時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

朝鮮新報へのハッカー攻撃について

2013-04-23 23:56:39 | 北朝鮮
ここ数日、朝鮮新報のサイトが調整中で心配していましたが、
どうやら復帰したようです。

朝鮮新報とは、総連の傘下にある新聞社で、その性質上、
北朝鮮に批判的な意見は皆無ですが、彼らが何に対して
不服を申し立てているかを知るためには欠かせません。

特に日本のメディア(右派左派問わず)は大国の言い分に
ベッタリなので、正確な情報をつかむためには同サイトの活用が
求められるでしょう。

例えば、私は彼らの祭日中にミサイルなど飛ばされないと主張し、
的中させましたが、それは朝鮮新報の報道を読み、彼らの視点に
立って予想を立てた結果であり、当然と言えば当然の結果です。

彼を知り己を知れば百戦危うからず。
情報戦に勝つためにも向こう側の情報は率先して読むべきでしょう。


さて、その朝鮮新報ですが、長らく国際ハッカー集団「アノニマス」
を「名乗る」連中にハッカー攻撃を受けていました。

攻撃の結果、得た会員の情報をネットで公開したようです。
幸い、朝鮮新報の登録情報は住所や電話番号などのバれると
やばいものは無いのでひとまず安心ですが、しばらく会員制は
やめるようです。

実を言うと、以前は会員制でなかったのです。
恐らく同様のサイバー上の嫌がらせでハッカーに記事を
読ませないために会員制に変更したのではと思います。

よくロシアや中国をネタに、共産主義国は言論弾圧がされる
ひどい国だというキャンペーンが行われていますが、
実際は日本やアメリカも相当にひどいものです。

共産主義国では弾圧も国家によってなされますが、
自由主義国では弾圧は民間によってなされます。

政府は彼らにGOサインを送るだけで
何もしなくても強力な弾圧ができるわけです。
この「無責任性」こそ自由主義国の特徴と言えましょう。

今回のハッカー攻撃はタイミングからして
日本のハッカーによる嫌がらせでしょう。
残念ながら、こういう輩を野放しにして
国益を得ようとするのが今の日本です。


言論を弾圧するはずの北朝鮮ゆかりの新聞サイトが
自身たちの言い分をルールに則って公開する一方で、
問答無用で嫌がらせをして閲覧不可にさせようとする
ハッカーやそれを黙認する政府と日本国民。

なんと素晴らしい民主主義国家でしょう。


今回のハッカー攻撃を契機に、言論の自由とは何かについて
もっと真剣に考えなくてはいけないのかもしれません。

単純に憲法上で自由が保障されていればそれでいいのか、
経済システムや政治システムがヨーロッパ的なら
それでいいのか、自由主義国は人道的で、社会主義国は
非道だという決め付けをしていいのか等々。

少なくとも、民主主義国=言論弾圧が無いという認識は
改めるべきです。事実上は限られた自由の中で意見しているわけですから。

絞首台のレポートについて

2013-04-22 00:45:46 | 文学
「絞首台のレポート」とは、チェコ共産党の党員であるフチークが
煙草の巻紙に密かに書いた記録文学で、ナチスの拷問と尋問が
これでもかと告発された現在でも一読の価値ある名著である。

小林多喜二がわずか一日で惨殺されたのに対して、
こちらは死ぬまで時間がある程度あったのは、不運か幸運か悩むところ。

同じく権力側に殺された幸徳秋水の「キリスト抹殺論」と
比較して読むと面白いかも(幸徳秋水は無実の罪で死刑に処された)



http://barefoot.oops.jp/product/koushudai.html

こちらの方の感想では、本書が80ヶ国語に訳された
大ベストセラーだと解説されている。

私自身、岩波文庫の赤帯(小説もの)に分類されていたため、
つい創作ものだと思い今まで敬遠していたが、この度読んでみて
こういう記録はもっと多くの人に読み継がれるべきだと思った。

ところで、ウィキペディアを読むと、ずいぶんひどい解説がされている。
まー、ウィキなんてヒマ人の書くものだから仕方ないっちゃ仕方ない。

さるサイトを運営している御仁が、ウィキの解説文と
ほぼ同じ内容の感想を書いているので、こちらを引用しよう。

多くの国で共産主義は、反国、反体制活動と重なります。

しかし、1940年代のチェコスロバキアでは、
奇跡的に、愛国と反ナチと民族解放運動と共産主義とが重なったのです。
この情熱は本物です。

フチークは、スターリンによる解放を信じて亡くなりました。
スターリンは恐怖政治で、ロシアにおいても否定されています。

それでもフチークの美しさは変わりません。
拷問や監禁に耐える姿が皮肉にも
スターリン体制を批判するものとなっているのです。

日本は敗戦国=悪者ですが、ヒロシマの被爆者、ナガサキの
被爆者については、世界中の誰もが悪くは言いません。

平和な日常を破壊された戦争の犠牲者として、誰もが同情を寄せてくれます。
フチークもそうです。戦争と政治闘争の犠牲者として
永遠に哀悼を捧げられるべきです。


私はこういう感想というか姿勢をとってしまうところに
日本の反共左翼あるいは中道右派、リベラルの脆さを感じてしまう。

まず、なぜ多くの国家で共産主義が反体制となるかについてだが、
これはベトナムやキューバ、ベネズエラ、チリの歴史を知れば
自明の通り、その多くが植民地であり、政治的にも経済的にも
搾取と圧制を受けてきたからだ。

