前回の記事の続き。
今回のフランス地方選挙の国民戦線の「敗退」は、つまるところ、
二大政党制の担い手である共和党と社会党が団結して第三勢力を排除したにすぎない。
こう結論付けたわけだが、ここでフランスの二大政党制について語らなければ、
今、フランスで何が起きているのかがよく理解できないと思う。
できれば、国内の池上彰様(※1)や佐藤優様(※2)にご解説頂ければよかったのだが、
この連中に解説力など期待しても無駄なので、自分で書く。
フランスは1980年代から、長らく共和党と社会党が交代して政権を担ってきた。
この時期の大統領を列挙すると、ミッテラン(社)→シラク・サルコジ(共)→オランド(社)
となっていて、大体、14年を周期に(1981→1995→2012~)交代している。
これは首相の任期が7年、再任されれば14年ある(2002年から任期は5年に変更)ためだが、
これだけ周期が長いと、当然、この間に与党が変化することがある。
フランスではロシアのように、大統領の他にも首相が存在するのだが、
これは慣習として当時の与党から選ばれることになっている。
つまり、大統領は社会党の人間なのに、首相は共和党の人間になることも可能であり、
現にフランス現代史では過去、3度、共和党と社会党が同時に政権についた時期があった。
これを保革共存(コアビタシオン)と言う。
これは結構、大事なことで、保革政党が同時に政権につくことで、今の政治が悪いと思っても、
それが共和党の責任なのか、民主党の責任なのかがハッキリしなくなってしまったのである。
そうなると当然、既存の大政党とは違うことを、
それも過激な発言を行う新興の政党が人気を得るようになる。
それが国民戦線だったのである。
このような歴史的背景を思えば、
フランス国民の多くが国民戦線に投票を入れたのは、
単にテロにショックを受けて、衝動的に極右政党に投票したわけではないことがわかる。
また、忘れてもらっては困るのが、
民主化を口実にシリア国内の武装組織に戦闘技術の訓練・武器の提供等の援助を施し、
テロ打倒の美名の下、シリアやイラクに軍を送り空爆をしているのが社会党だということだ。
私は日本の右傾化は左翼の右傾化と主張するが、
実のところ、左翼の右傾化はフランスもまた同様の状況である。
「私はシャルリー」というカードを掲げる茶番が数ヶ月前にあったが、
この「私はシャルリー」というメッセージには「私はフランス人」、
東洋人(ムスリム)の被害者である西洋人という意味合いも少なからず含まれていた。
要するに、言論の自由を訴えるという左翼的な運動ですら極めて愛国的な運動でもあったわけで、
このようなナショナリズムの色が濃い運動に共鳴していた民衆が数ヵ月後に、
共和党や国民戦線に入れたことは、自然であり必然だったのではないだろうか?
※1池上彰 様
安保法強制採決以前の時期に、安倍政権の見解をそのままお茶の間に垂れ流し、
いかにも安倍の意見が一理あるかのように見せかけた御仁。
今年の7月の時点で彼は、安倍政権が集団的自衛権行使で唯一実例としてあげた
ホルムズ海峡の機雷掃海に関して、イラストまで作って解説する一方で、
現実的ではないという意見「も」ありますと一言、申し訳程度に触れていたのだが、
今頃になってホルムズ海峡に機雷が撒かれるなどありえない、非現実的だと語っている。
ちなみに、自分が以前、真逆の論調をとっていたことについては特に言及がない)
※2 佐藤優 様
あの池田大作を尊敬する創価学会の支持者。何冊か創価学会のベタ誉め本を書いている。
これだけでも相当胡散臭いヤツだと普通の人間なら気がつくのだが、
売れっ子なので岩波も週刊金曜日も彼に沖縄問題等の時事評論を書かせている。
ちなみに彼は集団的自衛権には肯定的で、辺野古基地の建設には否定的という
一見矛盾した態度を取っているが、前者の掲載紙が保守系の雑誌、後者の雑誌が
革新系の雑誌であることを知れば、特に不自然なことをしているわけでもない。
彼はどちらかというと評論家ではなくプロデューサーというべきキャラで、
文学についてはド素人なのに、ロシア文学者の亀山郁夫とタッグを組み、
亀山訳の『罪と罰』、『悪霊』などをベストセラーにさせている。
ちなみに亀山のドストエフスキー論、ならびにその訳本は
ドストエフスキーの研究者らに完全に否定されているが、
否定するほうが異常なのだという見解を持っている。)
