メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

最近の作業…32

2020-04-03 08:28:00 | 整備
久しぶりの更新です…

最近は写真は撮りためていたんですが、記事を書こうと思うほど気持ちに余裕はありませんでした…

もうとっくに終わってる作業ばかりになりますが…
まずは前回の続きのJ05のヘッドO/H…
加工に出していたヘッドはやはり歪んでおりました…


結果的に0.06mm研磨して歪みゼロ…

基本的にJ型エンジンは整備書ではバックラッシュの関係から研磨禁止となっていますが、削れない事はありません…
実際には研磨量0.1mm位までならバックラッシュも基準値に収まります…
仮にそれ以上歪みがあってもギヤ側残しで斜めに削って歪みとバックラッシュを基準値に収める事も不可能ではありません。
まあそのあたりはエンジン屋さんの加工精度次第…というところではあります。
削りすぎるとバックラッシュ云々ではなくオーバーレブさせた時に4番のバルブとピストンが当たっちゃう可能性が出てくるので注意が必要ですけどね…


戻ってきたヘッドにステムシールの交換にラッピングやバルブ関係の組み付け…







キレイなヘッドは気持ちがいいですね…

ヘッドのアッセンブリーが終われば後は車載してどんどん組み付けていきます。







ドッキングしてボルトの締め付け…
J05はヘッドボルトの長さに種類があるので締め付けトルク、角度共に長さ毎の基準があります。

締め付けたらカムアイドルギヤのバックラッシュ測定。


無事に基準値に収まっておりました…

そこからどんどん組み付け。


メタルは交換…


カムシャフトの洗浄&点検。










冷却水を入れてオイルを回したらエンジン始動…
下の画像にも写っているファンネルは最近使っている物で非常に使いやすくて気に入ってます…




前の会社で使っていたファンネルは黄色で透明性がなかったので水面を確認するには上から覗き込まないと分からなかったんですが、このライルのファンネルは半透明で遠くからでも水面と気泡の確認が簡単に出来ます。
細かい事なんですけどね…
非常に使い勝手がいいです。

無事に吹き返しも無くなり修理完了。


で、このJ05が終わる前にエンジン不調で入庫したJ07エンジンのレンジャー…
調べるとインジェクター不良で交換の予定だったんですが…

実際にインジェクターを交換する為に取り外そうとするも1番のインジェクターだけが何をやっても抜けず…
とにかく固着が酷く全く抜ける気配というか手応えすらないんです…
こんなケースは初めてで色々な所に聞いてみるも稀にインジェクター抜き取り時にノズルチューブが一緒に抜けてくる事はあるものの皆口を揃えて抜けなかった事はない…と。

インジェクターが抜けないなんてそんなアホな…って思うでしょ⁉︎

いや、マジで抜けなかったんですよ!

ウチでは通常インジェクターを抜く時はステンレスの針金を輪っかにしてインジェクターに引っかけた上でスライドハンマーで抜き取るんですが…


たまに固いやつでも輪っかは1重で十分抜けるのに今回は1重はあっけなく切れて…
それなら2重という事で試すもやっぱり切れ…

最終的に3重で、更にスライドハンマーを天井クレーンで引っ張りテンションを掛けながらスラハンでチャレンジするも…



抜けない…

結果的にスラハンに取り付けていたアイボルトが変形するほど…




とにかく固くて抜けないので…

諦めてシリンダーヘッドを降ろす事にしました(;´д`)

当初はインジェクター交換の1日で終わると思っていた修理が予想外のヘッドO/H作業に変わり…
J05が出て行ったと思ったら今度はJ07をバラす事に…

とにかくヘッドを降ろさないと次に進まないので急いで降ろす段取り…



ただバラしていく段階でNGな部分がちょいちょい出てくる…
下の画像はEGRクーラを取り外した直後のエキマニ内部…
完全に水回ってますよね…


1番のインジェクターは抜けないのでそのままバラしてエンジン屋さんで抜いてもらう事に…









ゴソゴソしてヘッドを降ろして…



バルブ関係を取り外して加工に出します…



で、エンジン屋さんには『最悪、インジェクターは潰してもいいけどヘッドだけはなんとか無事に…』とお願いして…


数日後無事にヘッドが戻ってきました。

まずインジェクターは無事に抜けたようですが、案の定インジェクターとノズルチューブが一緒に抜けてきたようで、インジェクターとチューブのカーボン固着が酷かったとの事…
更に水圧テストは1番3番のノズルチューブとエキマニスタッドから漏れがあったようで…
それを聞いて結果的にヘッド降ろして良かったな…と。
仮に固着していたインジェクターが抜けたとしてインジェクターだけの交換で修理を完了していたら遅かれ早かれ必ず再入庫していたことでしょう…

