リビアを北アフリカの北朝鮮と、わざわざ太文字で表現した池上彰。
彼のような人間が日本の国民的なジャーナリストとして受容され、
岩波新書の著者として、民衆の心に訴えかけている。
日本の社会主義、共産党を的確に分析、その問題点を指摘している
良心的リベラル学者ということになっている自称マルクス主義者
加藤哲郎は、自身のブログでアラブの春をこう形容した。
--------------------------------------------------------
チュニジアのジャスミン革命に始まり、エジプトの若者たちに
受け継がれ民衆革命を達成したソーシャル・ネットワークの波は、
リビアのカダフィ独裁を崩壊寸前まで追い込み、バーレーンや
イエメンでもデモは続いています。
---------------------------------------------------------
では、実際にリビアではどういうことが起きたのだろうか?
翻訳記事を抜粋していこう。
----------------------------------------------------------
リビアにおけるNATOの残虐行為
[ポテント・ニューズ] そこで最後の質問です。
どうやら、昨日、大学での会議で[セント・メアリー大学、ハリファックス]、
リビアで実際に何が起きているのかを本当に浮き彫りにするビデオを誰かが上映したようです。
聴衆の一人は泣きだして、会場からでていったと聞いています。
我々の社会で、我々の名において行なわれていることに直面する力を
得られるようにするのがどれほど重要だと思われますか?
[ミシェル・チョスドフスキー]
リビアでは、残虐行為はNATOによって行なわれたと思います。
何千人もの人々が殺されました。
マスコミはこうした残虐行為を報道していません。
マスコミとして、ジャーナリストとして現地の事実を報道する責任があるはずです。
けれどもそういうことにはなっていません。実際には、その逆です。
彼等はobfuscating。彼等は偽装、隠れみのとして機能しているのです。
その大部分がアルカイダ民兵で構成されている反政府派に、彼等は人間的な見かけを与えているのです。
これは民主主義推進の運動ではありません。
そして起きたのはマスコミによるこの戦争の支持なのです。
マスコミ無しでは、彼等はこうした爆撃の影響をごまかすことが
できなかったでしょうから、彼等はこの戦争ができなかったでしょう。
戦闘機について最小限の知識がある人なら誰でも、こうした
戦闘機それぞれに何十発ものミサイルを搭載して1万回出撃すれば、
非常に多くの人々を殺すことになることはわかります。
爆弾5万発の話です。
早くも[2011年]4月、一ヶ月にわたる爆撃の後、
NATOがこう言っていたことは注目に値します。
“我々は爆弾を使い果たしつつある。”
連中が爆弾を使い果たしつつあるというのです?!
これは人口600万人の国に対して、信じがたい見解です。
そして連中は同じような声明をすることになるでしょう。
“我々は誰も殺していない.”
----------------------------------------------------------
「エジプトの若者たちに受け継がれ民衆革命を達成した
ソーシャル・ネットワークの波は、
リビアのカダフィ独裁を崩壊寸前まで追い込み」
「リビアは北アフリカの北朝鮮のような国」
こういう言葉がどれだけ現実を捉えていないかよくわかるだろう。
では、記事の続きを見ていこう。
------------------------------------------------------------
●カダフィ殺害と国家丸ごとの破壊
そうです。残虐行為はおこなわれつつあります。
しかし、ウォール街占拠運動を見ていて私が不安に思うのは、
彼等はリビアの兄弟姉妹の手本に習って、
民主化を実践しなければならないと言うことです。
彼等は、そこで、リビア国民を代表していない、
犯罪人集団で構成されている暫定委員会のことを言っているのです。
そして彼等はカダフィを民主主義の敵として描き出しているのです。
私はとりわけカダフィのファンというわけではありませんが、
カダフィは民主主義の敵ではなく、過去100年間にわたって、
独裁政権を世界中で支持してきたのは、アメリカ合州国なのです。
ところが自分達は民主化派だと主張しています。
実際には、特定の国家の首長(カダフィの場合は政府の長ですが)が
気に入らない場合には、そこに入り込み、彼を殺し、その家族や孫達を殺害するのです。
それは民主主義を実践する方法ではありません。
民主主義は、国々の主権や自分達の問題にどのように対処したいのかを決める、
そうした国々の人々の権利を尊重することによって、実践するのです。
●リビアはアフリカで最高の生活水準だった
リビアは、アメリカ政府とIMFの命令に従わなかった
世界中で極めてまれな国の一つだったということを記録しておくのは重要だと思います。
そして、その結果として、我々がカダフィを好もうと好むまいと、
国際連合、UNICEFや世界保健機関が発表した数値は、
リビアの生活水準はアフリカで最高であったことを確認しています。
完全雇用て、識字率はほぼ100%、高校を卒業した50%の学生が大学に進学しており、
アフリカの標準からすれば、先進的福祉国家です。
政権を好もうと好むまいと、これを我々は認めなければなりません。
[2011年]3月以来、
数カ月間の爆撃でおきたのは、
