あと、数時間後には
安倍晋三の国葬が始まる。
巷ではメディアも含め
まるで葬儀に反対することが
正義であるかのように騒がれている
・・・だが、正直なところ、私は何とも言えない
虚しさと馬鹿馬鹿しさに包まれて
この記事を書いている。
というのも、この騒々しいキャンペーンは
耐え難い自己欺瞞に満ちているからだ。
我々が思い起こすべき事実は
襲撃直後の時点でメディアも知識人も
この事件を民主主義に対する挑戦として
悲劇化したことである。
上掲の画像は
「安倍晋三 民主主義 社説」で
検索をかけたものだが、ご覧の通り
どの新聞も全く同じ論調を取っている。
以下、いくつか引用したいと思う。
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暴力によって民主主義を破壊しようとする蛮行である。
参院選の街頭演説中に
安倍晋三元首相が銃撃され、死去した。
強い憤りをもって非難する。
事件はきのう昼前、
奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺で起きた。
安倍氏の後ろから男が近づき、2発の銃弾を発射した。
安倍氏はドクターヘリで病院に搬送されたが、
その後に死亡が確認された。
41歳の元海上自衛官が現場で逮捕された。
詳しい動機や背後関係は不明で、今後解明が必要だ。
民主主義は主張が異なっても、
議論を戦わせ言葉によって合意を形成する営みである。
多様な意見に耳を傾けるのが基本だ。
いかなる理由があっても、
言論を暴力で封じ込めるような行為は言語道断である。
安倍氏個人だけでなく市民社会全体に対する攻撃だ。
https://mainichi.jp/articles/20220709/ddm/005/070/127000c
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安倍晋三元首相が
奈良市で参院選候補の応援演説中に銃撃され、死亡した。
言論を通じて国の将来を選択する
国政選挙中の凶行を、最大限の怒りを込めて非難する。
安倍氏の主張を封じることが狙いなら言語道断だ。
法の支配といった社会の根幹を支える価値を再確認したい。
他国の戦争に加わる「集団的自衛権の行使」容認や、
改憲を急ぐ姿勢を批判し、権力私物化を疑われた
森友・加計学園、桜を見る会を巡る問題も厳しく追及してきた。
本紙の報道姿勢を公然と非難することもあった。
とはいえ、主張が違っても、
言論で対峙(たいじ)するという
民主主義の原則は共有してきた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/188517
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民主主義国家の日本で、
絶対に許されない事件が起きた。
安倍晋三元首相が
参院選の遊説中に銃撃され、亡くなった。
選挙期間中に暴力によって
言論を封殺しようとする衝撃的な事件であり、
凶行を断固として非難する。
安倍氏は8日午前に
奈良市内の路上で街頭演説をしていた際に銃で撃たれた。
安倍氏はドクターヘリで
奈良県内の病院に緊急搬送されて
救命措置を受けたが、同日夕に死亡が確認された。
岸田文雄首相は同日夜、
記者団に「誠に残念であり言葉もない。
民主主義の根幹たる選挙が行われているなか
命を奪った卑劣な蛮行がおこなわれた。
断じて許せるものではなく、
最も強い言葉で非難する」と語った。
〜中略〜
民主主義は多様な意見を尊重し合い、
あくまで言論によって重要な物事を決めていくのが
ルールの根幹である。
どんな理由があっても、
政治家を傷つけたり威圧したりして
主張を押しつける行為は正当化できない。
https://www.nikkei.com/article/
DGXZQODK0870Q0Y2A700C2000000/
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銃弾が打ち砕いたのは民主主義の根幹である。
全身の怒りをもって、この凶行を非難する。
同時に、亡くなった安倍元首相に対し、
心から哀悼の意を表する。
参院選の投開票日の直前に、
しかも街頭で遊説中に、現役の有力政治家である
安倍氏が撃たれたことはあまりにも衝撃的だ。
選挙は、民主国家の基礎中の基礎である。
そこでは思想信条の自由、言論・表現の自由、
投票の自由が、厳格に守られなければならない。
その選挙を暴力で破壊する。自由を封殺する。
動機が何であれ、
戦後日本の民主政治へのゆがんだ挑戦であり、
決して許すことはできない。
その罪の危険さ、深刻さを直視しなければならない。
https://www.asahi.com/articles/ASQ786RDKQ78USPT00N.html
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このように、どの社説も
まるで判を押したように同じ文言が並ぶ。
(政府が用意したテンプレートを
少々、いじくって載せたのではないか
と疑いたくなるほどに酷似している)
安倍晋三が殺されたぐらいで
破壊されてしまうほど
民主主義とは脆弱なものなのだろうか?