反体制=民族解放運動なのである。

次に、スターリン体制は日本では悪そのもので通っているが、
ロシアにおいては未だに中国における毛沢東同様、シンパがおり、
必ずしも否定されているとは限らない。むしろ否定していたのは
スターリン死去以降の各国共産党だろう。

ちなみに、私はスターリンの否定という現象は、フルシチョフに
よる宣伝に対する反応だったと考えている。フルシチョフにとっては
如何に自身の権威を正当化するかを考えた上でのパフォーマンス
にすぎなかったが、各国共産党にとってみては、如何に自身が
スターリンと違うかを説明しなければならない状態に陥ったのだと思う。

その影響に引きずられたままスターリンの評価は下げられている
ような気がして、あまり素直に喜べない。

これは何もスターリンを評価せよということではなくて、
政治的イデオロギーで歴史を語ることに対して否定的なだけである。

現に、冷戦終結以降に新たに発見された新資料からは、
それ以前の陰湿なスターリン像を覆す内容が含まれていた。

確かにスターリンは、状況に応じて残忍な決断を下したが、
それをナチスと安易に同列視していいものかとも思う。

故ダニエル・ベンサイドが主張しているように、
ナチスは自身の敵を殺したのに対して、ソ連は
自身の味方(共産的な表現をすれば同志)を殺したからだ。

綿密な比較の上で同質性を語るなら結構だが、
実際は、悪の代名詞として区分したがっているだけにすぎず、
その辺に抵抗を覚えるのである。

上の引用文でも、如何にスターリンと同じか、あるいは
違うかで作者を裁こうとしているかがおわかりだろう。

だが、スターリン主義者とバッシングしながらテロリズムに走り、
その後、何ら本格的な反省もしないまま今に至る全共闘世代の
連中を見ればよくわかるように、スターリンという言葉を
取り出して非難したところで、必ずしもそいつが正しいとは
限らないし、多くの場合は間違ってさえもいるのだ。

この評者の言葉も「共産党は悪だけど、たまに良い奴もいるから
その辺は評価しようね」という偽善めいた主張に留まっていて、
これは「日本人は糞だが、たまに良い奴もいる」という言葉と
同じものだ。

だいたい、この評者は
「南京大虐殺は無かった等というのは、国家に対する反逆行為。」
と言いながら、櫻井よし子を「硬派の女性ジャーナリスト、
櫻井よしこ様の論戦シリーズ。もっと活躍して貰いたい方です。」
と絶賛していて、かなり矛盾した思想を持っている。

南京事件を否定しているのは、他ならぬ櫻井女史なのだが?
硬派の女性ジャーナリストは国家に対して反逆しているらしい。

他にもチリやベトナムに対して侵略、テロを行ったニクソンを
絶賛していたりと、全くもって意味不明な部分があり、
ソ連は駄目だけどアメリカはOKなのかと憤ってしまう。

そして、何故かこういう連中ほど、ソ連や共産党の情報を
かき集めていて(もちろん肯定的な内容は意図的に省く)、
勝手な解釈をして正義の味方を気取っているわけだ。

つい先日、ゴーゴリにおける文学者による洗浄行為について
触れたが、これは第二次大戦中の共産党の運動についても同様
なのかもしれない。共産党と結びつけないでその内容を評価
しようとし、結果的にその作品の本質的な部分を汚している
ような、そんなお粗末な解釈が今後もドシドシ行われるのかもしれない。

本当の共産主義なんて存在しない

2013-04-17 21:34:49 | 反共左翼
冷戦終結以降、「本当の共産主義」とか言って
自分の宗派こそ正義なのだと喧伝してる連中がいますが、
私はこういう人たちを全然信用していません。信用できません。

マルクス主義の重要な概念の一つに「弁証法」というものが
あります。これは、変化の哲学とでも言うべきもので、
物事は生成と消滅前進的または
後進的変化
全般的交互作用によって成り立つという考えです。


要するに歴史、社会、国家、家族、文化といったものは
ただ一つのスタイルだけを
持っているじゃないという考えです。



そうであるからこそ、身分制や資本主義といった政治経済システムも
歴史の中の一部分を占めるにすぎない、人間が平等になるシステムは
構築可能だ!と主張することができるわけです。

これを哲学に当てはめれば、絶対の真理を認めないことになりますから、
「本当のマルクス」などという言葉自体、発言できないはずです。

しかもこの真理はマルクスやエンゲルスによれば、現実の分析から
導き出さなければなりません。かつ、より良いシステムの構築に
実際に役立つものでなければなりません。

科学的かつ実践的な哲学こそ、
マルクスやエンゲルスの目指したものだと言えましょう。

なんでこういうことを書いたかというと、
ここ最近の北朝鮮の報道に対して、大国中心の報道に異議を
唱えるどころか、彼らと一緒になって制裁を叫んでいるのが
この「本物のマルクス」とか「新しいマルクス」を
我こそが理解しているのだと気取っている連中だからです。



これから取り上げる人たちは現役の共産党党員、元党員の集まりですが、
こいつらの言っていることって
前々回に紹介した朝日新聞のコラムと全く同じ
です。


ためしに抜粋してみましょうか?