一国の水道システム、食料供給、
学校、病院、大学の破壊です。
そうしたものが爆撃されている証拠があるのですから。
もしウォール街占拠運動が、アメリカ、カナダや
西欧世界で重要な民主化運動なのであれば、
その様なNATO爆撃に反対の姿勢をとるべきです。
NATOをお手本としたり、あらゆる反政府派を
お手本としたりして描き出すべきではありません。
そして、それがまさに、ウォール街占拠運動が行なった、
究極的に我々はリビアで、カダフィと戦っている兄弟姉妹達を
支援すべきだといういくつかの声明で、暗に伝えられていることです。
そのような兄弟姉妹達は、本質的にはアルカイダです。皮肉なことに、
政府を支持している国民の大多数を代表しているわけではないのです。
つまり、あらゆる社会に反対派はいるものなのですが、大まかに言えば、
あの社会、あの国には
まともなプロジェクトがあり、
高い生活水準があり、
教育水準の高い国民がいたのですが、
7ヶ月の爆撃の結果はそういう国の破壊でした。
-------------------------------------------------------------
要するに、当時も今も日本の左翼のほぼ全ては
まさにこの記事で批判されている連中と全く同じ態度なのである。
(違っているのは悲しいことに共産党ぐらい)
中立、あるいは進歩派、左翼、リベラル、
ありとあらゆる言葉で自らを粉飾している連中は、
アメリカの利益に適った限りの中で文句を言うことを許されているにすぎない。
一見、反対のポーズをとりながらも、その実、
政府の見解を全面的に支持している。
これこそが日本の(そしてアメリカの)左翼の致命的な弱点だ。
現時点で私は、リビアの件で自分たちの浅薄な態度と意見を反省した
有名な左翼にお目にかかったことはない。こういった連中が音頭を取って
改革を叫んだところで、上手くいかないのは当然である。
そして、それこそが2009年の左翼の勝利に見えた
民主党の大勝だったのだと思う。
世界各国からの安倍政権の靖国批判から明らかなように、
世界観というものは非常に大事なものである。
世界地図がアメリカやイギリス、フランス、日本といった
旧帝国主義国を中心に描かれたのだとすれば、それは問題だ。
メディアは必死にごまかしているが、今、安倍政権が
批判されているのはこういう点なのである。
だが、これは何も安倍だけの話ではなく、
結局のところ、日本の左翼もまた帝国を中心に添えた
世界観でしか物事をはかれていないのではないだろうか?
そして、このことこそが戦後、一向に日本の左翼系が
与党を獲得できない(できてもすぐ解散する)真の理由ではないだろうか?
彼のような人間が日本の国民的なジャーナリストとして受容され、
岩波新書の著者として、民衆の心に訴えかけている。
日本の社会主義、共産党を的確に分析、その問題点を指摘している
良心的リベラル学者ということになっている自称マルクス主義者
加藤哲郎は、自身のブログでアラブの春をこう形容した。
--------------------------------------------------------
チュニジアのジャスミン革命に始まり、エジプトの若者たちに
受け継がれ民衆革命を達成したソーシャル・ネットワークの波は、
リビアのカダフィ独裁を崩壊寸前まで追い込み、バーレーンや
イエメンでもデモは続いています。
---------------------------------------------------------
では、実際にリビアではどういうことが起きたのだろうか?
翻訳記事を抜粋していこう。
----------------------------------------------------------
リビアにおけるNATOの残虐行為
[ポテント・ニューズ] そこで最後の質問です。
どうやら、昨日、大学での会議で[セント・メアリー大学、ハリファックス]、
リビアで実際に何が起きているのかを本当に浮き彫りにするビデオを誰かが上映したようです。
聴衆の一人は泣きだして、会場からでていったと聞いています。
我々の社会で、我々の名において行なわれていることに直面する力を
得られるようにするのがどれほど重要だと思われますか?
[ミシェル・チョスドフスキー]
リビアでは、残虐行為はNATOによって行なわれたと思います。
何千人もの人々が殺されました。
マスコミはこうした残虐行為を報道していません。
マスコミとして、ジャーナリストとして現地の事実を報道する責任があるはずです。
けれどもそういうことにはなっていません。実際には、その逆です。
彼等はobfuscating。彼等は偽装、隠れみのとして機能しているのです。
その大部分がアルカイダ民兵で構成されている反政府派に、彼等は人間的な見かけを与えているのです。
これは民主主義推進の運動ではありません。
そして起きたのはマスコミによるこの戦争の支持なのです。
マスコミ無しでは、彼等はこうした爆撃の影響をごまかすことが
できなかったでしょうから、彼等はこの戦争ができなかったでしょう。
戦闘機について最小限の知識がある人なら誰でも、こうした
戦闘機それぞれに何十発ものミサイルを搭載して1万回出撃すれば、
非常に多くの人々を殺すことになることはわかります。
爆弾5万発の話です。
早くも[2011年]4月、一ヶ月にわたる爆撃の後、
NATOがこう言っていたことは注目に値します。
“我々は爆弾を使い果たしつつある。”
連中が爆弾を使い果たしつつあるというのです?!
