昔の私

2020-03-20 20:21:00 | 願い事の叶え方
広い広い海の真ん中に、私はいました。

今にも沈みそうな、壊れそうな小舟に1人。


早く岸に行かなきゃと思うけれど、
近くに見える陸には獣の影がいっぱい。


海には、サメの背びれも見える。
海ヘビがすぐそこを泳いでいるのも見える。


どうしよう。どうしよう。
どうしたら、安全な陸にたどり着けるんだろう。
必死に手で漕ぐ。
全然進まない。辛い。苦しい。


こんなに弱くちゃ、一人で子どもを育てられないよ。
こんなに不安しかなかったら、
潰れてしまうよ…。


どうして私だけ。
なんで私だけこんななんだろう…。


早く陸に上がって安心したいのに、
その方法が分からなくてわんわん泣いた。
泣いたらダメ、泣いても無駄と思いながら。



涙も涸れた頃、
ポケットに入ってるものに気が付いた。

大好きなお菓子。


もう食べちゃおう。
陸に上がって、お茶を入れて、
暖かい部屋で食べようと思っていたけど、
沈みそうな不安な船の上で、いま、食べちゃおう。


あぁ!美味しい!
大好きな味。
幸せな味。
今どこにいるかも忘れるくらい幸せな時間。


そうだ、歌も歌おう。
詩も作ろう。
好きなこと、今全部やってしまおう。



幸せだ。
幸せを感じることができる。生きてる。
あー、なんて幸せなんだろう!


不安定な足元のまま、幸せな気持ちで満たされたら。



周りを見渡してみて、あっと声を上げる。


サメと思っていたものは、
ぷかぷか浮いているブイでした。
海ヘビと思っていたものは、
岸から垂らされたロープでした。

獣と思っていたものは、
私のために集まったレスキュー隊でした。


こんなにも、私は守られていたことに気付く。
世界はずっと優しかったことにようやく気付く。


だったら私、頑張れるよ!
船を下りて岸まで伝って行こう!



そうして船を下りてみたら、
またあっと驚く。


なんだ、足が着く!
こんなに浅かったんだ!


こんなに浅くて何も怖くない場所で、
私は不安定な船に乗って、
不安に怯えて泣いていたんだな。


あはは、笑っちゃうね。







これが3年前の私。


岸に着いたら幸せになるわけじゃない。

今、ここで、
不安定な足元のまま、先に幸せになるんだよ。