先日、ベトナムにて開かれた米朝首脳会談について
マスメディアは交渉が「決裂した」と報じている。
この点についての反論は後日述べるとして、
今回は北朝鮮が対話路線に変更したのは経済制裁が効いたからだという説を
論ばくしようと思う。
①北朝鮮は何を主張していたのか
まず、
北朝鮮は一貫して
米韓合同軍事演習の中止と引き換えの核実験停止
を主張してきた
ということを確認したい。
日米韓の北朝鮮ミサイル実験に対する茶番
---------------------------------------------------------------
米国と韓国が軍事演習を停止すれば北朝鮮は核実験を停止する。
北朝鮮外相イ・スヨン氏が述べた。AP通信が土曜報じた。
「朝鮮半島での核軍事演習を停止してほしい。
そうすれば私たちも核実験を停止する」という。
国には抑止手段としての核兵器を持つ権利があり、それが制裁に左右されることはない、
と大臣は強調。核兵器の開発は米国に促されたことだ、と改めて述べた。
これは西側メディアが北朝鮮の閣僚に行った最初のインタビューであるという。
http://jp.sputniknews.com/world/20160424/2017820.html
何のことはない。米韓合同軍事演習を中止してくれれば、
核実験を停止すると北朝鮮のほうから提案されていたのである。一週間も前から。
---------------------------------------------------------------
この記事で私は
「北朝鮮の条件自体は10年以上前から何度も提示されているものだ。
その都度、韓国とアメリカは北朝鮮の無条件の非核化を要求し、拒絶している。
要するに、非核化に向けての協議は今すぐ始められるのに、
それを毎回、「信用ならない」と言って、話すら聞こうとせず、
軍事威嚇と経済制裁を続けているのはどこの国だということだ。」
と述べている。
なお、米韓合同軍事演習については
私が過去に書いた以下の記事を紹介したい。
米韓合同軍事演習とは何か1
北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか
②2018年~2019年初頭に何が起きたのか?
以上の予備知識を得た上で、去年からの動向を追ってみよう。
ParsTodayの記事を列挙する。
朝鮮半島で米韓合同軍事演習
アメリカが北朝鮮に譲歩
アメリカが、韓国との合同軍事演習を当面中止
米韓合同軍事演習「フリーダム・ガーディアン」が中止
簡潔に述べれば
①北朝鮮からの苦言に応える形で
②米韓合同軍事演習が停止され
③同時に北朝鮮も核開発を中断している
のだが、これが北朝鮮の要求をほぼ丸呑みしたものとなっている
ことは、これまでに紹介した記事をもとに読めば明白だろう。
ここで考えてほしいのが
経済制裁が真に有効ならば
なぜアメリカ側の要求である核の完全撤廃がなされず、
代わりに北朝鮮の条件に従う形で軍事演習が停止されるのだろう
という問いである。
加えて、今回の対談直後に以下のニュースが流れたことも見逃せない。
米韓、大規模合同軍事演習を中止の意向
仮に米韓の関係が悪化したのであれば、北朝鮮の長年の悲願である
「キー・リゾルブ」、「フォール・イーグル」合同軍事演習の中止を
なぜ敢行しようとするのかについて解が得られない。
ましてや経済制裁が効いているのであれば、
わざわざ軍事的な威圧を解除する意味もない。
北朝鮮の筋書き通りに動く必要は全くない。
③今後の動きについて
本記事では、要するにアメリカが北朝鮮の要求を
ほぼ受け入れる形で交渉を行って「いる」こと
それこそが経済制裁が効かない何よりの証左だと主張してきた。
ちなみに、制裁下で北朝鮮がどのように経済を発展させてきたかについては
以下の過去記事が参考になるはずだ。
北朝鮮問題で池上彰氏が伝えないこと
結局のところ、アメリカが譲歩しない限り、北朝鮮の核が撤廃されることはない。
逆に軍事演習を停止し、平和条約を結び、
かつ北朝鮮をアメリカと同格の相手だとみなして交渉を続ければ
簡単に問題は解決される。
以上のことを私は2018年以前から何度も主張してきたつもりだが、
実際にそのように事態が動いているので、若干、後悔もしている。
つまり、もっと出版社やジャーナリストに売り込めば
2018年以降の雪解けを的中させた人物として本の一冊でも書けた
・・・はずがない。この1年のメディアの不変ぶりを観察する限りにおいては。
首脳会談の最中において、
北朝鮮は経済、国民の生活に支障をきたす項目に限り
制裁を解除することを引き換えに核物質生産施設の破壊を提案した。
北朝鮮、核・ミサイル実験中止に関する合意に署名する用意がある
今回、アメリカは北朝鮮の提案をける形で交渉を切ったが、
どのみち、条件に従わざるを得ないだろう。
北朝鮮にとっては、また開発を再開すればいいだけの話であり、
それを行う頃には今よりも国力を上げている。
シリアやベネズエラに対する圧迫的な政策を思えば、
皮肉な話だが、北朝鮮の核開発は結果的には功を奏したと言える。
メディアは相変わらず北朝鮮を悪魔化した報道を流してきたが
その間に北朝鮮は着実に露中米韓と関係を修復させてきた。
他方で去年から北朝鮮は日本を糾弾する主張を
以前より多く行うようになっている。
北朝鮮の孤立化を目指した結果、日本の方が孤立していた
などという事態はありえなくもないし、現に去年は蚊帳の外にされたし、今もそうである。
アメリカに歩調をあわせているつもりで
見当はずれの行動を取る前に、もう少し冷静に状況を分析するべきではないだろうか?
