
【会社をつぶさないためには】4869
日本電産会長、永守重信氏の心に響く言葉より…
土下座した社長に対し、聞くに堪えないようなひどい言葉やモノが飛ぶ。
会社を創業してほどないころ、経営が破綻した取引先企業の債権者集会に出席し、こうした光景を目の当たりにした。
「社長というのはこんな恐ろしい目にあうものなのか」。
そう思うと私は怖くなって足がすくみ、その場にへたりこんでしまった。
そして「絶対に会社をつぶしてはいけないのだ」とあらためて強く決意した。
50年近く前の話だが、このときの経験は今も私の脳裏にはっきり刻まれている。
会社というのは常に天国と地獄の境目にある、と私は考えている。
生き残るか、つぶれるか。
そのどちらかである。
そして、どんな会社もつぶれる可能性を内包していると、 考えておかなければならない。
さらに言えば、放っておいてつぶれる会社はあっても、何もせず自動的に成長する会社はないのだ。
こんな私も創業して数年の間に何度か厳しい場面にぶち当たり、一時は倒産を覚悟したこともあった。
そうした中で、苦闘しながら絶対に会社をつぶさないための財務戦略を体当たりで身につけてきた。
財務戦略は植物でいえば根っこにあたる。
しっかりした根っこがあるから、その上に成長戦略の花が咲く。
そして枝葉は変えても、根っこは変えてはいけない。
より深く広く土の中に広がっていかねばならないのだ。
1973年、私が日本電産を創業したころ、日本はオイルショックに見舞われ、経済 は混乱し、金利も空前の高水準に上昇しつつあった。
金融機関の融資態度も厳しく、夢を抱いて創業した企業の多くは早々と消えていった。
私の周りにも同じ時期に起業した知人・友人が10人近くいたが、みな早い段階で会社をつぶしてしまった。
会社が破綻すれば、ともに働く人とその家族は路頭に迷いかねず、融資してくれた金融機関、部品を納入してくれた取引先などにも多大な迷惑をかける。
何より経営者として企業を成長させたいという夢はついえてしまう。
「会社をつぶさないためにはどうすればよいか」。
創業して以来、私はこのことを常に念頭におきながら経営してきた。
今でも根底にはそうした考え方がある。
どんなに規模が大きくなっても、経営戦略を立て実行に移すとき、必ず最悪の事態を想定するのである。
私は経営者として誰にも負けないほど大きな夢とロマンの持ち主であると自負している。
その反面で人一倍、肝っ玉が小さく、「怖がり」である。
家族からも「なんでそん なに怖がりなのか」とあきれられるほどである。
しかし経営者の素養として、この怖がり、臆病さは極めて重要ではないだろうか。
会社がつぶれるのが怖いからこそ、事前に徹底的に調査し、最悪の事態に対応できる備えをする。
そして財務の足元をしっかり固め、簡単には危機に陥らない土台があるからこそ、将来に向けた成長戦略が打て、飛躍できるのである。
私も最初から財務の知識があったわけではない。
小切手は銀行に持って行けばすぐに現金化できるものだと思っていたし、手形などは見たこともなく扱い方もよく分かっていなかった。
財務の知識やお金に対する感覚といったものは、会社が倒産しかけたりするときに学んでいった。
決してそうなりたくはないが、つぶれる寸前まで行くといった危機の経験から学ぶことは多い。
私はそのときに学んだことを、一つひとつ経営の原則にしていったのである。
この点で最近の経営者層の人を見て物足りなく思う。
経営者候補として大企業出身の人たちを募集し、面接をするが、まったく財務に弱いのである。
おそらく大企業にいると、周りに財務や経理の専門家がいて、自らお金で苦しんだり、資金繰りの恐怖を味わったりした経験がないのだろう。
財務の感覚が弱い「そろばんを持っていない経営者」 に会社を任せるわけにはいかない。
『永守流 経営とお金の原則』日本経済新聞出版
https://amzn.to/35k6B3T
たとえば、レストランにおいて、どんなに味がよくて、雰囲気がよくて、サービスがよかろうが、ドンブリ勘定だったら、その店は早晩つぶれる運命にある。
たとえ、海外や国内の有名店で何年も修行して、腕があったとしても、経営数字がわからなくては店は続けられない。
過剰に投資して豪華な店をつくってしまったり、人手をかけすぎたり、高い家賃を払い続けなければいけない立地を選んだりしてしまうからだ。
自分がやれば、どんな条件であろうと絶対にお客は来る、と思ったとしたら、それは大きな勘違いだ。
レストランにおいて起業する人の多くは、技術を学び、それをウリにする。
しかし、経営を存続させるには、味やサービスだけではダメなのだ。
その上に、財務を含めた経営数字を把握できていなければ、真の経営者にはなれない。
「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 」(飛鳥新社)という本が以前、出版された。
筆者の村山太一氏は、イタリアの三ツ星レストランで修行し、若くして、日本人で初めて副料理長になった人だ。
帰国後東京で、ミシュランの星付きのイタリアンレストランを自分で開業し、経営しながら、経営数字やシステムの勉強するために「サイゼリア」というファミレスでバイトをし続けたという。
いくら技術や腕があっても、経営数字は別物なのだ。
「会社をつぶさないためには」…
経営数字に強い経営者でありたい。
