって、自社の市場が奪われる事態が今後多発する」「企業にとって最大の脅威は、時代に伴う環境変化に対応できないときに訪れる」「過去の成功モデルが、いつまでも通用するとは限らない」「多くの企業は万人に支持されようとして、結果的に誰からも愛されなくなる」「高品質のサービスを提供しているのに、日本のサービス業は報われていない」「製造業とサービス業は、やがて融合する」「インターネットとデバイスの進化が、コミュニケーションを変えていく」「バリューチェーンモデルのアナログ企業の市場を、プラットフォーマーは奪っていく」他。
本書の構成は非常にユニークだ。
「自分ならどうするか」という発想力や当事者意識を磨き、マーケティング力を身につけるための設問が多く用意されている。
これ一冊でワークショップや、ケーススタディの深い実践ができる。
デジタル時代のマーケティング力を身につけたい。
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酒井光雄氏の心に響く言葉より…
終身雇用は年功序列と並んで、これまで日本企業が前提としていた雇用制度だ。
この制度が存在するため、日本の人材の流動性は諸外国と比べて低いままだ。
日本経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は2019年4月22日の記者会見で「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」と述べ、トヨタ自動車の豊田章男社長は同年5月13日に行われた自身が会長を務める日本自動車工業会の会長会見で「雇用を維持し、税金を払っている企業にとって、もう少しインセンティブが出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないか」と述べた。
日本を代表する経済団体のトップが、相次いで日本企業は終身雇用を維持できなくなる趣旨の発言をした。
与信管理のクラウドサービスを行うリスクモンスターが、2018年に就職活動を迎える2019年卒の学生の志望先をまとめた「就職したい企業・業種ランキング」を2018年3月29日に発表した。
このデータを見ると、就職希望ランキングの1位は国家公務員(5.6%)、2位は地方公務員(5.2%)となり、安定を重視する学生が多いことが明らかになった。
そんな中で、奈良県生駒市長の小紫雅史氏は2019年6月2日付『ダイヤモンドオンラインで、「公務員の終身雇用制度は10〜15年で崩壊する」と題し、以下のような趣旨の指摘をした。
地方公務員法第27条2項には「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、もしくは免職されず…」という身分保障に関する規定があるが、小紫氏は、公務員の終身雇用は10〜15年後、すなわち2030年から2035年をめどに崩壊していくとし、その理由として以下の3点を挙げている。
1. 多くの公務員を雇用し続けることができない財政状況になる
人口減少や高齢化、行政課題の多様化などに伴い、自治体の財政状況は厳しくなり、多くの公務員を雇用し続けることができない財政状況になる。
2.AIやICTの普及と外部委託の増加によって、職員が従事する業務が大きく減少する
定型業務をAIが行うようになれば、適正な職員数が今とは大きく変わり、10年もすると相当の自治体業務はAIやICTによる対応が可能になる。
3.急激な社会変化や市民ニーズの高度化・多様化等に対応するには、プロジェクトごとに外部から専門家を登用するほうが合理的になる
職員採用に社会人経験枠を設けて年齢制限を撤廃するなど、多様な人材を求める動きはすでに自治体で始まっている。
年齢に関係なく地域に付加価値をもたらすことのできる職員を抜擢し、中途採用者など多様な視点を組織に持ち込んで、過度な同質性をあえて乱しにいくことが不可欠になる。
その上で、小紫氏はこれから公務員になる人材は、
「終身雇用が崩壊しても役所が手離さない公務員になること」
「公務員をやめても食べていける公務員になること」
だと指摘した。
奇しくもトヨタ自動車の豊田章男社長も、2019年の社員向けの年頭挨拶で、同様の指摘を行っている。
「(トヨタ自動車の社員は)トヨタの看板が無くても、外で勝負できるプロを目指してください。
私たちマネージメントは、プロになり、どこでも闘える実力を付けた皆さんが、それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境を作りあげていくために、努力してまいります。
他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えられます。
皆さん、一緒にトヨタの未来を作っていきましょう」
定型化されパターン化された仕事はITやAIに代替えされ、これからの仕事は人間だからできる仕事に集約されていく。
その一方でこれまで存在しなかった新たな職業も誕生していく。