最後に、北朝鮮の金正恩ですが、かなりの政治オンチのようです。
それだけに何をするか分からないから怖い。

まさに馬鹿に刃物といったところ。
いつまでも生かしておくのは危険だと思います。

戦争なんて事態になる前に、
北朝鮮に金王朝打倒の政変でも起きてほしいですね。

これ、多くの人が薄々期待していることじゃないでしょうか。


このコメントを書いた人物は金正恩が無能だと断言できる
情報をどこから仕入れてんでしょうか?

「いつまでも生かしておくのは危険」だなんて、どこの独裁者ですか?
死ねってことですか?誰か殺してくれってことですか?

戦争になる前に政変が起きてほしいって言いますが、
そうなればまず韓国やアメリカに「統治」されるでしょう。
イラクやアフガンのように。

私はこういう
平和のために争いが起きればいーな♪
と素面で言ってしまう奴を本気で軽蔑しているのですが、
案外、この人物が言っているように、今の新しい共産主義とか
リベラルとかぬかしている連中は、得てしてこういう態度では
ないでしょうか?加藤哲郎をはじめ、私の知る限りかなり多いです。

戦争が起きるぐらいなら
内乱が起きたほうが良い。

そう平然と述べ、血を浴びることのない
安全な場所から内乱を革命と絶賛する。

それって正しいんでしょうか?


この方のコメントに対するサイト主さんの返事もまた空しい。

私もそんな事思ったりします。
でも、みんな腹が減ってるんでしょうね。国民は。

こんな国の状況で拉致家族帰還の事も気になります。


腹をすかした原因の一つは、制裁(つまり罰)として
食料を送らない日本ですし、それを当然視している我々です。

中国などが食糧支援をすると大ブーイングするどこぞの国民です。

私は日本が全面的に悪いと言っているのではなくて、
自分は全く悪くないことを前提に他国を非難する姿勢に
問題を感じると言いたい
のです。

自分の分析には問題がない、相手の出方がわからないのは
向こうが馬鹿だからだ、腹が減っているのはむこうの責任だ。
こういう態度でいる限り、仮に本当のマルクス主義があったと
しても、そこにはとてもとてもまだまだ到達できていないのでは?

あんまり言いたくないのですが、この共産党の関係者さん達、
党の文句は一丁前にしゃべりますけれど、
自分のことしか話していないんですよねぇ……

サイト主さんは昔は割と良い記事を書いていて、党の弁護も
行っていましたが、最近は離党者や除名された人間と一緒に
愚痴ってますね。

彼らの発言を読んでおかしいなと思うのは、党の体質に関わる深刻な問題
と称して、自分たちの個人的な恨みつらみを話しているだけなところです。

はっきり言って、政党と云うのは大多数の人間にとっては、
政策を実行すること、その政策で経済や福祉を向上させること、
それだけが問題なのです。自民党みたいに汚職や派閥争いばっかり
しても投票するのは、そういうところがあるからです。

訳のわからん団体よりも、経験のある政党を選ぶからです。
別に党内で何をしていようと関係ありません。

ですから、例えば領土問題とか外交問題をはじめとした
党の政策に問題があると思うなら、それは大いに言うべきです。

しかし、連中の言うことは、俺は共産党にこんなことをー
というグチしかない。しかも被害者を気取っているから
言い分を読んでみたら、中央と議論して負けてこちらの言い分が通らなかった、
規約に違反して除名されたという話で、要するに自業自得の上の自己弁解です。

党に不満を持つならば、党と違う意見を彼らは
発言すべきではないでしょうか?被害者自慢をする前に。



政党の人間という自覚が足りないんですよ。市民団体と勘違いしている。

こういう正義の味方が話す内容が朝日新聞のアメリカべったりの
悪い国を懲らしめてやる、罰してやるといった俺が正義だ覚えとけ理論
とまったく同じなのは偶然の一致ではないでしょう。

さて、はじめの話題に戻りますが、私は彼らの主張が正しいかどうかを
実際の彼らの国際・国内問題へ対する具体的な態度を見て判断しています。

その上で言わせてもらえれば、
彼らは彼らが非難する共産党以上に性質が悪いです。

党にはできないこと、言えないことを彼らはできるはずなのに
それをやらない。自分の責任を放棄して被害者を演技する。
そして結果的に保守派や極右に助太刀している。
どうしようもないと思います。

やっぱり外れたミサイル発射

2013-04-17 20:15:21 | 北朝鮮
この前の記事で、
「金正日誕生日のこの時節にミサイル発射の恐れがある」というニュースに対して、
「じゃー日本は天皇誕生日にミサイル飛ばすか?」といったツッコミを入れました。


やっぱり発射されなかったな!
どうしたよマスコミさんよー!?


