日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

神の慈しみに依り頼みます

2013-04-17 | Weblog
  詩52篇 

  10節「わたしは生い茂るオリーブの木。神の家にとどまります。世々限りなく、神の慈しみに依り頼みます」(新共同訳)

  1~2節「指揮者によって。マスキール。ダビデの詩。エドム人ドエグがサウルのもとに来て、「ダビデがアヒメレクの家に来た」と告げたとき」。表題。エドム人ドエグがサウル王に告げ口をし、その結果ダビデを援助した祭司アヒメレクのー族が殺害された事件(サムエル記上21~22章)に基づく詩。舌によって引き起こされた災難とその嘆きといえるが、権力者の横暴な行動に対する神の審判を祈る詩篇とも言える。
  3節「力ある者よ、なぜ悪事を誇るのか。神の慈しみの絶えることはないが」。「力ある者」岩波訳・新改訳「勇士よ」、権力を嵩にきて悪事を図る者である。サムエル記上21章8節にドエグは「牧者のつわもの」とある。「誇る」は「自慢する」。しかし神(エル=力の神)の慈しみに生きる者には、豊かな繁栄が与えられる。「慈しみの絶えることはない」は直訳「神の慈しみは一日中」岩波訳「神の恵みはひねもす」、新改訳「神の恵みは、いつも、あるのだ」。悪事を誇る者には破滅がもたらされる(4節)。言葉による罪過に言及する個所は聖書には多い(55篇22節、57篇5節、64篇4~5節、箴言26章20~28節、ヤコブの手紙3章5~12節)
  5節「お前は善よりも悪を 正しい言葉よりもうそを好み」。人を欺いて破滅に落とす舌を好んでいる(6節)。神は彼を打ち倒し、天幕から引き抜き、生ける者らの地から根こそぎにする(7節)。ここに厳しい神の裁断が下される。
  8節「これを見て、神に従う人は神を畏れる。彼らはこの男を笑って言う」。「神に従う人」 口語訳「正しい者」、岩波訳「義人たち」。原文は「そして見る(ヴェイルウー)義人たちは そして畏れる(ヴェイラウー)」と語呂合わせになっている。彼の背信の結果を笑うことになる。この男は神を信頼しないで自らの富の多さを信頼し、それが自らの滅びを決定づけた(強くした)のだ(9節)。新共同訳は意訳。
  10節「わたしは生い茂るオリーブの木。神の家にとどまります。世々限りなく、神の慈しみに依り頼みます」。結語。「慈しみに生きる人」 口語訳(「聖徒の前で」)、岩波訳(「忠実な者たちの前で」)。わたしは生い茂る(岩波訳「緑滴る」)。オリーブの木のように、聖なる場所に根を下ろして、神から祝福の実を結ぶ者となり、あなたに「いつまでも感謝をささげます」として結んでいる(11節)。

  本詩は「悪事を誇る者」(3節)と、「慈しみに依り頼む者」(10節)とが対比されている。