石田三成が「一大事のところとは何か」と問う。
大谷吉継は「それは心よ」と答え、
「合戦で、人間が金銭で動くなどと思ったら大間違い。大将の人望や能力で人は動く。おぬしにはそれが足らん」
吉継は三成の器量を見切っていたのだが、三成の懇願と長年の友情に負けて、ついに西軍に加担する。
吉継は戦場で獅子奮迅の戦いをする。しかし最後は玉砕した。
この国から「潔さ」という文化は無くなったようだ。
見るに堪えない先の宰相の振る舞い。
潔く議員を止めれば評価が上がるだろうに、「暗愚な宰相」として日本史の記録にとどめられる。
日の出
若いころは織田信長の「桶狭間の戦い」や豊臣秀吉の「草履を温める話」などに感心したものだ。
しかし年を取るとだんだん徳川家康の渋さに魅かれる。
人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくがごとし。急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なし。
冬の夜の読書は楽しみの一つ。
冬夜読書 江戸 菅 茶山 (かん ちゃざん)
雪は山堂を擁して 樹影深し 檐鈴(えんれい)動かず 夜沈沈
閑(しずか)に乱帙(らんちつ)を収めて疑義を思う
一穂の青燈 万古の心
檐鈴ーー軒につるした風鈴 乱帙ーー散らばった書籍
菅茶山は、江戸中期から後期にかけての漢詩人。備後(広島県)の人。
わかりにくい箇所について考えこみ、かたわらの燭台の火をじっと見つめるうち、はたと疑問が解ける。
その刹那、古人の心と自分の心が通い合ったようだ。