むしろ飛ばすとしたら祝典が終わったこれからですが、
今日のニュースでは、5月から田植えの季節であるため
対話の姿勢に変わっていると報道されていました。


くどいようですが、今回の北朝鮮の抗議は
アメリカと韓国の合同軍事演習に対してのものです。

軍事演習は4月末には終わりますから、
このタイミングでそろそろ次の行動へ移るのは
当り前ではないでしょうか?

と同時に、私はまだ軍事演習は終わっていませんから
ミサイルを仮に飛ばすとするならば、まだ警戒を怠っては
ならないと思います。(それでも飛ばさないと思うけど)

飛ばさないと思うのは、そこから軍事衝突へ発展するのは
必然で、北朝鮮に圧倒的な軍事力の差と食糧不足を抱えて
なお勝算があるのか?と思うからです。

はっきり言って、向こうのトップは私たち一般庶民より
数百倍インテリですから、軍部が暴走しない限りはまずないでしょう。

しかしまぁ、私のようなド素人にすら負けるメディアの情報力って
いったい全体何なんでしょうね?こういう連中が国内のニュースでは
生活保護バッシングをしたり消費税増税を必要悪としたり
好き放題暴れて世論を操作してんですから、とんだペテン集団だと思いますよ。

事実上の国営放送が流した事実上のプロバガンダについて

2013-04-16 19:06:09 | 北朝鮮
今朝、NHKが北朝鮮のニュースを流していましたが、
「米韓の軍事演習を口実に」「威嚇」をしているとのことです。

この前の記事に書いたように、
アメリカが行っている演習は核爆弾の搭載可能な戦闘機を交えて
20万以上の軍隊が領海近辺で行っているもので、
これはいわば尖閣諸島や沖縄近海で中国が大軍で軍事演習
(しかも有事の際に日本へ攻め込むといった内容)をしているようなものです。


「口実に」なんてレベルではないのです。

向こうの行動は「威嚇」で、こちらの行動は「制裁」だそうです。

日中戦争の際に、戦争の大義として「支那膺懲」、
つまり「悪い中国を懲らしめてやる」という言葉がありました。

鬼退治でもするつもりだったのかよと言いたいですが、
これと同じ感覚がいま、北朝鮮問題でも取られているのではないでしょうか?

悪い北朝鮮をやっつける。懲らしめる。制裁してやる。
「指導」と称して体罰を食らわした大阪の某高校と同じですね。

今日の朝日新聞の天声人語でも、
「狂気」とか「若き独裁者」とか日中戦争中の軍やメディアのように
相手の「異常性」を煽り立てる文章で埋められていました。以下の青文字はその引用です。

来日した米国のケリー国務長官は名前のイニシャルが「JFK」で、
あのケネディ元大統領と同じである。ジョン・フォーブス・ケリー氏という。

ケネディに憧れて政治家を志し、高校時代にはその選挙運動を手伝ったほどだ
ほかにも2人は共通点が多い。たとえばケネディは太平洋戦争で、
ケリー氏はベトナム戦争で、ともに海軍の小型艇長をつとめ
死地を生き延びている。

そんな人だから、北朝鮮の現状を、半世紀前の「危機」に
重ね合わせての歴訪だったに違いない

1962年、キューバ危機が起きた。
ケネディ政権下、米ソが核戦争のボタンに指をかけた一触即発の事態だった。

時代も事情もむろん違うが、核とミサイルをめぐる狂気は今、
地球を半周して極東の若い独裁者に取りついている

死命を握る米国を、振り向かせたいゆえだろう。
昨日の故・金日成主席の生誕記念日にも「核武装の拡大」を強調した。
世襲3代目は民衆を飢えさせて、なけなしの体力で尖(とが)る

キューバ危機は米ソの「理性」で回避された。
ケネディの弟、ロバート司法長官(当時)は、
最大の教訓を「他国の靴を履いてみる、つまり相手国の立場になってみること」
だと述べている。だが北の「歪(ゆが)んだ靴」は誰にも履けそうにない

ケリー氏と同じく訪日したアウンサンスーチー氏のミャンマーは、
悪名高い軍事独裁から劇的に変貌(へんぼう)した。

北朝鮮に、内からの勇気を束ねる勢力はないものか。
今が金王朝の「終わりの始まり」にも思われるが。


つっこみどころが多すぎますが、まず
「北の歪んだ靴は誰にも履けそうにない」という箇所。

要するに、北朝鮮の立場になってみることは不可能だ、と
言っているのですが、さて、本当に不可能でしょうか?

