消費者の構造変化の一つの現れに思える。セブンアンドアイが傘下の百貨店、西武とそごうを売却する方針の様である。コロナ禍で売上が落ち込んだと云うのもあろうが、単位面積当たりの売上高がコンビニの半分程度と云う状況では厳しい。中堅の百貨店が苦戦するのは、この国から「中流意識」が消失した事と関係が有る様に思える。令和の時代、中流を自認する国民はどれだけ居るだろうか。昭和であれば持ち家に一通りの家電、車の一台も所有していれば中流を名乗れた気がする。それら全てがローンで手に入れたものであっても、である。昨今の消費者は賢いので、そんな無茶苦茶な人生設計はしない。中流と云う虚勢を張る為に百貨店で買い物をする無理もしない。コンビニに負けるのも仕方ない気がする。ただ経済は不要不急の消費で回っていると云う事実がコロナ禍で可視化されたのも事実であり、集中と選択を極めた一点豪華主義のネオ中流の勃興が望まれるのである。
省力化としては正しい方向だろう。上手くいくかは別問題なので、経緯を傍観していきたい。JR西日本がみどりの窓口の代替としてオペレータが遠隔対応する「みどりの券売機プラス」設置を進めているが、応対をAIに任せる実証実験を京都駅で開始するそうである。学割定期の初回購入や株主優待割引等、通常の券売機では対応出来ない例外をどの程度処理出来るのかは分からないが、ややこしいのは当面人間で捌く予定なのだろう。気になるのはAIの融通度合いである。「明日のお昼に孫の結婚式があるから、それに間に合う切符を見繕ってくれ、なるべく安く」と云うリクエストは多分受付不可だろう。発駅と着駅、時間と希望する座席位置を淡々と入力待ちするだけだったら暴れる人が出現する可能性はかなり高いと予想する。「ボケたのにツッコんでくれなかった」と云う尤もな文句も有り得る土地柄である。結局人間がフォローせざるを得ないのであれば本末転倒なのである。
デジタルディバイドの一変種なのかも知れない。山梨県大月市議会は、JR東日本が駅構内の時計を撤去した事を「サービス低下で信じ難い」と非難し、再設置を求める決議を賛成多数で可決したそうである。正確な時計の設置は鉄道事業者の責任、との事だが、別に駅舎の時計を見て電車は走っている訳では無い。正確な時間を確認したかったら、スマホでntpサーバへの参照頻度を増やせば宜しい、のだがそれが出来るんだったらこんな決議を可決しないわなあ、とも思う。長年慣れ親しんだあのアナログ時計が見られなくなるのは寂しい限りには違いないが、維持管理の費用対効果を考えれば廃止も已む無しに思える。後はノスタルジーに幾らまでなら払えるかと云った無味乾燥な話であり、JRに全責任を押し付けるよりも、特注のアナログ電波時計を寄贈するのが筋だろう。ただこの問題の本質はそこでは無いのであり、中高年の再教育に国は本腰を入れた方が良い様に思うのである。
バーチャルでもスキャンダルは回避不能な様である。Vtuber「潤羽るしあ」が所属事務所からの契約を解除されたそうである。2億円近いスパチャを集め2021年で最も稼いだVtuberとされている。解除理由が「秘密保持違反」との事で、仔細は知らないが配信で中の人を匂わせるアクシデントでもあったのであろう。CM等に起用される人気タレントが不祥事を起こし契約が反故になった事例は数多いが、バーチャルであっても人間が絡んでいるとそのリスクはどうやら変わらないものらしい。考えてみればタレントにせよアイドルにせよ、「イメージに即したキャラ」を演じているのが当たり前であり、その舞台裏を見せてしまう様では興醒めである。今回の騒動でVtuberの中の人(もし居るなら、であるが)の素性が割れてしまったのだとしたら、確かにそれは機密漏洩に当たるだろう。とは言え「AIで自律稼働するVtuber」が人気を博するとは思えないのであり、人間の性癖とは何とも面倒臭いのである。
微妙に自慢が難しい。総務省の2020年人口推計確定値で、埼玉県は3千人増となった。これで1920年の統計開始以来、戦後の混乱期を除けば100年人口が増え続けた唯一の都道府県になるそうである。県内在住のご夫婦が励んだ結果であれば誇って良い様に思うが、東京への通勤通学に至便な好立地である事が要因である事は疑い無い。宅地化するのが容易な平べったさも有利に働いたのだろうが、少なくとも県民の努力に因るものでない事は確かである。それにこれは東京一極集中の副産物であり、日本全体として考えれば好ましい傾向ではない。東京に集まってくるお仕事を可能な限り分散し、せめて荒川のこっち側にまで来てくれる様に、色々と手を打たねばならないと思う。そうした成果としての人口増であれば、心の底から喜べよう。人口減が確定的な未来が展望される中、この記録が何処まで伸びるかは知らないが、ご夫婦が安心して励める街を目指すのも悪くないと思うのである。