安倍晋三という政治家について
私が思い浮かぶのは、
まずは虚偽答弁、次に利益誘導、
加えて公権力の私物化、強行採決、
公文書の改竄、メディアの癒着、
そして8年に及ぶ独裁政治の実行である。
むしろ民主主義の敵であって、
敵が死んだところで民主主義は容易に
瓦解はするまい。むしろ蘇るのではなかろうか?
その上で、
選挙活動や言論の自由に対する冒涜を
考えてみても、やはり合点がいかない。
彼らは
ベネズエラの選挙結果を認めず、
制裁を科したアメリカには、非難どころか
支持の姿勢を見せていたからである。
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世界一と言われる原油埋蔵量を抱え、
本来は豊かな国のはずだ。
ところが近年、失政による混迷は深まるばかりだ。
すでに国民の1割にあたる
300万人が国外に逃れたという。
最大の責任は、マドゥロ大統領にある。
経済政策の失敗に加え、
反政府派への弾圧を続けている。
市民の流血もおきており、
もはやこれ以上、統治を続ける資格はない。
平和裏に収拾するためには、
国民自身の手で公正に
大統領を選び直すことが不可欠だ。
マドゥロ氏は拒んでいるが、
国際社会は新たな大統領選挙の実現へ
向けて環境を整えるべきだ。
この国は今、「大統領」が
2人存在する事態になっている。
マドゥロ氏が正統性を唱える一方、
昨年春の大統領選の無効を訴える
グアイド国会議長が暫定大統領を名乗っている。
米国とカナダ、ドイツ、フランスなどは
グアイド氏を承認したが、中国やロシアなどは
マドゥロ氏を支持している。
〜中略〜
中国とロシアは、
マドゥロ氏の説得に動かねばならない。
中ロとも自国の権益や
対米牽制(けんせい)を考えているようだが、
ベネズエラを
自国の影響力を競う舞台に利用する態度は慎むべきだ。
トランプ米大統領は軍事介入をほのめかすが、
踏み切れば中南米に反米感情を広げ、
事態を悪化させるだけだ。
グアイド氏も、
平和的に解決する姿勢を明確にする必要がある。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13887643.html
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2019年、ベネズエラでは大統領選挙が
実施され、結果、現職のマドゥロが二期を
務めることになった。
これに対して政敵であるグアイドは
選挙の不正を主張、暫定大統領を自称した。
その後、NATO陣営は高速の動きで
グアイドを支持、ベネズエラに制裁を
科していくのだが、
宣言前日、ペンス副大統領がグアイドを
支持する発言をしていたことが
WSJの調べにより判明している。
選挙結果を認めず、
外国勢力の力を借りてクーデターを起こす。
これほどわかりやすい民主主義の冒涜は無い。
と私は思うのだが、
日本のメディアによれば
これは冒涜には当たらないらしい。
同時期に書かれたParsTodayの記事を
読めば、国内外を問わず、少なからずの人間が
マドゥロ政権を支持していたことがわかる。
国連も例外ではない。支持者はバチェレ。
先日、ウイグル族弾圧を否定したばかりに
国連人権高等弁務官の職を追われた人物だ。
(はっきり言って、バチェレ追放の方が
安倍晋三の死より民主主義にとっては
危険な事件だったのだが、
メディアは気にもしなかった)
当時、グアイドは米軍によるベネズエラ侵攻を
はっきりと支持していた。
どちらが民衆の敵かは一目瞭然だろう。
ーーー続くーーー
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