この前、私が書いた文章をもう一度並べてみましょう。



3月11日以来、アメリカと韓国は北朝鮮の領海近くで軍事演習をしています。

これは、予算にして韓国の1年分の軍事費に相当し、
米軍約1万3,500人、韓国軍約21万人が動員され、
世界最高水準の戦闘能力を有するとされる
F22ステルス戦闘機とB52爆撃機、原子力潜水艦
「シャイアン」が投入され、イギリスやオーストラリア
といった朝鮮戦争時に「国連軍」として参加した国の軍隊も
加わっている「防衛訓練」とは言いがたいものです。


冷静に考えれば、日本が沖縄や対馬の近くでこんなことをされたら
どう感じるかイメージできるはず
なのに、なぜか日本のメディアも知識人も言及しません。



私が調べた情報は、ちょっと本気になれば誰でも入手可能なものばかりです。
朝日新聞は、はっきり言って理解しようともしないから
向こうの行動が見抜けず、毎回予測を外すのです。

向こうの言い分をガン無視して、「やれやれ!理解不能だ!」
とアメリカの後で吠えるのが本当に自由な国の言論なんでしょうか?

本来、そのような御国べったりの意見に対して
抗うのが自由な報道ではないですか?日本では言論を
弾圧する必要がないほど自国に盲従してはいませんか?

私には、毎回おばちゃんが強い語気でしゃべっている
北朝鮮のテレビとNHKがほとんど同じ
に見えるのです。

細かいところにツッコミを入れると、ケネディは
CIAが反カストロ派をそそのかして軍事訓練を施し、
彼らを率いてキューバに向かって侵略して失敗した際に、なんで他国に
攻撃したんだではなく、なんで失敗したんだと言って激怒した人です。

つまり、なぜ侵略したのかではなく、なぜ失敗したのかについて
怒った人間であって、はっきり言って聖人でも何でもありません。

このケリーの評価にしても、ベトナム戦争中にアメリカ軍が
ベトナムの民衆に行った大量虐殺については何ら言及がされていません。

飢えにしても、いつも飢えているような印象を与えがちですが、
本気でやばかったのは冷戦終結以後の90年代であり、
現在は回復しています。それでも中国の食糧支援を受けて
いっぱいいっぱいという感じです。

この間にあれやこれや理屈をつけて食糧支援をやめた日本に
北朝鮮を責める権利がはたしてあるのでしょうか?

朝日にせよNHKにせよ、
「対話の必要などない、米さん韓さん懲らしめてあげなさい」
と水戸黄門のような口上をのたまうのは本当に恥ずかしい。

いっそ、彼らの報道スタイルに習って、これから彼らの報道を
「事実上の国営メディアの事実上の検閲済み報道」とでも
称してやろうかとさえ思いますね。

ゴーゴリについて

2013-04-15 23:21:03 | 文学
最近、ロシア文学に親しんでいます。特にチェーホフが好きです。

『ワーニャおじさん』は読んで感動しました。これがリアリズム文学なのですね。
青空文庫でも読めますから、興味を持った方はぜひお読みください。

http://www.aozora.gr.jp/cards/001155/card51862.html

ところで、ゴーゴリというロシア・リアリズムの元祖ともいうべき人間が
いるのですが、彼の作品を単なる娯楽作品としてしかみなさないような、
私に言わせれば「なんじゃそりゃ」という解釈があるらしい。

『罪と罰』、『赤と黒』をはじめ、問題ある訳ばかり載せる
光文社の古典新訳文庫シリーズにもゴーゴリの『鼻・外套』がありますが、
この本に至っては落語調で書かれています(注1)。

ロシア文学の古典を落語で表現するってどういう神経してんだと
私は思うのだが……これは言ってみれば、夏目漱石の『坊ちゃん』
を演説にしてしまうような凄いことですよ?

「さぁーさぁー、お立会いー!親譲りの無鉄砲で、
 小供の時から損ばかりしておりますがー!」なんて書かれたら
 卒倒するでしょう?しない?そうかよ!

『坊ちゃん』が江戸っ子の口調で語られているからって単に
 ぎゃはぎゃは笑えるだけの作品ではないように、ゴーゴリの作品も
 楽しいだけの内容ではないのですが、その辺を無視した訳のような気がします。


ゴーゴリ自体は、徹底して現実と対決する主義だったようです。
彼は劇作の心構えとして、「全人類にみえる笑いと、全人類の目のつかぬ
不明の涙をとおして生活をよく眺めまわせ!」と考えていました。

半世紀以上も前に出版されたソヴィエト大百科事典の説明では
笑いと涙の融合、こっけいなものと悲劇的なものの組み合わせが
 生活の複雑さと諸矛盾をより深く解明することを可能とさせた

と評価しています。

同じく、彼は喜劇『検察官』について
ロシアにあるいっさいの悪を……なによりも異常に公正を人間に
 求めているような場所や事件において行われている一切の不正を
 ひと塊りに集め、一挙にしてその全てのものを嘲笑してやろうと思った

と書いているのですが、あるロシア研究者(政治学)
のサイトを見たら、

小説家になってからもお笑い劇として書いた
『検察官』や『死せる魂』は作者の意図を離れて
社会批判の書として高く評価されてしまう。

(http://web.sapporo-u.ac.jp/~oyaon/)

と書かれていました。
ちゃんと全集読んだのかこいつ?