1980年代から1990年代にかけて、アメリカをはじめとする製造業の現場では産業用ロボットの活用などにより、省力化が急速に進んだ。
その雇用の受け皿になったのが、流通業(トラックなどの運転業務や倉庫業務)と小売業だ。
21世紀に入り、アメリカでは小売業が製造業を押さえて最大の雇用創出源となり、アメリカの労働者の10人に1人は小売り業で働いている計算になる。
アメリカの小売市場は5兆ドルといわれるが、その5分の1が2020年までにネットに移行すると予測されている。
アマゾンは世界中の倉庫に10万台以上のロボットを導入し、今後さらに増やす計画だ。
アマゾンはロボットを導入することで個別の倉庫当たり年間2200万ドルを節約できると試算している。
将来、ドローンや自動運転車での配達も視野に入れており、アマゾンの従業員が1人増えると、リアルの小売店の従業員が2人減るといわれている。
自動運転実用化されると、全国のタクシー、トラック、バス、ウーバーなどで運転している人たちは転職を余儀なくされる。
その一方、ユーチューバー(YouTuber)に代表される動画クリエイター、ブロックチェーンのエンジニア、データサイエンティスト、AIに精通したエンジニア、プロeスポーツ選手といった新しい職業も生まれてくる。
定型化やマニュアル化できる仕事は、人間が携わる必要はなくなり、人間だからできる仕事、ITやAIでは代替できない価値を創造する仕事に私たちは取り組むことになる。
人の寿命が企業の寿命を超える時代では、人は一生をひとつの企業で終えることはできなくなり、2社以上の企業で働くことが当たり前になる。
社会にとってなくてはならない存在になれば、その人の社会的価値は高まり、人生の選択肢が増える。
また就職して働くだけでなく、起業して世界を魅了する企業に成長させることができれば、社会により大きく貢献できる。
マーケティングはビジネスのためだけに存在するのではなく、私たち個々人の可能性を広げる翼にもなり得るサイエンスだ。
仕事はもとより、読者の可能性を最大限に拡張させるためにもマーケティングの力を身につけてほしいと心から願っている。
『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』プレジデント社
リンクトイン創業者が書いた「アライアンス」という本がある。
その中に、本書の中でトヨタの社長が話したことと同じようなことが書いてあった。
『雇用を「取引」ではなく「関係」としてとらえるための枠組みを示すこと、雇用を「アライアンス」だと考えてみよう。
自立したプレーヤー同士が互いにメリットを得ようと、期間を明確に定めて結ぶ提携関係である。
マネジャーと社員がお互いを信頼して相手に時間と労力を投入し、結果的に強いビジネスと優れたキャリアを手に入れる。
「アライアンス」は、そのために必要な枠組みとなるのだ。
アライアンスの関係は、雇用主と社員が「どのような価値を相手にもたらすか」に基づいてつくられる。
雇用主は社員に向かってこう明示する必要がある。「当社の価値向上に力を貸してほしい。当社も『あなた』の価値を向上させよう」
ベイン・アンド・カンパニーのチーフ・タレント・オフィサー、ラス、ハーゲイも、新入社員や社内のコンサルタントに向けて同じことをいっている。
「我が社は君たち(一般的な労働市場で)の市場価値をさらに高めるつもりだ」
一方で、社員は上司に向かって次のように明示する必要がある。
「私が成長し活躍できるように手を貸してください。私も会社が成長し活躍するための力になりましょう」
社員は会社の成功のために時間と労力を投入し、会社はその社員の市場価値向上のために時間と労力を投入する。
ただカネと時間を交換するのではなく、互恵的な提携関係を結ぶことで、雇用主と社員がこの関係に投資でき、より大きな果実を狙うために必要なリスクを負えるようになる。』
まさに、雇用関係においても、新しい時代がきている。
そして雇用関係だけでなく、あらゆる面においても、激動の時代がすでに始まっている。
それは、本書の目次にもあるような項目だ。
「異業種から参入した企業によって、自社の市場が奪われる事態が今後多発する」「企業にとって最大の脅威は、時代に伴う環境変化に対応できないときに訪れる」「過去の成功モデルが、いつまでも通用するとは限らない」「多くの企業は万人に支持されようとして、結果的に誰からも愛されなくなる」「高品質のサービスを提供しているのに、日本のサービス業は報われていない」「製造業とサービス業は、やがて融合する」「インターネットとデバイスの進化が、コミュニケーションを変えていく」「バリューチェーンモデルのアナログ企業の市場を、プラットフォーマーは奪っていく」他。
本書の構成は非常にユニークだ。
「自分ならどうするか」という発想力や当事者意識を磨き、マーケティング力を身につけるための設問が多く用意されている。
これ一冊でワークショップや、ケーススタディの深い実践ができる。
デジタル時代のマーケティング力を身につけたい。
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