パリのテロ事件を利用して、各国がここぞとばかりに社会の監視化を進めている。
その余波で、テロとは無関係の人物が被害を受けるアクシデントも発生した。
アラビア語話した2人を一時搭乗拒否、パリ襲撃で不安広がる
韓国で、ISISの関与が疑われる10名の人物が逮捕
自民党が持ち出した「共謀罪」の危険すぎる中身!
テロ対策は嘘、トイレ落書き計画リツイートするだけで逮捕も
共謀罪、盗聴法、マイナンバーのセットで「監視社会」実現、
憲法に緊急事態条項…安倍政権はヒトラーと同じだ
韓国ではISISの構成員あるいは関係者と思われる人物を逮捕したとのことだが、
逮捕したのがあの国家情報院(国情院)である時点で、身構えてしまう。
この国情院は、証拠を捏造して韓国の野党政治家を逮捕するわ、
大統領選の時に、パク・クネのライバルの誹謗中傷を5万件もツィッターに書きこむわ、
実際は生きている北朝鮮の高官が粛清されたと発表するわとウソばっかりつくプロパガンダ機関で、
その前身にあたるKCIAは、軍事政権時代に多くの市民を逮捕・拷問にかけていたところである。
(ちなみに最大の盟友であるパク・チョンヒもKCIAの人間に殺害されている)
本当にISISの関係者が逮捕されたかどうかは、すこぶる怪しいものだ。
リテラの記事(梶田陽介氏が執筆)は共謀罪について大変わかりやすく書いている。
個人的には、リテラの記事がなかなか良いのは、ライターの梶田氏の貢献が大きいと感じる。
それだけ、彼の記事は結構読ませる内容になっている。
ただ、個人的には「安倍政権はヒトラーと同じ」というフレーズは少し違うと思う。
むしろ、彼の目指す監視社会は、現代アメリカのそれを模倣したものだろう。
監視と密告のアメリカ(成甲書房、2004年)
(本書の一部はGoogleBookから立ち読みすることが可能)
絶版本だが、ここで語られている内容は今の安倍政権が目指しているものと同じだ。
例えば、8~10ページで書かれている(ここから読める)ように、
アメリカの愛国者法ではデモをするだけでも法的には逮捕することができる。
国内テロを幇助したと疑われる者に対しても盗聴・逮捕・起訴する力が与えられ、
場合によっては、宿泊されただけでもテロの一味として捕まる恐れがある。
これなどは、まさに今、安倍政権が成立させたがっている共謀罪に関する法案と同じものだ。
これだけベッタベタの親米政権が現代アメリカ社会を理想のビジョンにしないわけがない。
では、これだけ監視下に置かれているアメリカで事件がないかといえば、そんなことはない。
最近はあまり報道されないが、依然、黒人が警官から暴行を受ける事件は絶えないし、
国家安全保障センター(ニューヨーク州フォーダム大学所属)が最近実施した調査によれば、
ISISとの関係を疑われ逮捕された68人の容疑者の中、外国人はわずか3人だったことが判明している。
つまり、テロ容疑者の9割がアメリカ人だったのである。
シリア人は1人もいなかった。このことは何を意味するのか?
アメリカの政治評論家、ドン・デバール氏は、
「シリアで戦い、アメリカで逮捕されたISISのメンバーの多くが、
この国の市民であることを否定したり、それに驚いたりすべきではない」
「アメリカは、この国にテログループを作り、戦いのために他国に派遣している。
彼らが祖国に帰るのは明らかだ」とコメントしている。
もともとテロリズムという言葉は「国家が民衆に対して行う暴力」を意味したのだが、
いつのまにか私たちは、この意味を逆転させて「個人が国家に対して行うもの」と覚えている。
実際には、ある国(シリア)と敵対する国家(アメリカ、サウジアラビア、イスラエル等)が
さる集団を訓練して、抵抗勢力と称して現地に送り込んでいる。
中身は変わっていないのだ。
他方で、パリのテロがここまで騒がれながら、
イエメン国民に対するサウジアラビア軍の空爆は
国際的に、全くと言っていいほど問題にされていない。
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「イエメン人の漁民に対するサウジ軍の再三の空爆は残忍」
イエメンの法律センターが、同国の漁民に対する
サウジアラビア軍の戦闘機による再三の空爆は残忍であるとしました。
イエメンのサバー通信によりますと、イエメンの法律センターは
22日日曜、声明を発表し、イエメン人の漁民に対するサウジアラビアの空爆を非難し、
「
イエメン西部フダイダ州に対する最近の攻撃で、多数の漁民が死傷した」と表明しています。
この声明ではまた、
「イエメン人の漁民に対するサウジとその同盟国による計画的な繰り返しの攻撃は残忍であり、
人権に対する危険な侵害とされる」となっています。
このセンターはまた、
「攻撃の継続により、イエメン人の数千世帯の生活が危険にさらされている。
沿岸地域の住民の生活手段は漁業のみであり、彼らはおよそ8ヶ月前から
サウジとその同盟国に包囲されている」としました。
この声明によりますと、これまでにイエメンの沿岸部にある島に対する
サウジアラビアの空爆で、およそ150人のイエメン人の漁民が死亡しているということです。
イエメンの沿岸部の地域や、西部フダイダの魚市場などに対する
サウジアラビアの戦闘機の攻撃でも、数百人のイエメン人の漁民が死亡しています。
イエメン法律センターはさらに、国連と国際社会に対し、
サウジアラビアのイエメンへの攻撃と封鎖をやめさせるべく、この問題に介入するよう求めました。
イエメ各地に対するサウジアラビアとその同盟国の空爆は、今年の3月末から開始されており、
これまでに数千人の死傷者と、数万人の難民を生み出しています。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/60022
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サウジの蛮行は決して国連に無視されているわけではないけれども、
それでも、日本の新聞社やテレビ局、雑誌社の報道姿勢は
まるでフランス人の命は尊いが、イエメン人は何人死のうが知ったことではないかのよう。
言いがかりだと疑うなら、上のような半年以上にわたって行われている
ジェノサイドについて、パリ事件と同レベルの扱いをしたメディアを教えて欲しい。
少なくとも左派系メディアとしては最もマシな部類であるはずのリテラでさえ、
そんな記事はなかった(国内ニュース中心のメディアだから仕方ないとも言えるが)。
右派は言うに及ばず。イエメンという国がないかのような風潮。
私が海外メディアに着目するのは、自国の立場から述べるという限界があるとしても、
日本では透明化されている惨事についてきちんと報道し、怒りを表明するからである。
私たちは自由に民主的に情報を取得しているが、
実のところ、それはあらかじめ非常に制限された情報であって、
日本と言う国の枠の中に閉じ込められていることを自覚しなければならない。
きちんと各国のメディアを通じて多角的に見ていかなければならない。
タクフィール主義という過激な宗教一派を擁し、テロを支援したのも、
イエメンで現地の住民に向けて爆弾を落としたのも、サウジアラビアだった。
なぜ前者、それも欧米人に対するテロはここまで騒がれたのに、
後者は遠い国のお話として済まされているのだろう?しかも空爆はまだ続いているのである。
今、強く抗議すべきなのは、報道すべきなのはむしろ後者だろう。
(また、ロシアの空爆もピンポイント爆撃と称しているが、
検討が必要だろう。少なくとも私は民間人を巻き込んでいると考えている。)