大体、下級役人として苦渋を味わってきた人間が
軽い気持ちで喜劇を書いたりはせんでしょう。

私自身も喜劇を書いたことがありますが、基本的にはギャグ満載、
しかし本質的にはシリアスを念頭にしていました。

ゴーゴリは芸術に関しては並々ならぬこだわりをもっていましたから、
現代社会の腐敗をそのままに表現することは彼のプライドにも関ることで、
喜劇だから落語にしてしまえーなんて考えは著者を裏切る行為では?

百歩譲って『検察官』はお笑い劇で片づけても、
叙事詩の『死せる魂』を戯曲と説明するこの学者様は一体何なわけ?

この先生、例の如くソ連に対しては「ゆるせん!」という態度を
取っており、それはロシア革命直後の社会からして「ゆるせん!」そうです。

おかげで、人間関係に苦しんで自殺したはずのマヤコフスキーが
ソ連社会の矛盾に苦しんで死んだことになっているし、
ドストエフスキーの一押しの作品が『悪霊』になっているという有様。

どうも単なるコメディー作家にされるゴーゴリといい、
レーニンと反目してたことにされているゴーリキーといい、
ロシア研究者の一部にはソ連からの影響をそぐために、
彼らの作品を洗浄しようとする動きがあるようです(注2)。

両者とも、ソ連の社会主義リアリズムのルーツとみなされて
いますから、ソ連公認の文学論は否定したいがゴーゴリやゴーリキーは
サルベージしたいと考えている人間の中に、共産思想とかい離させようと
して、そりゃどうよと言いたくなる解釈がされているような……?

インターネットでのロシア文学作家の紹介は、慰安婦問題と同じぐらい
のレベルだと思うのですが、よりによって政治学者が率先して歪んだ
解釈をするなよなーと思うわけです。

(注1)知り合いのルソーの研究者の方が、古典新訳文庫で出ている
    社会契約論は誤訳が多いと苦言を呈していました。ここで言う
    誤訳とは解釈が間違っているという意味だそうです。

    反共左翼の藤井だからどうよとは思いますが、トロツキーの
    永続革命論も誤訳ばかりだそうですし、ここ最近の新訳ブーム
    は、かえっていい加減な理解を読者に植え付けてはいませんか?

(注2)ゴーリキーは革命直後にはレーニンと対立しましたが、
    その後は和解して、休養先のドイツやイタリアでも
    革命を否定する亡命者と論争したり、レーニンの死を知り
    彼を讃える回想録を書いたりと、何だかんだで最後まで
    党の人間だったと思います。

    ていうか、党の文化政策の中心人物だったこの男を
    反ソだったとするのは無理があるのではないかと。

ミサイルは発射されない

2013-04-15 22:25:20 | 北朝鮮
今日がキム・イルソンの誕生日で向こうの国の祝日らしいのですが、
「このタイミング(15日~17日)でミサイルが発射される恐れがある!」と
ニュースでやっていました。ちょっと苦しいんじゃないでしょうか?


去年の4月に飛ばした奴は気象衛星であって、
これは北朝鮮の科学力の向上と、気象観測による農業の発展を
意味するものとして慶事にあわせて打ち出されました。

今回のはミサイルですから、おめでたい日に合わせて
発射するなんてありえないというのが私の見解です。

天皇誕生日に人工衛星は飛ばしてもミサイルは飛ばさんでしょう。

日本の報道はアメリカの言い分をそっくりそのまま
伝えているだけですから、どうもなーと思って書いてみました。

もちろん100%飛ばないとは言えませんけれど、
日本の報道を見ると、散々いい加減な情報を飛ばしておいて、
毎度の如く外してますからねぇ・・・・・・

この間の人工衛星も韓国の情報を鵜呑みにして
今は整備中だから飛ばないとか言っていたら、あっさり飛んだし。
しかも、4月の時は日本と関係ない場所を飛んで行きましたけれど、
この時は沖縄の近辺を飛んだそうですよ?

「あの国は何を考えているのかわからない」と言ってますけれど、
 自分たちの分析の方法に問題があるということにいつ気づくのでしょうか?

