時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

アジアの平和を乱す米韓軍事演習

2015-03-04 00:02:39 | 北朝鮮
北朝鮮政府は今年の1月初旬、米韓が合同軍事演習を臨時中止するならば、
米国が憂慮する核実験を取りやめる措置を講じる
と訴えていた。

日本の左翼・右翼合同北朝鮮悪魔化言論によって、
このことは伏せられたし、実際、ニュースにすらならなかった。

北朝鮮が核実験を停止する兆しが見えていたというのに。

繰り返すが、対話の扉は開かれていた。軍縮の可能性はあった。


オバマがキューバと対話を持ち込むと、それはニュースになる。
たとえ、テロ支援国家リストからキューバを削除することが義務でないとしてもだ。



他方、北朝鮮が非核化の動きを米韓の軍事演習の中止を条件に求めても、
それはニュースにならない。その後、米韓が提言を無視し演習を実行したことに対抗し、
北朝鮮が弾道ミサイルを発射すると、途端に大騒ぎする。いったい、これは何なのか?





他方、外国は米韓軍事演習をどう伝えているのだろうか?

北朝鮮同様、米欧およびその属国のメディア・学者・ジャーナリストによって
悪魔化されているロシアとイランの識者の意見を紹介しよう。まずはロシアから。



-------------------------------------------------
ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長が、対朝鮮政策に関する米・日・南間の懇談(1月28日、東京)が開かれたことに言及し、朝鮮の核保有は米国の不当な対朝鮮政策の産物であると指摘した。ロシア国営メディアである「ロシアの声」が発言の詳しい内容を伝えた。朝鮮中央通信も一部の内容を紹介した。

朝鮮の核実験期待する米国


朝鮮はかなり真剣に交渉する気でいる。
朝鮮から最近出されている声明をみればそれが分かる。


特に、核実験、ミサイル発射の一時的モラトリアムに同意するという部分だが、
それは米国および韓国が軍事演習を行わない場合に限る。

演習を朝鮮は自国の安全保障への脅威とみなしている。

韓国のマスコミも、
この演習で平壌をはじめとする
朝鮮の行政中心地を占領する戦術を立てている
あからさまな発言を行っているからだ。



このため、米国が演習は防衛的性格を持つものと
いくら強弁したところで、これは批判に耐えられるものではない。





ここ最近、米国は朝鮮が新たなミサイル発射または核実験を行うのではないかと期待していた。
これが起きれば米国は一方的な追加制裁を合法化できるからだ。

こうした制裁は一部はすでに発動されており、新たな制裁は国連安保理のラインで発動されている。
これらは朝鮮を国際金融システムや国際取引から孤立化させかねないものだ。
これは本質的には金融制度を朝鮮に対抗する武器に用いることになる。



こうした措置の最終的な目的は、朝鮮の経済状況を最大限困難にし
国民の、もしかすると一部のエリート官僚の大規模な不満を呼び覚ますことで、
国内情勢を不安定化させることだ。



ところが、朝鮮の強硬なリアクションを待ちきれず、米国とその同盟国らは困難な状況に陥った。
朝鮮は米韓に対し、新たな平和的発案をどんどんと推し進めているからだ。
こうした発案は6カ国協議の参加国をはじめとする多くの国には建設的なものに思われる。


新華社通信は、
「米国が、合同軍事演習の一時停止を引き換え条件に核実験を延期するという
 朝鮮の提案を完全に拒否したことは、朝鮮半島における信頼関係を促すものではない」
と指摘している。


中国は、米国が朝鮮に対してみせる「盲目的な自信過剰と不変の侮辱」は
状況をさらに大きく悪化させかねないとの見方を示している。



これは20世紀半ばにウィリアム・フルブライト
米議会上院外交委員会委員長が規定した「力の自己欺瞞」による政治だ。




まさにこの力の自己欺瞞、朝鮮の抱く自国の安全保障の憂慮を米政権が考慮したがらないことが、
今、朝鮮を核兵器を持ち、人工衛星を打ち上げる国に仕立ててしまったのである。