これは人口600万人の国に対して、信じがたい見解です。
そして連中は同じような声明をすることになるでしょう。
“我々は誰も殺していない.”
----------------------------------------------------------
「エジプトの若者たちに受け継がれ民衆革命を達成した
ソーシャル・ネットワークの波は、
リビアのカダフィ独裁を崩壊寸前まで追い込み」
「リビアは北アフリカの北朝鮮のような国」
こういう言葉がどれだけ現実を捉えていないかよくわかるだろう。
では、記事の続きを見ていこう。
------------------------------------------------------------
●カダフィ殺害と国家丸ごとの破壊
そうです。残虐行為はおこなわれつつあります。
しかし、ウォール街占拠運動を見ていて私が不安に思うのは、
彼等はリビアの兄弟姉妹の手本に習って、
民主化を実践しなければならないと言うことです。
彼等は、そこで、リビア国民を代表していない、
犯罪人集団で構成されている暫定委員会のことを言っているのです。
そして彼等はカダフィを民主主義の敵として描き出しているのです。
私はとりわけカダフィのファンというわけではありませんが、
カダフィは民主主義の敵ではなく、過去100年間にわたって、
独裁政権を世界中で支持してきたのは、アメリカ合州国なのです。
ところが自分達は民主化派だと主張しています。
実際には、特定の国家の首長(カダフィの場合は政府の長ですが)が
気に入らない場合には、そこに入り込み、彼を殺し、その家族や孫達を殺害するのです。
それは民主主義を実践する方法ではありません。
民主主義は、国々の主権や自分達の問題にどのように対処したいのかを決める、
そうした国々の人々の権利を尊重することによって、実践するのです。
●リビアはアフリカで最高の生活水準だった
リビアは、アメリカ政府とIMFの命令に従わなかった
世界中で極めてまれな国の一つだったということを記録しておくのは重要だと思います。
そして、その結果として、我々がカダフィを好もうと好むまいと、
国際連合、UNICEFや世界保健機関が発表した数値は、
リビアの生活水準はアフリカで最高であったことを確認しています。
完全雇用て、識字率はほぼ100%、高校を卒業した50%の学生が大学に進学しており、
アフリカの標準からすれば、先進的福祉国家です。
政権を好もうと好むまいと、これを我々は認めなければなりません。
[2011年]3月以来、
数カ月間の爆撃でおきたのは、
一国の水道システム、食料供給、
学校、病院、大学の破壊です。
そうしたものが爆撃されている証拠があるのですから。
もしウォール街占拠運動が、アメリカ、カナダや
西欧世界で重要な民主化運動なのであれば、
その様なNATO爆撃に反対の姿勢をとるべきです。
NATOをお手本としたり、あらゆる反政府派を
お手本としたりして描き出すべきではありません。
そして、それがまさに、ウォール街占拠運動が行なった、
究極的に我々はリビアで、カダフィと戦っている兄弟姉妹達を
支援すべきだといういくつかの声明で、暗に伝えられていることです。
そのような兄弟姉妹達は、本質的にはアルカイダです。皮肉なことに、
政府を支持している国民の大多数を代表しているわけではないのです。
つまり、あらゆる社会に反対派はいるものなのですが、大まかに言えば、
あの社会、あの国には
まともなプロジェクトがあり、
高い生活水準があり、
教育水準の高い国民がいたのですが、
7ヶ月の爆撃の結果はそういう国の破壊でした。
-------------------------------------------------------------
要するに、当時も今も日本の左翼のほぼ全ては
まさにこの記事で批判されている連中と全く同じ態度なのである。
(違っているのは悲しいことに共産党ぐらい)
中立、あるいは進歩派、左翼、リベラル、
ありとあらゆる言葉で自らを粉飾している連中は、
アメリカの利益に適った限りの中で文句を言うことを許されているにすぎない。
一見、反対のポーズをとりながらも、その実、
政府の見解を全面的に支持している。
これこそが日本の(そしてアメリカの)左翼の致命的な弱点だ。
現時点で私は、リビアの件で自分たちの浅薄な態度と意見を反省した
有名な左翼にお目にかかったことはない。こういった連中が音頭を取って
改革を叫んだところで、上手くいかないのは当然である。
そして、それこそが2009年の左翼の勝利に見えた
民主党の大勝だったのだと思う。
世界各国からの安倍政権の靖国批判から明らかなように、
世界観というものは非常に大事なものである。
世界地図がアメリカやイギリス、フランス、日本といった
旧帝国主義国を中心に描かれたのだとすれば、それは問題だ。
メディアは必死にごまかしているが、今、安倍政権が
批判されているのはこういう点なのである。
だが、これは何も安倍だけの話ではなく、
結局のところ、日本の左翼もまた帝国を中心に添えた
世界観でしか物事をはかれていないのではないだろうか?
そして、このことこそが戦後、一向に日本の左翼系が
与党を獲得できない(できてもすぐ解散する)真の理由ではないだろうか?