時事解説「ディストピア」

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北朝鮮が自分で説明する水爆実験の背景

2016-01-16 00:32:07 | 北朝鮮
北朝鮮をどうしたらよいのか誰にも分からない

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北朝鮮は、何がしたいのか?世界を驚かせたいのか。世界の関心を引きたいのか。

英国王立国防研究所の元所長、マイケル・クラーク博士によれば、
北はおそらく、広く認められるということに、単純に満足しているのだという。

「ほかの国ならむしろ秘密裡に核開発を行なうところ、
 北朝鮮は核兵器を旗のように振りかざし、自分を核大国と認めよ、と要求するのだ。

 成功するかもわからない状態で、もう実験実施を触れ回った。
 彼らがいかに周到にこうした宣伝を行なっているかということは、
 彼らの国際政治観を示している。彼らは米国や中国と同列に立ち、
 誰もがそれを認めることを求めているのだ。

それは我々から見ると不条理なことなのだが、おそらく彼らの目からは、そうは見えないのだ」。

1990年代韓国大使を務めたロシアのゲオルギー・クナゼ元外務次官によれば、
北朝鮮はここ数年、世界のほかの紛争ばかり目だって自分が後景に退いてしまったとの考えから、
再び自分に注意を集めようと決めたのだ、と韓国では考えられている。

北朝鮮は、国際舞台における予測不能なプレイヤーの一人として
国際的な関心の中心に位置することに慣れっこになっている。

「国際政治の焦点が極東から中東へ、欧州へ、ウクライナへ移ると、
世界を緊張させることに慣れっこになっていた北朝鮮は、注目が奪われてしまったように
感じてしまったのかもしれない。だからこそ、実験を急いだのかもしれない。
北朝鮮をどうしたらよいのか誰にも分からない。

制裁を強めすぎるとある時点で彼らは、言ってみれば窮余の一策で、掌を返す。
これは相当に困難な同義的選択だ。不適切な指導部を揺さぶるためだけに、
2000万もの人々を飢え死にさせてよいものだろうか?」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20160111/1418169.html#ixzz3xKUHHUUw
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北朝鮮を非難する人間に総じて言えることは、その人物が左翼であろうと右翼であろうと
なぜこの国は核を持とうとするのかについて深く調べようともせず、
「アメリカを脅迫しているのだ」「注目を浴びたいのだ」「金が目当てなのだ」と言った風に
「とりあえず叩いて置け」とばかりに特に根拠のない憶測が先行してしまうことであろう。

「よくわからないが非難しろ」という態度はジャーナリストとしてどうなのと
 言いたいところだが、ほとんどの知識人がそうなのだからある意味仕方ない。

では、北朝鮮は今、何を思っているのか?なぜ実験を行ったのか?
これらについて朝鮮新報社がQ&A形式で上手くまとめてくれたのでここに紹介したい。

朝鮮新報は北朝鮮の事実上の大使館である総連の傘下にあるメディアで、
同紙は、北朝鮮の実質的なスポークスマンと見てよい。書いている内容に
納得できるかどうかはともかく、北朝鮮の意向を知るにはもってこいの情報媒体だろう。

つまり、北朝鮮自身は、自分たちが何に対して怒っているのか、恐れているのかを
常日頃からこれでもかとわかりやすく書いているのだが、悲しいかな、あまり読まれない。


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Q.今回の水爆実験に関して、朝鮮は6日に発表した政府声明を通じて、
「国の自主権と民族の生存権を守り、
 朝鮮半島の平和と地域の安全を担保するための自衛的措置」であると主張した。その背景は?

A.
朝鮮は1950年代から米国の核恫喝策動によって脅かされてきた。
朝鮮戦争当時、米国は核兵器の使用を公言し、朝鮮半島の北部地域に
放射能廊下地帯を形成することをけん伝した。実際に原爆投下演習も行った。

米国立文書保管所が最近公開した資料によれば、
米国は1950年代中頃、朝鮮の主要都市を含む社会主義諸国の主要対象と
地域を標的に核爆弾投下攻撃計画を作成していた。


停戦後、米国(国連軍司令部)は南朝鮮に核兵器を配備したと公式に発表した。
2002年3月には、ブッシュ政権が「核体制の見直し(NPR)」を公表。

そこで朝鮮を核先制攻撃のリストにのせ、
「有事の際」に朝鮮を対象に核兵器を使用するということを明文化した。


現在、朝鮮侵攻作戦に基いて毎年実施されている
米・南合同軍事演習には、各種の核攻撃手段が総動員されている。


米国は朝鮮の水爆実験から4日後である10日、グアムの米軍基地から
B-52戦略爆撃機を朝鮮半島に派遣し、朝鮮に対する軍事示威を敢行した。

B-52戦略爆撃機は水素爆弾4発をはじめ31トンの各種ミサイルと爆弾を搭載できることから、
別名「空の要塞」などと呼ばれている。
朝鮮に対する露骨な核威嚇、核恫喝であるが、
米国がB-52戦略爆撃機を朝鮮半島に派遣したのは今回が初めてではない。

