編著者前田貞次郎(1869-1923)京都府生まれの明治・大正期のジャーナリスト,差別者側の目線で被差別問題解決に取り組んだ部落解放運動家 芸備日日新聞主筆からヘッドハンティングされ広島毎日新聞社長・主筆、文筆家。広島在住30数年。西川國臣の息子(長男)芳渓(一郎、明治17-大正14、享年42)の同僚だ。西川も高島が編集主幹した「児童研究」等の影響下で児童文学に目覚め、東京に出て岩谷小波・久留島某らとの交流をもったが、芥川龍之介や『赤い鳥』の鈴木三重吉らのような大学出がうごめく若手作家仲間の中には入り込めなかったようだ。
山縣二承と十方舎一丸という広島在住の一茶風のユーモア俳句に通じた戯画作家の人と作品を紹介(論評)したジャーナリスト前田貞次郎の書籍だ。前田自身も風刺作家気質の人だった。若いころから高島平三郎編集主幹「児童研究」にいろいろ投稿していたようだ。
参考までに雑誌「まこと」へ前田の評論文が1,2本程度掲載されている。
山縣二承の画風
十方舎一丸の俳画
富士川游は雑誌「飽薇」を出す前に、こういう形で広島県人に対する支援・底上げ運動を始めていた訳だ。洛陽堂は高島の口利きでこの前田三遊編著を出版した。
前田三遊の生まれた「納所村」と言えば京都・大阪堺の、秀吉時代の古戦場「天王山」とか、京都の外城:淀城、石清水八幡宮のご近所。わたしの住んでいた伏見とは目と鼻の先でなんだかこの前田には不思議な親しみを感じる。この人を研究した論文を最近(令和5年10月段階)みつけたが、同和(部落解放)問題には古くより取り込んできたようだ。