今の日本のメディアの態度をわかりやすく言うと、占い師の言い分を鵜呑みにして
宝くじを大量に買って外れたとしても、占い師ではなくはずれクジを売った
店のせいにして激怒しているような感じです。そういうわけなので、
メディアが言うからには、たぶんこの期間には飛ばさないなと思うわけです。

まー、私も専門家じゃないですからあてずっぽうな予測ですけれどね。

シリアについて

2013-04-14 23:01:57 | リビア・ウクライナ・南米・中東
奇しくも今日の朝日新聞の国際面は北朝鮮、ベトナム、シリアと
社会主義国をバッシングする内容で埋められていた。

あまり知られていない事実だが、シリアは社会主義国である。
もっとも、あまり財政がよろしくないことと内戦状態であることから、
リビアと違って強力な社会保障は敷かれていないようだ。「たぶん」。
(「たぶん」と書いたのは日本にとって都合の悪い事実は入手しづらく、
  もしかするとシリアでも同様のシステムが確立されているかもしれないから)


朝日新聞の記事は、反体制派代表組織の駐米代表
取材したもので、国連代表資格を取得を目指す意気込みと「内戦には
過激派組織が加わっていることを認めた上で、穏健派を伸長させたい
との意向を示した」(原文ママ)と書かれている。

シリアはパレスチナを支援しているために
「テロ支援国家」と言われているのだが、
アメリカや日本はテロ支援国家じゃないのか?

朝日新聞はテロ支援をしてはいないか?こんな後でどうとでも出来る発言を文字に残し、
クリーンなイメージを吹聴する朝日新聞は、事実上のテロ支援を行ってはいないか?

「過激派組織が加わっている」どころか、そういう奴らがメインじゃないのか?
テロとの戦いとかほざいてアフガンとイラクを攻撃したアメリカは
どこに行ったのか?

ベネズエラ、イラン、キューバ、リビア、シリア、そして北朝鮮。
何だかんだで反米国家は社会主義国家だ。

東欧崩壊やソ連解体で「マルクスは終わったんだ!共産主義なんて
暴力そのものの地獄の世界なんだ!」とあれだけ喧伝したにも関わらず、
世界を視点にしてみてみると今でも反米=社会・共産主義なのである。

アメリカや日本に逆らうテロは極悪人になるが、
社会主義政権を崩壊させようとするテロは良き友人になる。

こういう卑劣な報道がある限り、朝日は反共左翼から脱しきれないだろう。
(反共左翼とは、基本的には左翼だが、本質的には反共なので、
 肝心な時に保守派とつるんで虐げる側に転じる輩のこと)

私は共産主義者ではないけれど、どうも日本の報道、
更に言えば現在の政治学や経済学はアメリカからの輸入物で、
先進国側からの視点で語られているような気がしてならない。

彼らのほとんどはアフガン・イラク戦争を支持したし、
リビア空爆、北朝鮮へのアメリカの威嚇を正当化している。
シリアに至ってはテロリストを称賛しているのだ。

そういうわけなので、できる限り途上国の側に立って
物事を考えるつもりなのだが、現在の途上国や弱国、
反米主義国のほとんどが社会主義国家なので、どうしても
反共主義には徹底して抗うスタイルをとらざるを得ない。

戦前の日本は治安維持法に代表されるように
徹底した反共主義国家だった。ロシア革命の際に
もっとも長くロシアに派兵し干渉戦争を続けたのは日本だ。

こういう反共イデオロギーは天皇制によって補強されていたが、
戦後の冷戦体制にあってもなお解決されず現在でも残存している。

第3世界を視野に入れれば、第1世界(欧米諸国)での
共産主義体制の崩壊など取るに足らない出来事であり
いまだに世界では反米=社会主義政権が抗っているのだ。

むしろ冷戦が終結したことで、日本はいよいよ
反共主義に磨きがかかって、リビアやイラン、北朝鮮などの
反米主義国への武力の威嚇、経済制裁に何ら呵責もなく
積極的に、嬉々として誰もが心から正義と信じて加担してはいないか?

そう思えてならないのである。

最近の北朝鮮の報道について

2013-04-14 21:32:19 | 北朝鮮
そいつがモグリかどうかを見分ける簡単な方法として、
朝日新聞を左翼とみるかどうかというのがあると思います。

現代史を学ぶと、はっきり言って昔っから朝日新聞は
左翼なんかじゃないということは明らかでしょう。

まー、それはともかく今日の記事は、
いくらなんでも仕事しなさすぎじゃないでしょうか。

挑発と対話姿勢を繰り返しながら時間を稼ぎ、核開発をひそかに進める。
12日に朝日新聞の取材に応じた米国安全保障会議の
ゲーリー・セイモア前調査官は、オバマ政権の一員として
そんな北朝鮮と向き合ってきた。


ひそかに進めてんなら、わざわざ外部に漏れるような
実験をするわけねーじゃねーかと思うのですが。

日本のように平和的利用と言いながら原発を量産しているはずです。

原発の仕組みは原爆と同じで、両者は核分裂のスピードが遅いか速いかの
違いしかなく、しかも日本の原発はアメリカの原子力潜水艦の技術
を流用させたものですから、言ってみれば日本の原発は
事実上の核兵器と言えるでしょう。

原発の発電の際にプルトニウムという核兵器の原料が生み出されるのですが、
現在の日本では原爆5000発(5千だよ!)分を超える分量が蓄えられています。

どう考えたって「ひそかに」核兵器を用意しているのは
日本のほうなんじゃないかと思うのですけれど……?