2013年をはじめ過去の合同軍事演習にも同機を投入し、朝鮮を軍事的に威嚇してきた。

米・南軍当局は昨年
朝鮮に対する核先制打撃を想定した戦争計画(「作戦計画5015」)を新たに作成し、
8月に入ってこれを適用した「乙支フリーダム・ガーディアン」合同軍事演習を実施した。



日本で安保法が成立し、集団的自衛権行使への道が開かれたこと、さらには北侵戦争計画が
新たに作られたことによって、朝鮮半島で戦争が勃発する危険性は格段に高まっている。

朝鮮はこれまで、核兵器の使用をちらつかせた恫喝に対処すべく、
その都度臨戦態勢を敷かざるを得なかった。このような状況が毎年繰り返されることにより、
経済建設が著しく阻害されるなど、多大な損失を被ってきた。



さらに米国は、従来課してきた対朝鮮経済制裁に加え、
最近では日本や南朝鮮と共に朝鮮の「人権」問題を国際的に世論化し、
朝鮮の政権を「崩壊」させようと露骨に働きかけている。


Q.米国の対朝鮮敵視政策がこれまで以上にエスカレートしたことが、
  朝鮮の水爆実験実施という結果をもたらしたということか。

A.そうだ。しかし朝鮮はいきなり今回の水爆実験に至ったわけではない。
  朝鮮は昨年、米国に対し、朝鮮半島に平和的環境をつくるための
  さまざまな提案を行ってきたが、米国はこれに応じず、対朝鮮敵視政策を強化した。

昨年1月に朝鮮は、朝鮮半島で行う合同軍事演習を中止するなら核実験を臨時中止する
という政府メッセージを米国に伝えた。しかし米国はこれを無視して合同軍事演習を強行した。
南朝鮮への最新ミサイル防衛システムの配備を検討するなど朝鮮を狙った軍備拡張も強力に推し進めた。

朝鮮戦争勃発から65周年を迎えた昨年6月25日、朝鮮は「第2の朝鮮侵略戦争を
挑発しようとする米国の策動が重大な段階に至っている」(国防委員会声明)と指摘した。
その指摘が現実となった出来事が、北南が交戦直前の危機に陥った「8月事態」だった。

北南対話によって武力衝突が回避された後、朝鮮は、
国連総会での外相演説(10月1日)や外務省声明(10月17日)を通じて
有名無実化した停戦協定を平和協定に切り替えることを米国に提案したが、
米国は「朝鮮の核放棄が先決」だとして応じなかった。

Q.これまで朝鮮は、ミサイル発射や人工衛星打ち上げに対する制裁措置に対抗するための
  自衛的措置として核実験を実施してきた。今回はそのような「前例」とは異なるが。

朝鮮は、2006年10月、2009年5月、2013年2月と3回核実験を実施した。2006年には
核実験に先立ち朝鮮の長距離ミサイル発射に対して国連安保理制裁決議が採択されていた。
2009年には人工衛星打ち上げに対して国連安保理議長の非難声明が出され、
2013年も朝鮮の人工衛星打ち上げに対して国連安保理制裁決議が採択された。

一方、今回の水爆実験は、朝鮮労働党が掲げる戦略的路線に沿って実施されたと見ることができる。

朝鮮は朝鮮労働党中央委員会2013年3月総会で、
経済建設と核武力建設を並進させるという新たな戦略的路線(並進路線)を提示した。
同総会で金正恩第1書記は、「帝国主義者とその追従勢力の核の威嚇と侵略策動に
立ち向かってわれわれの自衛的な核保有を永久化し、それに基づいて経済強国の建設で
決定的な勝利を収めようというところに並進路線を示したわが党の意図がある」と述べている。

並進路線とは、核という強力な戦争抑止力に基いて平和的環境を築き、
経済建設と人民生活向上のために、資金と労力を集中させていくとの構想からなる戦略である。


今回の政府声明で朝鮮は、「わが軍隊と人民は、チュチェの革命偉業の千年、
万年の未来を保証する正義の核抑止力を質、量ともに絶え間なく強化していく」と指摘した。
今回の水爆実験が朝鮮労働党の並進路線に基づいた措置の一環であるということが見てとれる。

