言葉のプロの慧眼には脱帽するしかない。定期的に新語を入れ替える事で定評の有る、三省堂国語辞典第八版が発売された。「スッチー」が削除されたそうで、時代の流れを感じるのだがそれはどうでもいい。今回追加された言葉の一つが「エモい」である。何となく意味は通じるけど漠然と使われている言葉を定義するのは大変だっただろう。由来もエモーショナル・ハードコアであると明記しており、本当かどうかは分からないが大変エモい。更には「古語の『あはれなり』の用法に似ている」と深い洞察も開陳しており、いよいよエモいのであるが、流石に踏み込み過ぎではないかとも思う。ただ相手は言葉のプロである。私が知る以上に「あはれ」の用法には通暁しているに決まっている。ならば更に一歩踏み込んで、あはれを現代語として復刻するのはどうか。「この曲、めっちゃあはれー」とか適当に使っていれば定着し、次版のサンコクに採用されるかも知れないのである。
既存品を流用して安く上げる。そう云う意味では、これもDXだろう。伊丹市は「ご当地WAONカード」を市職員のIDカードとして採用するそうである。私もさいたま市のご当地カードにご当地ポイント「たまぽん」を貯めているが、そこまでの汎用性が有るとは知らなかった。一般のICカード入退室システムの相場は知らないが、少なくともカード発行の手間が省けるのは確かである。これを皮切りに市役所内の自販機や食堂を全てWAONで囲い込む目論見かイオン恐るべし、と思ったのだが話を持ち掛けたのは伊丹市側らしい。一私企業の利益誘導に繋がり兼ねない提携はいかがなものかと云う意見もあろうが、癒着して税金の無駄が減るならベッタリへばりついてもらった方が市民にとっては有難い。これを先例として全国の自治体に提案していきたいとの事なので、是非さいたまにもお越し願いたい。別にビデオ会議を導入しなくても、働き方改革は出来ると広く知らしめて欲しいのである。
三つ子の魂百までである。小学生の頃に珠算を習っていたせいか、右指の動作が左よりも滑らかである。それで何か得をした覚えは無いが、社会人になり毎日キーボードを叩く様になった際に多少は有利だったかも知れない。ただ右手の動作範囲が広い分、一般的なブラインドタッチよりも左手が働いていないのはご愛嬌である。FPSで左ShiftやCtrlキーを多用するから、それはそれで役割分担が出来ているとも言える。同時に暗算も学んでいたから、簡単な計算であれば電卓は不要である。ソロバンが勝手にイメージとして浮かんでくる。そこで疑問に思ったのだが、珠算の経験が無い方は暗算の際に何を思い浮かべているのだろうか。こればかりは想像するしかないが、筆算を頭の中でやっているのかも知れない。尤もウンウン考えているよりはスマホを取り出した方が早いのが現代である。珠算は実用ではなく嗜みとして、指をヌルヌル動かしたい人が習うものになったと考えるのである。
瞬く間に全世界に広まったオミクロン株である。弱毒化が進み入院率が下がったのは不幸中の幸いであるが、母数がでかければ患者の絶対数も増えるので、感染を広める行動を控えるに越した事は無い。終わりの見えない闘いを続けている医療関係者には頭の下がる思いである。ワクチンや治療薬を開発する企業にも感謝をしたい。ただ対症療法でどれだけ頑張っても終息する見込みは無さそうである。そうなると頭の良い人が「だったら感染力が最強で風邪程度の悪さしかしないウィルスをバラ撒いたらいいじゃん」と考える様になってもおかしくはない。変異株が下克上を繰り返して版図を拡大する心算なら、人工ウィルスで天下簒奪を狙う発想は出て来て当然だろう。尤もそのウィルス自体が本当に悪さをしない保証は無い。十中八九バイオハザード状態になるだろうから、ここは自然淘汰の摂理に委ねるのが賢明であろう。策士が策に溺れがちなのは、経験上間違いないのである。
日本海側で災害級の大雪である。その原因となっているのがJPCZである。いきなり知った様な顔をしてニュースに出てこられても困るんですがと云う感じだが、日本海寒帯気団収束帯の事だそうである。官僚風漢字であるから意味は概ね理解出来るのだが、そちらも目にする機会の無かった用語である。しかしJPCZによる豪雪は概ね5年に1度の頻度で発生していて、その記録は戦前にまで遡れる様である。だったら何でハイカラな表現なのかと云う話であるが、恐らく米国の軍事気象用語をその儘流用しているからであろう。お天気は作戦行動の成否に係わる重要事項である。晴朗なれど波高ければ戦艦の横っ腹見せても当たりやしないから砲撃数で勝る丁字型攻撃が成立したのであり、ベタ凪だったら惨敗を喫したに違いない。ともあれ衛星写真で気象観測が出来る様になってから分かった自然現象であり英語表記も致し方なしかも知れないが、気象庁に奮起を促したい気もするのである。