日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

心に湧き出る美しい言葉

2013-04-09 | Weblog
  詩45篇 

  2節「心に湧き出る美しい言葉 わたしの作る詩を、王の前で歌おう。わたしの舌を速やかに物書く人の筆として」(新共同訳)

  1~2節「指揮者によって。「ゆり」に合わせて。コラの子の詩。マスキール。愛の歌。心に湧き出る美しい言葉 わたしの作る詩を、王の前で歌おう。わたしの舌を速やかに物書く人の筆として」。10節まで王に対する語り掛けである。「愛の歌」とは宮廷の詩人が、王の結婚に対して捧げた歌である。「愛」(イェディドット)はヘセドではない。これを比喩的に解釈して王をメシア、花嫁をイスラエルとみなした。同じ比喩的解釈は、雅歌にも見られる。「心に湧きでる美しい言葉」とは、動きが止まらないことで、自分の舌が書記の筆のように流暢に動くのである。
  3節「あなたは人の子らのだれよりも美しく あなたの唇は優雅に語る。あなたはとこしえに神の祝福を受ける方」。第一に、王が人として優雅で魅力的である。第二に勇士としての能力を称賛する(4~6節)。腰の剣は栄と輝き、矢は鋭く敵陣で諸国の民を倒す。「栄えと輝き」は口語訳「威光と尊厳」である。第三は王の安定した支配の保証を示す(7~8節)。「王」を神と呼ぶところからメシア預言としてヘブライ1章7~8節に引用されている。「あなたの王権の笏は公平の笏」。口語訳「王の杖は公平の杖」。王は笏を右手に持って審判を下す(エステル4章11節参照)。
  8節「神に従うことを愛し、逆らうことを憎むあなたに 神、あなたの神は油を注がれた喜びの油を、あなたに結ばれた人々の前で」。「従うことを愛し、逆らうことを憎む」は口語訳「あなたは義を愛し、悪を憎む」(7節)となっている。王なる神の本質を表わしている。
  9節「あなたの衣はすべてミルラ、アロエ、シナモンの香りを放ち、象牙の宮殿に響く弦の調べはあなたを祝う」。「ミラル」は没薬でアラビヤ産の樹脂。「アロエ」はインド産で芳香を放つ。王の着衣と宮殿に響く弦の調べを詠う。「オフィルの金」列王記上9章27~28節、ヨブ記22章24節28章16節。
  11節「娘よ、聞け。耳を傾けて聞き、そしてよく見よ。あなたの民とあなたの父の家を忘れよ」。新しい女王に対する勧めである。外国の出身であろうと思われる。その民と父とを忘れて、夫に全き献身をすることを勧める。この失敗例がある(ソロモン、アハブetc)。「ティスルの娘よ」。口語訳「ツロの娘」フエニキヤの都市国家、富み栄えていたイスラエルの隣国。花嫁が王宮に輿入れをする有り様を描く(13節)。最も美しく高価な衣を来た王妃は侍女を連れて、王の宮殿に行進する(14~15節)。侍女らは喜び喜んで導かれ、宮殿に入る(16節)。
  17節「あなたには父祖を継ぐ子らが生まれ、あなたは彼らを立ててこの地の君とする」。詩人は今や未来の祝福、父の栄誉をもとらす名声の高い息子たちを予期し、その名が諸国の中で代々語り伝えられるであろうと賛美する(18節)。
  この詩篇は、王と王妃との婚宴の祝い歌であるが、王妃は王を誉め称える側に置かれる。その威光と讃美を捧げるという点で、キリストの教会も「花嫁」としてその使命を与えられている(第二コリントへの手紙11章2~3節see)。