Q.朝鮮は政府声明(6日)で、「初の水爆実験に成功」と伝えたが、
  南の国家情報院などからは疑惑の声があがった。

A.国家情報院は6日夜、朝鮮の水爆実験の規模(爆発の威力)が小さかった
  ということを「根拠」に、「水爆の可能性は低い」と説明した。

一方、朝鮮の政府声明は、「われわれは新しく開発された試験用(実験用)水爆の技術が
正確であることを完全に立証し、小型化された水爆の威力を科学的に解明した」と指摘している。
今回の実験に用いられたのが通常の水爆ではなく
「小型化」された「実験用水爆」であったという点を念頭に置く必要がある。

このような指摘はソウル新聞をはじめ、南のメディアからもあがっている。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/01/20160113riyo/
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こうしてみると、北朝鮮は本当にアメリカを「脅迫」しているのだろうか?
「脅迫外交」という言葉は明らかにアメリカの立場から発信されてはいないかと思う。

アメリカが「北朝鮮が核を捨てない限り話し合いには応じない」と言うだけならわかるが、
実際にはその言葉と共に武力威嚇を行っているわけで、それについて非難することは悪だと
攻撃するのは明らかにアメリカの側に立った報道姿勢だろう。脅迫しているのはアメリカのほうだ。

実際、アメリカは過去多くの国を滅ぼしている。イラクしかりリビアしかり。
アメリカやイギリス、フランスがシリアや北朝鮮と決定的に違うのは、
シリアや北朝鮮は米英仏の国土に攻撃を加えたことなど一度もないが、
米英仏は単に「脅す」だけでなく、実際に領土を侵犯してくる
という点であろう。

どちらがより脅威なのかは赤子でもわかることだ。

北朝鮮自体は戦術の1つとして、核を保有することで軍費を削減し、
その分を経済発展のための資金として扱えるようにしようとしている。

そうなると仮に核を放棄させようとするならば、

①北朝鮮の安全の保障。そのための平和協定の締結。
②北朝鮮の経済発展のための支援(ただし弱国を借金漬けにする従来の融資策は取らない)
③最終的目標としてのアジア半島からの米軍の撤退。


の3点が必要になってくるはずだ。

フィリピンで、反米デモが実施され、抗議者が星条旗を焼却

「フィリピン・マニラにあるアメリカ大使館前に多数の人々が集結し、
 アメリカ政府との防衛協力強化協定に抗議するとともに、星条旗を焼却しました。

 プレスTVによりますと、フィリピンの最高裁判所は12日火曜、判決を下し、
 この協定を同国の法律に合致したものであるとして承認しています。
 新たな合意はアメリカ軍兵士のフィリピン駐留拡大の下地を用意するものです。

 フィリピンはかつて、アメリカの植民地下に置かれていました。

 今回の抗議行動が行われたのは、
 南シナ海におけるフィリピンと中国の領有権問題をめぐる対立が高まっている中、
 フィリピン政府が同日アメリカに対し、巡洋の際にフィリピンと協力するよう求めた後のことです。

 このニュースは、フィリピン国防省のピーター・ポール・ガルベス報道官により
 発表されています。アメリカとフィリピンの国防大臣と外務大臣は今週、
 アメリカ・ワシントンにて、この3年間で2回目となる会談を行い、
 特に南シナ海の治安と通商協力について意見交換を行いました。

 ガルベス報道官はまた、南シナ海でのさらなる駐留の強化が急務であると語っています。 」

住民が猛反対しているのに、上層部は逆にアメリカとの関係を深めようとする。
中国の脅威を口実とした軍拡とさらなる米軍基地の拡大。
どこかの国Jとフィリピンの状況はそっくりだ。

結局、外国の基地というものは植民地主義の名残で、
その目的は従属国を従属国のままにさせておくこと、他国を侵略することに他ならない。
米軍のフィリピン、韓国、日本からの撤退があって初めてアジアは平和になる。

私もそれなりに平和主義者に会ってきたと思うが、在日米軍基地だけに関心があったり、
あるいは北朝鮮や中国に対する米軍の武力威嚇を逆に支持してしまったりと、
どうも後一歩という感触がしてならない。

沖縄から米軍を追い出すだけでは真の平和は訪れないし、
9条を守るだけでは中国や北朝鮮の平和は脅かされ続けるだろう。

真の平和は他国の平和を保障するで初めて成り立つと私は思う。日本のことだけを考えず、
相手国の立場になって物事を考えることが、この先、求められるのではないだろうか?

そのための材料は英語なり日本語なりで多く手に入る。後は読むだけである。


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