米国は以前と変わらず朝鮮とは合意を結びたがらないだけではない。
話をするのも嫌がっている。これは先日、米国務長官が、朝鮮が、
合同軍事演習を止めたら朝鮮も核実験を一時停止するという提案を行ったことに対し、
これを「隠された脅迫」かのように受け止め、退けたことにも現れている。


それどころか、オバマ米大統領は
最近の声明のなかで朝鮮の不可避的崩壊について予言を行った。



このため、私は米・日・南3国の懇談は一方では、
米国が平和愛好的に邁進しているのだという裏づけを国際社会に「売りつける」ような
何らかのプロパガンダ的アプローチに同意するためのものであった可能性も除外しない。


別の見方をすれば、同盟国を「ひざまずかせ」、
米国の出す新たな対朝鮮制裁への支持を強要するものだったのだろう。



この制裁は朝鮮に向けられるばかりではなく、韓国他、米国連合国に対し、
朝鮮となんらかのコンタクトや接近を図るなという警告の役割も果たす。



前提となる「北朝鮮の脅威」



2015年初頭、朝鮮は南北間サミットの実施も辞さないとの声明を発表した。
これに対し、韓国の朴大統領も同意を示している。


南北朝鮮の首脳らは、日本の植民地支配からの解放70周年を目前に控え、
南北分断の状況を克服し、多くは米国のせいで南北朝鮮関係が陥っている
この袋小路から抜け出るため、両国の首脳が尽力しているところを両国民が目にするように、
何らかのことを行わねばならない。



こうした南北朝鮮のアプローチは米国に激しいアレルギーを呼び起こす。
1990年代に、南北朝鮮が首脳レベルで和平と不可侵、交流、協力についての
合意を結んだときもそうだった。2000年、初の南北朝鮮サミットが実施されたときもしかり。


両方のケースで米国のアナリストらはすぐに憂慮の念を表し、
南北が平和的に協力し始めたら、米軍はどうなるんだと書きたてた。



米軍は「北朝鮮の脅威」があるという前提のもとに
朝鮮半島に配備されているのであり、
そうなると配備の意味が失われてしまうからだ。




ここ数年、朝鮮半島に有事の際は、韓国軍の指揮権は自動的に米国のジェネラル、
つまり韓国駐留米軍司令官に移行するという状況ができあがっている。



韓国の将軍らへの指揮権の移譲は2012年とされていたが、その後2015年に変更された。
そしていま、これは「条件が整わない限り」期限を区切らず延長されようとしている。



だが私たちは、アフガニスタン、イラクで、そのほか米国が介入した国々での条件が
「どう整ったか」を目の当たりにした。つまりこの「時」は無限に待たねばならない。


ところでまさにこの理由で朝鮮は韓国とではなく、米国との和平締結を主張し続けているのだ。
朝鮮は、ソウルでのパレードを実際「指揮している」のが誰なのかを良く知っているからだ。

(http://chosonsinbo.com/jp/2015/02/20150206riyo-5/

 この米韓軍事演習は北朝鮮にとっては正真正銘の脅威であり、
 過去、何度にもわたって批判されてきた。例えば、次のような文書がある。
        ↓
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-52d9.html)
---------------------------------------------------




