高1の娘と一緒に「壁抜け男」を観に行く。
育児と貧困による観劇ブランクが長かった私は、
生で「壁抜け男」を観るのは初めてだ。
青山先生おっしゃるところの「ベストキャスト」とは、
ずいぶん変更があったけれど、
やはりビデオより、舞台は生で、
しかも、汗が飛んでくる席で観た方が絶対に楽しい。
ただひとつ残念だったのは、
チケットを先に取っていたために、
M・A先生の演技指導の講義に参加できなかったことだ。
(カチあってしまった!)
最前列のど真ん中。
娘のために必死で取った席だが、
大喜びしてくれていたようで、私も満足。
今日は、娘の喜ぶ顔を見る方が忙しかった。
娘は、待って待って待って待って待って、
1年2ヶ月ぶりに、有賀光一さんの舞台を観るのだ。
「新聞少年は有賀さんにしかできない」
と言っている。
うん、私もそう思うよ。
初めて生で観る「壁抜け男」だが、
とにかく、モンマルトルの商人トリオに変化がなくてよかった。
渋谷さんの絵描きは、いかにも善人で好きだな~。
そして、似顔絵がものすごく生きた使われ方をしている。
これはビデオで観ていても、わからなかった。
悲しいのはやはり・・・部長。
高井さんの部長は、かっこいいのだが、かっこよすぎる。
歌も、ものすごくうまいのだが、
つけ入る隙のない部長だ。
たとえば、デュティユルを罵倒するにしても、
なんというかな、温度が低いのだ。
地下室の水路のような冷たさだ。
これはこれで、あの方の持ち味なのだろうけど、
光枝さんファンの私は、ひだすら寂しい。
高井さんが、あの太った囚人もやるのだろうかと思っていたら、
囚人は、小林克人さんがやっていて、
高井さんは、青山先生のやっていた刑務所長の役。
ああ、もう何がなんだかわからない。
2人の警官の対比は、ビデオよりくっきり見えた。
体格の差を利用した演出だと思う。
イザベルは、坂本里咲さんでとても嬉しい。
私は、石丸さんと坂本さんのコンビが好きだ。
2幕の第一場で、新聞少年が最前列の前を行き来する。
そして、私と娘のまん前で、きりっとした目でうなずく。
「目が合った」
「いや、私の方を見ていた」
と大人気なく言い合うのも、また楽し。
くりかえし観ると、また違ったものが見えてくるだろう。
とても楽しかった。
でもちょっと悲しかった、いろんな意味で。