
【アンコンシャス・バイアスとは何か】4991
パク・スックチャ氏の心に響く言葉より…
「アンコンシャス・バイアス」とはなんでしょうか。
日本ではまだそれほど馴染みがない言葉かもしれません。
直訳すると
アンコンシャス=無意識な
バイアス=偏向、偏見
ですので、日本語では「無意識の偏見」と翻訳されることが多いです。
では「無意識の偏見」とはなんでしょうか?
無意識=自分が自分の行為に気づかないこと
偏見=偏った見方・考え方。
ある集団や個人に対して、十分な根拠なしにもつ偏った判断や意見等なんとなくイメージできてきたでしょうか。
具体的には、以下のように自身が思っていたり、他人から言われたことはありませんか?
「男だから家族を養うべきだ」 「女のくせに出しゃばりだ」 「最近の若者は忍耐力がない」 「高齢者は頑固だ」 「外国人は自己主張が強い」 「男」「女」「若者」「高齢者」「外国人」といった特定の属性や集団、対象に対して、十分な根拠なしにもつ偏った判断や意見が、バイアス(偏見)です。
バイアス (偏見)の対象は人だけに限らず、例えば 「日本製は質が高い」 「新興国は治安が悪い」 などもバイアス (偏見)です。
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は、その名の通り、自分自身が 気づかずに(無意識に)もっている偏った見方や考え方 (偏見)のことです。
これは同時に、無意識的に生じる「瞬間的、自動的連想」とも言えます。
一般的に人は、自分には良識があり、物事を客観的に判断できていて、「偏見はもっていない」と思っています。
しかし数多くの研究により、「人間はみな偏見をもっている」ことがわかりました。
心優しい人も優秀な人ももっているのです。
バイアス (偏見)には機能があるため、偏見をもつこと自体は悪いことではありません。
しかし、十分な事実にもとづいていないため、しばしば意思決定や評価に歪みを与え、間違った判断をしてしまいます。
それが問題なのです。
次に、アンコンシャス・バイアスの影響を確認する代表的な研究例をご紹介しましょう。
ウィスコンシン大学が行なった研究です。
米国の大学の心理学の教授に依頼して、その大学の心理学の専任教員を採用するための履歴書の評価を依頼しました。
研究チームは、2種類の職務履歴書を準備しました。
2つともまったく同じ学歴、職歴、実績ですが、性別だけを変えました。
回答者の半分の教授たちには女性の名前の履歴書を、もう半分の教授たちには男性の名前の履歴書を送り、それぞれの大学で専任教員として採用したいか、評価をお願いしたのです。
結果、同一の内容にもかかわらず、「採用に適切」と答えた割合が、男性名の履歴書は79%。
女性名の履歴書は49%と、男性名の方がなんと30ポイントも高く評価されました。
また、「実績を見たい」、「発表した論文を読まないとわからない」など、女性へのネガティブなコメントが男性に比べて4倍も多かったのです。
同様の結果は、女性の教授たちにも見られました。
偏見の影響は評価側の性別にかかわらず、共通していたのです。
この研究で明らかになったことは、性別に対する無意識の偏見が存在したこと。
その影響により、女性の方がより厳しいレベルを要求されました。
そして、この場合も、男性は実力より高く、女性は実力より低く評価され、男性が有利になりました。
また、その他の数多くの研究でも同じ傾向が表れました。
女性活躍推進というと、「女性にゲタを履かせるのか」と言われますが、研究結果により浮き彫りになったのは、ゲタを履いていたのは男性の方だったという事実です。
1980年代から始まったアンコンシャス・バイアスの研究は、2000年以降に加速し、現在までに膨大な数となっています。
研究結果により、「性別」「人種」「移民」「LGBT」「体重」「経済状況」等、さまざまな属性や特質に偏見がもたれることがわかりました。
そしてどの調査でも、偏見をもたれた少数派や非主流派に、不利な結果が出ることも判明したのです。
『アンコンシャス・バイアス −無意識の偏見−とは何か』ICE新書
https://amzn.to/3lIlWjy
本書に、「見た目のバイアス」についてこう書いてあります。
『私たちは人を見ると、すぐさま見た目で判断します。
人は見た目で決まるなどと言われるように、相手について何も知らなくても、パッと見た感じでその人について想定し、判断し、自身も判断されます。
◆メガネをかけている=真面目
◆服装が派手=目立ちたがり
◆金髪=不良
◆高身長=カリスマ性がある
このように、容姿、着ている服、髪の色、身長、体重等の外見により、私たちは無意識的に相手への態度や行動を変えます。
ほかにも「肩書」などの表面的な情報で推測して、無意識的に相手との距離を調整し、態度や行動を変えることもありますね。
人は視覚から80%もの情報を得ていると言われます。
それゆえに、視覚からの情報だけで実に多くのことを決めてしまうのです。
第一印象や直感をもつことは問題ありませんが、意識しないと外見や表面的な情報だけで人を評価しがちになります。
事実にもとづいた情報がわかってから判断した場合とでは、大きく結果が異なることもあるでしょう。
その事実を認識し、人を評価したり、対応するときは、偏見への意識を高め、 事実をもとにして判断に根拠を持つように心がけてください。
人は見かけによらないのです。』
昨年、東京五輪・パラリンピック組織委員会・元会長である森喜朗元首相のジェンダーバイアスのかかった発言が問題となりました。
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」
「組織委にも女性がおられるが、みんなわきまえておられる」
また、最近では某牛丼チェーンの常務の問題発言もありました。
若い女性に牛丼を好きになってもらう方法について「生娘をシャブ漬け戦略」と表現し、「田舎から出てきたばかりの若い女の子を生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯をおごってもらうようになれば絶対食べない」などと発言しました。
アンコンシャス・バイアスを排し…
ダイバーシティ(多様性)を受け入れ、時代の進化と、変化に対応できる人でありたいと思います。
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パク・スックチャ氏の心に響く言葉より…
「アンコンシャス・バイアス」とはなんでしょうか。
日本ではまだそれほど馴染みがない言葉かもしれません。
直訳すると
アンコンシャス=無意識な
バイアス=偏向、偏見
ですので、日本語では「無意識の偏見」と翻訳されることが多いです。
では「無意識の偏見」とはなんでしょうか?