これが問題の抜けなかったインジェクター…


インジェクターとチューブを分離させるのに相当な力がかかった事を物語っています…



インジェクターボディは腐食しておりました…
これは燃焼ガスによる腐食なのかな…
ここまで酷いのは初めて見ました。







エキマニスタッドも漏れがあるために全数交換…





抜いて…



エキマニから水漏れ⁇と思うかもしれませんが、J型エンジンはエキマニのスタッド穴がシリンダーヘッドのウォータージャケットと貫通してるんです…





新品のスタッドボルトを取り付け…
当然、シール剤付きスタッドボルトです。



更にバルブも組み付け…







あとはエキマニ、インマニ、アイドルギヤを取り付けて…



ブロック側を綺麗にして…





ガスケットを乗せたら…


ドッキング…



こちらもバックラッシュの測定…


バックラッシュは0.17mm…



カムシャフトフレームを組み付けて…



あとはどんどん組み付けていくだけ…

















あと、バラす段階で発見した詰まった燃料添加弁は交換…
これエキパイ途中にある添加弁の接続部なんですが…


完全にススで詰まってます…


こんな状態ではDPFの再生も上手くいっていなかったでしょうね…

ハウジングは掃除して…



添加インジェクターは新品に交換…






全てを組み付けたらエンジン始動…





お客様には大変お待たせしてしまいましたが、無事に修理も完了して納車。


更にエンジンオイル漏れのプロフィア…

リヤのクランクシールとエアコンプレッサーの取り付け部から漏れており…

リヤクランクシールとコンプレッサーOリングの交換…



夜な夜なミッション降ろして



クランクシールの交換…



パイロットベアリングも交換して…






新品のクラッチを組み付けてミッション側は完了…







クランクシールの交換が済んだら次はコンプレッサー…
コンプレッサーを外してOリングの交換。










こちらもなんだかんだで終了。


それから最近取引を始めた板金屋さんからの依頼で入庫したタクシー…

どうやらコンプレッサーが回らずエアコンが効かないのでコンプレッサーを交換してほしいとのご依頼。

とりあえず簡易的にマグネットクラッチを点検すると、まず電気が来ていない…

ヒューズも切れてない…

ガスも入ってる…

リレーも問題なし…


これはコンプレッサーを交換して改善される気がしないので…

他の仕事に追われ診断している時間もないので、電気屋さんにお願いする事に…


で、電気屋さんが調べた結果…

どうやらオートドアハンドル部に付いているスイッチが悪さをしてるようで…

初め聞いた時はなんのこっちゃ⁉︎と思ったんですがモノを確認してみると…



どうやらこのオートドアはエンジンの負圧を利用して開閉しているようで後部ドア開閉時にエンジンがストールするのを防ぐためにコンプレッサーの電源を一時的に遮断するスイッチが付いているようです…

昔、小型をやってる時にタクシーはよく触りましたがその時のオートドアってロッド式でしたからね…
最近のタクシーは負圧を利用してるんですねぇ…

知らんかった…


で、そのオートドアのノブのロッドがバカになりスイッチを押す為のカムがズレていたためスイッチが押せずにコンプレッサーに電気が行かなかったようです…





ただねぇ…

これは設計が悪いと思うけど…

本来なら回っちゃいけないロッドがクルクル回っちゃうわけですよ…
もちろん使い方が関係するんだろうけど、登録から2〜3年で走行8万キロで壊れちゃうんだから。

おまけに通常はここだけ部品が出ないようで、それはさすがにヒドイじゃないか…という事で部品商さんが交渉してくれて単品で取れる事になりましたが…

納期が1ヶ月だって…


さすがにそんなに停めておけないようで、なんとかエアコンが使える状態にしてくれないか…という事になり…



なんとかこのノブがクルクル回らないように色々と考えたんですが…



結果的にこのノブを固定するのではなく、スイッチ側のカムがズレないようにガイドを付ける事にしました…

加工したプレートを溶接。





たったこれだけの事なんですが、試行錯誤の末に辿り着きました。




で、無事にコンプレッサーも回るようになりとりあえず応急修理は完了…

部品が入ったきたら交換する予定ですけどね。





気付いたら3月も終わってましたが…
認証を取得し本格的に営業を開始してからはや5ヶ月…
これから夏に向けて仕事の量は格段に増えていきます…
そろそろメカニックの増員を本気で考えなくてはならない時期になってきました。

現在ホームページを作成する準備も進めておりリクルート情報も載せたいと思っているんですが…
整備業界の人手不足をなんとかする為に色々とアイデアが必要な時代です。


この整備業界を若者が目指してくれる魅力ある業界にする為にはどうしていくべきか?…という事も今後は考えていかなきゃなりませんよね…


コメント (2)