ロシアほどではないが、イランもなかなか、どうして手厳しい。



-------------------------------------------------------

アメリカと韓国の大規模軍事演習




ホセイニー解説員

アメリカと韓国の合同軍事演習が2日月曜、始まりました。

この演習は「フォール・イーグル」と「キー・リゾルブ」と呼ばれ、
二段階に渡って4月24日まで実施されます。

この演習では韓国軍およそ1万人、アメリカ軍8600人が参加し、
沿海域戦闘艦フォート・ワースも加わります。

北朝鮮はこれ以前、何度となくこの演習に関して警告を発し、
それを北朝鮮への攻撃に向けた準備と見なしていました。



北朝鮮はこの演習の実施を前に、弾道ミサイル2発を発射し、
「あらゆる脅威に対抗する用意がある」と表明しました。




アメリカと韓国の合同軍の司令部は、定例合同軍事演習の目的は
北朝鮮の脅威に対抗するための両国の合同軍の作戦能力を強化することだとしていますが、
北朝鮮はこうした主張を否定し、アメリカの目的は朝鮮半島を無意識に戦争に向かわせることだ
として非難しています。



北朝鮮政府は、常にこうした演習に反対を表明し、
その実施は朝鮮半島の緊張拡大の直接の要因であり、
北朝鮮への攻撃に向けたこの2カ国の用意を示すものだとして、
その停止を求めています。



北朝鮮はさらに、合同軍事演習は北朝鮮の主権に対する深刻な軍事的挑発にあたるとし、
朝鮮半島の平和と安定の維持に向けた明らかな脅威であると考えています。



北朝鮮の警告が無視されたことにより、
北朝鮮のキムジョンウン第1書記は、アメリカと韓国の合同軍事演習の実施を前に、
北朝鮮のすべての部隊に戦闘待機態勢に入るよう命令を下しました。




政治問題の専門家は、アメリカと韓国の今回の軍事演習の実施を、
朝鮮半島でのアメリカの覇権主義的な目的の方向で分析しています。



アメリカは朝鮮戦争の後、
韓国と安全保障条約を締結することで、
同国に大規模な軍事駐留を展開し、
南北朝鮮の関係の改善を妨げただけでなく、
この地域の危機の継続により、
実際、韓国に軍を常駐化させました。


アメリカは実際、韓国を軍事化し、
朝鮮半島で戦争状態を作り出すことで、
韓国におけるアメリカ軍の駐留に対する
住民の反対を抑えようとしています。




専門家の中には、アメリカは韓国を「裏庭」に変え、
再三にわたる軍事演習実施のための場所として東アジア諸国の問題に介入していると見る人々もいます。



アメリカは、アジア太平洋地域への復帰という軍事戦略の方向で、
領土問題を煽ったり、地域諸国と合同軍事演習を実施するなど、様々なシナリオを推し進めています。



この政策は北朝鮮の反対に加えて、中国など、東アジアの多くの国の抗議も引き起こしているのです。


(http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/
52594-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81
%A8%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%A6%8F
%E6%A8%A1%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E6%BC%94%E7%BF%92)


---------------------------------------------------


沖縄の基地問題も韓国の基地問題も同じである。
北朝鮮消滅計画部隊の発進基地として利用される。


北朝鮮問題=米軍基地問題
=アメリカによるアジア侵略の問題なのだ。




よって、少なくとも護憲や軍縮を語る人間は
この北朝鮮に対するプロパガンダ攻撃に対してノーをたたきつけ、
北朝鮮を含んだアジア平和を掲げるはずだろう。



ところが、実際には日本の左翼は
右翼とつるんで北朝鮮を悪魔化させているのである。

誰に頼まれたわけでもなく。
彼ら自身の意思で。




もしかすると、後の記事で詳しく取り上げるかもしれないが、
次の記事を読んでみてほしい。

北朝鮮の「こけおどし」に慌てるな -神格化と体制引き締めのプロパガンダ -
やはり「こけおどし」だった北朝鮮の戦争宣伝 - 当面は中国に重い責任-
究極には全世界の核廃絶を -



試しに、上の記事における北朝鮮に対する評価をザッと拾い上げるとこうなる。


連日のように戦争ムードを掻き立てている。

これこそ、飢餓人口270万人(WFP=世界食糧計画=の推定)を抱えながら、
核兵器に血道を上げる金正恩体制の姿である。


(北朝鮮は年々、食料問題が改善されつつある。
 加えて国連機関により、食料も援助されており、飢餓とは程遠い状況まで回復している。
 上の記事を書いた人間は、90年代の北朝鮮の事情しか知らないのだろう)