マスメディアは交渉が「決裂した」と報じている。
この点についての反論は後日述べるとして、
今回は北朝鮮が対話路線に変更したのは経済制裁が効いたからだという説を
論ばくしようと思う。
①北朝鮮は何を主張していたのか
まず、
北朝鮮は一貫して
米韓合同軍事演習の中止と引き換えの核実験停止
を主張してきた
ということを確認したい。
日米韓の北朝鮮ミサイル実験に対する茶番
---------------------------------------------------------------
米国と韓国が軍事演習を停止すれば北朝鮮は核実験を停止する。
北朝鮮外相イ・スヨン氏が述べた。AP通信が土曜報じた。
「朝鮮半島での核軍事演習を停止してほしい。
そうすれば私たちも核実験を停止する」という。
国には抑止手段としての核兵器を持つ権利があり、それが制裁に左右されることはない、
と大臣は強調。核兵器の開発は米国に促されたことだ、と改めて述べた。
これは西側メディアが北朝鮮の閣僚に行った最初のインタビューであるという。
http://jp.sputniknews.com/world/20160424/2017820.html
何のことはない。米韓合同軍事演習を中止してくれれば、
核実験を停止すると北朝鮮のほうから提案されていたのである。一週間も前から。
---------------------------------------------------------------
この記事で私は
「北朝鮮の条件自体は10年以上前から何度も提示されているものだ。
その都度、韓国とアメリカは北朝鮮の無条件の非核化を要求し、拒絶している。
要するに、非核化に向けての協議は今すぐ始められるのに、
それを毎回、「信用ならない」と言って、話すら聞こうとせず、
軍事威嚇と経済制裁を続けているのはどこの国だということだ。」
と述べている。
なお、米韓合同軍事演習については
私が過去に書いた以下の記事を紹介したい。
米韓合同軍事演習とは何か1
北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか
②2018年~2019年初頭に何が起きたのか?
以上の予備知識を得た上で、去年からの動向を追ってみよう。
ParsTodayの記事を列挙する。
朝鮮半島で米韓合同軍事演習
アメリカが北朝鮮に譲歩
アメリカが、韓国との合同軍事演習を当面中止
米韓合同軍事演習「フリーダム・ガーディアン」が中止
簡潔に述べれば
①北朝鮮からの苦言に応える形で
②米韓合同軍事演習が停止され
③同時に北朝鮮も核開発を中断している
のだが、これが北朝鮮の要求をほぼ丸呑みしたものとなっている
ことは、これまでに紹介した記事をもとに読めば明白だろう。
ここで考えてほしいのが
経済制裁が真に有効ならば
なぜアメリカ側の要求である核の完全撤廃がなされず、
代わりに北朝鮮の条件に従う形で軍事演習が停止されるのだろう
という問いである。
加えて、今回の対談直後に以下のニュースが流れたことも見逃せない。
米韓、大規模合同軍事演習を中止の意向
仮に米韓の関係が悪化したのであれば、北朝鮮の長年の悲願である
「キー・リゾルブ」、「フォール・イーグル」合同軍事演習の中止を
なぜ敢行しようとするのかについて解が得られない。
ましてや経済制裁が効いているのであれば、
わざわざ軍事的な威圧を解除する意味もない。
北朝鮮の筋書き通りに動く必要は全くない。
③今後の動きについて
本記事では、要するにアメリカが北朝鮮の要求を
ほぼ受け入れる形で交渉を行って「いる」こと
それこそが経済制裁が効かない何よりの証左だと主張してきた。
ちなみに、制裁下で北朝鮮がどのように経済を発展させてきたかについては
以下の過去記事が参考になるはずだ。
北朝鮮問題で池上彰氏が伝えないこと
結局のところ、アメリカが譲歩しない限り、北朝鮮の核が撤廃されることはない。
逆に軍事演習を停止し、平和条約を結び、
かつ北朝鮮をアメリカと同格の相手だとみなして交渉を続ければ
簡単に問題は解決される。
以上のことを私は2018年以前から何度も主張してきたつもりだが、
実際にそのように事態が動いているので、若干、後悔もしている。
つまり、もっと出版社やジャーナリストに売り込めば
2018年以降の雪解けを的中させた人物として本の一冊でも書けた
・・・はずがない。この1年のメディアの不変ぶりを観察する限りにおいては。
首脳会談の最中において、
北朝鮮は経済、国民の生活に支障をきたす項目に限り
制裁を解除することを引き換えに核物質生産施設の破壊を提案した。
北朝鮮、核・ミサイル実験中止に関する合意に署名する用意がある
今回、アメリカは北朝鮮の提案をける形で交渉を切ったが、
どのみち、条件に従わざるを得ないだろう。
北朝鮮にとっては、また開発を再開すればいいだけの話であり、
それを行う頃には今よりも国力を上げている。
シリアやベネズエラに対する圧迫的な政策を思えば、
皮肉な話だが、北朝鮮の核開発は結果的には功を奏したと言える。
メディアは相変わらず北朝鮮を悪魔化した報道を流してきたが
その間に北朝鮮は着実に露中米韓と関係を修復させてきた。
他方で去年から北朝鮮は日本を糾弾する主張を
以前より多く行うようになっている。
北朝鮮の孤立化を目指した結果、日本の方が孤立していた
などという事態はありえなくもないし、現に去年は蚊帳の外にされたし、今もそうである。
アメリカに歩調をあわせているつもりで
見当はずれの行動を取る前に、もう少し冷静に状況を分析するべきではないだろうか?