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日本電産会長、永守重信氏の心に響く言葉より…
土下座した社長に対し、聞くに堪えないようなひどい言葉やモノが飛ぶ。
会社を創業してほどないころ、経営が破綻した取引先企業の債権者集会に出席し、こうした光景を目の当たりにした。
「社長というのはこんな恐ろしい目にあうものなのか」。
そう思うと私は怖くなって足がすくみ、その場にへたりこんでしまった。
そして「絶対に会社をつぶしてはいけないのだ」とあらためて強く決意した。
50年近く前の話だが、このときの経験は今も私の脳裏にはっきり刻まれている。
会社というのは常に天国と地獄の境目にある、と私は考えている。
生き残るか、つぶれるか。
そのどちらかである。
そして、どんな会社もつぶれる可能性を内包していると、 考えておかなければならない。
さらに言えば、放っておいてつぶれる会社はあっても、何もせず自動的に成長する会社はないのだ。
こんな私も創業して数年の間に何度か厳しい場面にぶち当たり、一時は倒産を覚悟したこともあった。
そうした中で、苦闘しながら絶対に会社をつぶさないための財務戦略を体当たりで身につけてきた。
財務戦略は植物でいえば根っこにあたる。
しっかりした根っこがあるから、その上に成長戦略の花が咲く。
そして枝葉は変えても、根っこは変えてはいけない。
より深く広く土の中に広がっていかねばならないのだ。
1973年、私が日本電産を創業したころ、日本はオイルショックに見舞われ、経済 は混乱し、金利も空前の高水準に上昇しつつあった。
金融機関の融資態度も厳しく、夢を抱いて創業した企業の多くは早々と消えていった。
私の周りにも同じ時期に起業した知人・友人が10人近くいたが、みな早い段階で会社をつぶしてしまった。
会社が破綻すれば、ともに働く人とその家族は路頭に迷いかねず、融資してくれた金融機関、部品を納入してくれた取引先などにも多大な迷惑をかける。
何より経営者として企業を成長させたいという夢はついえてしまう。
「会社をつぶさないためにはどうすればよいか」。
創業して以来、私はこのことを常に念頭におきながら経営してきた。
今でも根底にはそうした考え方がある。
どんなに規模が大きくなっても、経営戦略を立て実行に移すとき、必ず最悪の事態を想定するのである。
私は経営者として誰にも負けないほど大きな夢とロマンの持ち主であると自負している。
その反面で人一倍、肝っ玉が小さく、「怖がり」である。
家族からも「なんでそん なに怖がりなのか」とあきれられるほどである。
しかし経営者の素養として、この怖がり、臆病さは極めて重要ではないだろうか。
会社がつぶれるのが怖いからこそ、事前に徹底的に調査し、最悪の事態に対応できる備えをする。
そして財務の足元をしっかり固め、簡単には危機に陥らない土台があるからこそ、将来に向けた成長戦略が打て、飛躍できるのである。
私も最初から財務の知識があったわけではない。
小切手は銀行に持って行けばすぐに現金化できるものだと思っていたし、手形などは見たこともなく扱い方もよく分かっていなかった。
財務の知識やお金に対する感覚といったものは、会社が倒産しかけたりするときに学んでいった。
決してそうなりたくはないが、つぶれる寸前まで行くといった危機の経験から学ぶことは多い。
私はそのときに学んだことを、一つひとつ経営の原則にしていったのである。
この点で最近の経営者層の人を見て物足りなく思う。
経営者候補として大企業出身の人たちを募集し、面接をするが、まったく財務に弱いのである。
おそらく大企業にいると、周りに財務や経理の専門家がいて、自らお金で苦しんだり、資金繰りの恐怖を味わったりした経験がないのだろう。
財務の感覚が弱い「そろばんを持っていない経営者」 に会社を任せるわけにはいかない。
『永守流 経営とお金の原則』日本経済新聞出版
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たとえば、レストランにおいて、どんなに味がよくて、雰囲気がよくて、サービスがよかろうが、ドンブリ勘定だったら、その店は早晩つぶれる運命にある。
たとえ、海外や国内の有名店で何年も修行して、腕があったとしても、経営数字がわからなくては店は続けられない。
過剰に投資して豪華な店をつくってしまったり、人手をかけすぎたり、高い家賃を払い続けなければいけない立地を選んだりしてしまうからだ。
自分がやれば、どんな条件であろうと絶対にお客は来る、と思ったとしたら、それは大きな勘違いだ。
レストランにおいて起業する人の多くは、技術を学び、それをウリにする。
しかし、経営を存続させるには、味やサービスだけではダメなのだ。
その上に、財務を含めた経営数字を把握できていなければ、真の経営者にはなれない。
「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 」(飛鳥新社)という本が以前、出版された。
筆者の村山太一氏は、イタリアの三ツ星レストランで修行し、若くして、日本人で初めて副料理長になった人だ。
帰国後東京で、ミシュランの星付きのイタリアンレストランを自分で開業し、経営しながら、経営数字やシステムの勉強するために「サイゼリア」というファミレスでバイトをし続けたという。
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