あまりにも稚拙

こんな「稚拙」な宣伝文句は、外部の人々からは冷笑されるだろうが、
外界の事情を知らされていない北朝鮮内部の人々には、
正義の戦いに立ち上がった偉大な指導者としての「元帥様」のイメージが刷り込まれる。


このプロパガンダの主眼は、若い3代目(金正恩)が
初代(金日成)や2代目(金正日)に劣らぬ有能な指導者であることを売り込むことである。


内実はれっきとした君主制なのに「民主主義」や
「人民共和国」といったオブラートで包み、内実を隠したつもりでいるところがいやらしい。


一方オバマのアメリカは、恒例の春期米韓合同軍事演習
「キー・リゾルブ」に今年初めて核攻撃可能なステルス爆撃機B2と
最新鋭のステルス戦闘機を派遣した。また高性能レーダーと迎撃ミサイルを
装備した最新式イージス艦フィッツジェラルドを黄海側の韓国沖に配置して、
北朝鮮を牽制した。

しかしオバマは北朝鮮の挑発を北朝鮮独特の瀬戸際作戦だと見抜き、
冷静に対応する構えだ。



……以上だ。

要するに、北朝鮮はとてつもない地獄であり、
正義の番人アメリカが冷静に対応しているということらしい。



ここでは、アジア地域を揺らがす第二次朝鮮戦争予行演習である
米韓合同軍事演習は「恒例」の一言で済まされるどころか、
その目的が北朝鮮へのけん制という
あたかも防衛的なものであるかのように語られている。


事実が逆転しているのである。


それどころか、上の青文字で着色した文章、
安倍晋三の取り巻きが書いたものだと説明されても違和感がない。


これほど事実が歪曲(米韓軍事合同演習への抗議のための威嚇行為が
独裁政権強化のためのプロパガンダとして歪められる。結果として、
アメリカの帝国主義的軍事行動は正義に属するものと逆さまに評価される)したものはない。


愚劣。卑劣。下劣。
これが護憲と軍縮と共生を掲げる
日本の平和団体の文章なのである。

(http://lib21.blog96.fc2.com/)




共生?いったい誰と?

結局のところ、彼らにとっての平和や共生とは
自国(正確にはアメリカ)の敵国が滅んだ先にあるのだ。



北朝鮮を消滅させることを「併合」というのは、
かつての朝鮮国を消滅させ、大日本帝国に「併合」させた際の
帝国人たちの言葉とそっくりそのまま、詭弁の極みである。


そんな有様だから
積極的平和主義にとって代われようとしているのである。

(この記事が書かれたのが2年前だということを考慮しても、
 大体、日本の左翼が書いている内容は、これと大差ない。)



このブログで私は再三、日本の主流左翼は反共に固執するあまり、
右翼と大差ない意見を言うまでに堕してしまっており、そのために
右翼に対する強い抵抗運動になっていないことこそが右傾化の真相(左翼の右傾化)だと主張してきた。



最近の北朝鮮の報道や市民活動家の記事を見ると、
いよいよもって自民党化してきたなと、大変危機的な状況にあるなと思わずにはいられない。



もちろん、多数の市民は自分の意見を文章化してはいないわけで、
おまけに私はツイッターやフェイスブックもやらないので、
これは狭い視野からの感想かもしれない。むしろそうあってほしい。


アメリカの世界戦略に則った形での平和など、何も生み出さない。
それはイラク・アフガン戦争しかり、アラブの春しかりだ。


本当に平和を願っているのならば、少なくとも私たちは自民党化してはいけない。
これを肝に銘じなければ、とてもじゃないがジャーナリズムなど存在できないのである。


最新の画像もっと見る