無意識=自分が自分の行為に気づかないこと
偏見=偏った見方・考え方。
ある集団や個人に対して、十分な根拠なしにもつ偏った判断や意見等なんとなくイメージできてきたでしょうか。
具体的には、以下のように自身が思っていたり、他人から言われたことはありませんか?
「男だから家族を養うべきだ」 「女のくせに出しゃばりだ」 「最近の若者は忍耐力がない」 「高齢者は頑固だ」 「外国人は自己主張が強い」 「男」「女」「若者」「高齢者」「外国人」といった特定の属性や集団、対象に対して、十分な根拠なしにもつ偏った判断や意見が、バイアス(偏見)です。
バイアス (偏見)の対象は人だけに限らず、例えば 「日本製は質が高い」 「新興国は治安が悪い」 などもバイアス (偏見)です。
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は、その名の通り、自分自身が 気づかずに(無意識に)もっている偏った見方や考え方 (偏見)のことです。
これは同時に、無意識的に生じる「瞬間的、自動的連想」とも言えます。
一般的に人は、自分には良識があり、物事を客観的に判断できていて、「偏見はもっていない」と思っています。
しかし数多くの研究により、「人間はみな偏見をもっている」ことがわかりました。
心優しい人も優秀な人ももっているのです。
バイアス (偏見)には機能があるため、偏見をもつこと自体は悪いことではありません。
しかし、十分な事実にもとづいていないため、しばしば意思決定や評価に歪みを与え、間違った判断をしてしまいます。
それが問題なのです。
次に、アンコンシャス・バイアスの影響を確認する代表的な研究例をご紹介しましょう。
ウィスコンシン大学が行なった研究です。
米国の大学の心理学の教授に依頼して、その大学の心理学の専任教員を採用するための履歴書の評価を依頼しました。
研究チームは、2種類の職務履歴書を準備しました。
2つともまったく同じ学歴、職歴、実績ですが、性別だけを変えました。
回答者の半分の教授たちには女性の名前の履歴書を、もう半分の教授たちには男性の名前の履歴書を送り、それぞれの大学で専任教員として採用したいか、評価をお願いしたのです。
結果、同一の内容にもかかわらず、「採用に適切」と答えた割合が、男性名の履歴書は79%。
女性名の履歴書は49%と、男性名の方がなんと30ポイントも高く評価されました。
また、「実績を見たい」、「発表した論文を読まないとわからない」など、女性へのネガティブなコメントが男性に比べて4倍も多かったのです。
同様の結果は、女性の教授たちにも見られました。
偏見の影響は評価側の性別にかかわらず、共通していたのです。
この研究で明らかになったことは、性別に対する無意識の偏見が存在したこと。
その影響により、女性の方がより厳しいレベルを要求されました。
そして、この場合も、男性は実力より高く、女性は実力より低く評価され、男性が有利になりました。
また、その他の数多くの研究でも同じ傾向が表れました。
女性活躍推進というと、「女性にゲタを履かせるのか」と言われますが、研究結果により浮き彫りになったのは、ゲタを履いていたのは男性の方だったという事実です。
1980年代から始まったアンコンシャス・バイアスの研究は、2000年以降に加速し、現在までに膨大な数となっています。
研究結果により、「性別」「人種」「移民」「LGBT」「体重」「経済状況」等、さまざまな属性や特質に偏見がもたれることがわかりました。
そしてどの調査でも、偏見をもたれた少数派や非主流派に、不利な結果が出ることも判明したのです。
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本書に、「見た目のバイアス」についてこう書いてあります。
『私たちは人を見ると、すぐさま見た目で判断します。
人は見た目で決まるなどと言われるように、相手について何も知らなくても、パッと見た感じでその人について想定し、判断し、自身も判断されます。
◆メガネをかけている=真面目
◆服装が派手=目立ちたがり
◆金髪=不良
◆高身長=カリスマ性がある
このように、容姿、着ている服、髪の色、身長、体重等の外見により、私たちは無意識的に相手への態度や行動を変えます。
ほかにも「肩書」などの表面的な情報で推測して、無意識的に相手との距離を調整し、態度や行動を変えることもありますね。
人は視覚から80%もの情報を得ていると言われます。
それゆえに、視覚からの情報だけで実に多くのことを決めてしまうのです。
第一印象や直感をもつことは問題ありませんが、意識しないと外見や表面的な情報だけで人を評価しがちになります。
事実にもとづいた情報がわかってから判断した場合とでは、大きく結果が異なることもあるでしょう。
その事実を認識し、人を評価したり、対応するときは、偏見への意識を高め、 事実をもとにして判断に根拠を持つように心がけてください。
人は見かけによらないのです。』
昨年、東京五輪・パラリンピック組織委員会・元会長である森喜朗元首相のジェンダーバイアスのかかった発言が問題となりました。
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」
「組織委にも女性がおられるが、みんなわきまえておられる」
また、最近では某牛丼チェーンの常務の問題発言もありました。
若い女性に牛丼を好きになってもらう方法について「生娘をシャブ漬け戦略」と表現し、「田舎から出てきたばかりの若い女の子を生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯をおごってもらうようになれば絶対食べない」などと発言しました。
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