今回のフランス地方選挙の国民戦線の「敗退」は、つまるところ、
二大政党制の担い手である共和党と社会党が団結して第三勢力を排除したにすぎない。
こう結論付けたわけだが、ここでフランスの二大政党制について語らなければ、
今、フランスで何が起きているのかがよく理解できないと思う。
できれば、国内の池上彰様(※1)や佐藤優様(※2)にご解説頂ければよかったのだが、
この連中に解説力など期待しても無駄なので、自分で書く。
フランスは1980年代から、長らく共和党と社会党が交代して政権を担ってきた。
この時期の大統領を列挙すると、ミッテラン(社)→シラク・サルコジ(共)→オランド(社)
となっていて、大体、14年を周期に(1981→1995→2012~)交代している。
これは首相の任期が7年、再任されれば14年ある(2002年から任期は5年に変更)ためだが、
これだけ周期が長いと、当然、この間に与党が変化することがある。
フランスではロシアのように、大統領の他にも首相が存在するのだが、
これは慣習として当時の与党から選ばれることになっている。
つまり、大統領は社会党の人間なのに、首相は共和党の人間になることも可能であり、
現にフランス現代史では過去、3度、共和党と社会党が同時に政権についた時期があった。
これを保革共存(コアビタシオン)と言う。
これは結構、大事なことで、保革政党が同時に政権につくことで、今の政治が悪いと思っても、
それが共和党の責任なのか、民主党の責任なのかがハッキリしなくなってしまったのである。
そうなると当然、既存の大政党とは違うことを、
それも過激な発言を行う新興の政党が人気を得るようになる。
それが国民戦線だったのである。
このような歴史的背景を思えば、
フランス国民の多くが国民戦線に投票を入れたのは、
単にテロにショックを受けて、衝動的に極右政党に投票したわけではないことがわかる。
また、忘れてもらっては困るのが、
民主化を口実にシリア国内の武装組織に戦闘技術の訓練・武器の提供等の援助を施し、
テロ打倒の美名の下、シリアやイラクに軍を送り空爆をしているのが社会党だということだ。
私は日本の右傾化は左翼の右傾化と主張するが、
実のところ、左翼の右傾化はフランスもまた同様の状況である。
「私はシャルリー」というカードを掲げる茶番が数ヶ月前にあったが、
この「私はシャルリー」というメッセージには「私はフランス人」、
東洋人(ムスリム)の被害者である西洋人という意味合いも少なからず含まれていた。
要するに、言論の自由を訴えるという左翼的な運動ですら極めて愛国的な運動でもあったわけで、
このようなナショナリズムの色が濃い運動に共鳴していた民衆が数ヵ月後に、
共和党や国民戦線に入れたことは、自然であり必然だったのではないだろうか?
※1池上彰 様
安保法強制採決以前の時期に、安倍政権の見解をそのままお茶の間に垂れ流し、
いかにも安倍の意見が一理あるかのように見せかけた御仁。
今年の7月の時点で彼は、安倍政権が集団的自衛権行使で唯一実例としてあげた
ホルムズ海峡の機雷掃海に関して、イラストまで作って解説する一方で、
現実的ではないという意見「も」ありますと一言、申し訳程度に触れていたのだが、
今頃になってホルムズ海峡に機雷が撒かれるなどありえない、非現実的だと語っている。
ちなみに、自分が以前、真逆の論調をとっていたことについては特に言及がない)
※2 佐藤優 様
あの池田大作を尊敬する創価学会の支持者。何冊か創価学会のベタ誉め本を書いている。
これだけでも相当胡散臭いヤツだと普通の人間なら気がつくのだが、
売れっ子なので岩波も週刊金曜日も彼に沖縄問題等の時事評論を書かせている。
ちなみに彼は集団的自衛権には肯定的で、辺野古基地の建設には否定的という
一見矛盾した態度を取っているが、前者の掲載紙が保守系の雑誌、後者の雑誌が
革新系の雑誌であることを知れば、特に不自然なことをしているわけでもない。
彼はどちらかというと評論家ではなくプロデューサーというべきキャラで、
文学についてはド素人なのに、ロシア文学者の亀山郁夫とタッグを組み、
亀山訳の『罪と罰』、『悪霊』などをベストセラーにさせている。
ちなみに亀山のドストエフスキー論、ならびにその訳本は
ドストエフスキーの研究者らに完全に否定されているが、
否定するほうが異常なのだという見解を持っている。)