だいたい、この記事は核を廃絶させるなんて言いながら
自国の核兵器は一向に減らさないし、アフガンへの派兵は増やすし
リビアに空爆するわで、おもいっきり侵略国家まっしぐらのオバマ政権に
対してのおべんちゃらにまみれていて、アメリカにお金でももらったのかと
疑ってしまいそうになります。

発射直後は「事実上のミサイル」と表現していたのに、
今日の記事でははっきりと弾道ミサイルと表現されていました。

朝日新聞の表記に倣えば、原発も「事実上の核兵器」から
核兵器へとランクアップされそうです。

私はこのサイトでも何度も、あのNASAですら人工衛星を載せたロケットだと
認めたのに、どうしてミサイルということにしたがるんだと主張していますが、
この調子だと向こうの国で作るものは何でもかんでも物騒なものにされそうです。

いずれ、北朝鮮原産の包丁なんかも、現地の刀剣ということで紹介され、
北朝鮮の民衆はついに個々に武装する時代になったとかほざきそうです。

最後に、よそのサイト様で私が述べたコメントを転載しますが、
これは今の北朝鮮が本当に自国の安全に対して危機感を感じている
ことが伝わってくると思いますので、ぜひぜひお読み下さいませ。

いつも楽しみに読んでいます。

私も日本の報道や言論はあまりにも
北朝鮮のリアルを捉えていないのではないかと考えています。

3月11日以来、アメリカと韓国は北朝鮮の領海近くで軍事演習をしています。

これは、予算にして
韓国の1年分の軍事費に相当し、
米軍約1万3,500人、
韓国軍約21万人が動員され、
世界最高水準の戦闘能力を有するとされる
F22ステルス戦闘機とB52爆撃機、
原子力潜水艦「シャイアン」が投入され、
イギリスやオーストラリアといった朝鮮戦争時に
「国連軍」として参加した国の軍隊も
加わっている「防衛訓練」とは
言いがたいものです。


冷静に考えれば、日本が沖縄や対馬の近くでこんなことをされたら
どう感じるかイメージできるはず
なのに、なぜか日本のメディアも知識人も言及しません。

私も別に北朝鮮に義理があるわけじゃありませんが、
あまりにも平和や人権を語る文化人たちの態度が卑劣ですし、
本当に北朝鮮の非軍事化を考えているのならばまずこの軍事演習を中止させなければ、
現実的にも解決の目処が立たないんじゃないかと思います。



最近読んだ糞本

2013-04-13 21:23:19 | 浅学なる道(コラム)
いわゆる嘘八百のでたらめを書いたものではないが、
これはどうよとツッコミを入れたくなる本。


『民主主義の未来』(阪急コミュニケーション)

民主主義化はすべて善と信じて安住していれば、
権力と市民生活のモラルは腐敗していく。
民主政治の限界と理想はどこにあるのか。

・・・と銘打っておきながら、「ピノチェトのおかげで
チリの社会主義独裁政権は打破された」と礼賛していた。

あのさー、アジェンデは選挙で選ばれたけれど、
ピノチェトはCIAと結託して軍を動かして独裁を敷いた
んだぜ?

どう考えたってピノチェトのほうが野蛮極まりないじゃないか。

ピノチェトのクーデターと独裁はOKで、アジェンデ政権はNOって、
まんま韓国のパク・チョンヒは良い奴で北朝鮮のキム・イルソンは
悪党という今の朝日新聞の良識ぶった小賢しい論調と一緒だよ。
どっちも独裁者、特にパク・チョンヒなんて日本に避難していた
キム・デジュンを拉致した奴なんだから、両方、責めろよそこは。
(そもそもアジェンデ政権は独裁なんかじゃない)


『デモクラシーの世界史』

生物兵器があると言いがかりをつけて始めたイラク戦争を
全面的に支持した政治学者、猪口孝様がご翻訳あそばれた名著。

北岡伸一といい、こいつといい、どうして政治学者って
アフガンやイラク戦争を支持してしまうんだろうか……と考えると
欧米流の政治学が主流になっていることが根本的な原因だと思う。

この本もデモクラシーの限界に多少は言及しながらも、
結局は現状における最も理想的な制度として位置付けている。

ところが、民主制というのは欧米が発端となったもので、
今現在の民主化とは日本を見ればわかるように、近代化である。

そういう異文化で発祥した政治制度を強制することが
どれだけヤバいかというのは、ポール・コリアーの
『民主主義がアフリカ経済を殺す』などで明らかとなっている。

猪口大先生は、この本はデモクラシーを絶賛していないよと
わざわざ注意を促しているが、個人的にはどうもなーと思った。

ポスト・コロニアリズムというのが哲学の分野で既に確立されているが、
植民地側の視点に立つという態度は政治学では傍流なんじゃないだろうか?

上の本は決してウソ本ではないけれど、西洋の価値観で語る政治学は
客観的な記述のようで、多分に主観的ではないかと思った。