イスラム国に関する新書や単行本が今月、何冊か出版された。
文春からは2冊、朝日からは1冊、集英社から1冊、他にも諸々。
一通り、ページをめくってみた。といっても、拾い読みだが。
感想。
これを読むぐらいなら海外のニュースサイトを読んだほうが良い気がする(汗)
というわけで、古い記事だが、
ISISを考えるにあたって、まず初めに読むべき記事を紹介したいと思う。
--------------------------------------------------
テロ組織ISISに対する連合結成
現在、テロリズムが再び、アメリカや、
これに同盟するヨーロッパや地域諸国による、中東地域への干渉の口実となっています。
今回、その口実となっているのは、
「イラクとシャームのイスラム国」を自称するテロ組織ISISです。
数日前、サウジアラビアとフランスが、このテロ組織に対抗するための、
地域的、国際的な措置についての打ち合わせを行なうため、
複数の西側諸国やアラブ諸国、及びトルコによる外相級会合を開催しました。
これ以前にも、国連安保理はこのテロ組織に対する非難決議を採択しています。
この非難決議の採択の後、国連のパン事務総長は、
「ISISに対するあらゆる措置は、国連の許可を得る必要はない」
という見解を表明しました。
この見解表明は、アメリカに対して、
このテロ組織に対する措置を目的とした複数の国による
連合の結成に関して、ゴーサインを出したことになります。
テロ組織ISISに対抗する連合の結成、
というアメリカの措置については、多くの疑問点が存在します。
第一の疑問点は、テロとの戦いにおけるアメリカの行動と前歴に関係しています。
2001年のアメリカ同時多発テロの後、
アメリカはアフガニスタンを攻撃するため、テロ組織アルカイダの脅威を口実に挙げました。
また、イラクへの軍事介入に当たっては、
テロリズムの脅威に加えてイラクの大量破壊兵器を口実としています。
9.11同時多発テロから13年たちますが、
アフガニスタンやイラクにおけるテロ行為は数倍にも増加し、
他の一部の国にも拡大しています。
イラクやアフガニスタンのテロ行為の犠牲者は
アメリカ同時多発テロの犠牲者をはるかに上回っています。
現在、一体何が起こり、ISISと戦うために連合を結成するという
アメリカの新たな軍事的、政治的な活動を信用しなければならなくなったのでしょうか?
アメリカはテロとの戦いの中で常に、
テロの主要な原因を根絶するのではなく、その結果と戦おうとしています。
実際、アメリカはテロとの戦いで、
選択的なダブルスタンダードの対応をとっています。
このように、テロリズムは、
地域への進出を目的としたアメリカの政策を推進する要素となっているのです。
現在のテロリズムは、地域における過激主義や暴力、
タクフィーリー派の思想により生じています。
過激主義やタクフィーリー派の思想の拡大は、
アメリカの地域における拡張主義的な進出政策の結果となっており、
アメリカは中東地域で過激主義と闘おうとしたことはありません。
アメリカの首脳陣は、
自国の拡張主義的な進出政策を正当化するため、
アメリカの政策に反対する国々を過激派と見なし、
これらの国は地域の安全にとっての脅威だとして触れ回っています。
地域におけるアメリカのイランに対する敵対政策は、まさにこの方針で行われているのです。
一方、過激主義の拡大に最も大きく貢献している国々は、
アメリカの政策を促進するために、アメリカの道具として利用されています。
これらの国は、西側諸国で
民主主義と自由を主張する人々が掲げる基準を全く満たしていません。
これらの国の政治体制は、中世の時代のヨーロッパの政治体制のようなものです。
これらの国々では、公民権としての自由のみならず、市民権さえも無視されています。
現在のサウジアラビアのワッハーブ派による政治体制は、
1つの思想の潮流であり、これらの国々を初めとするこうした体制に合法性を与えるものです。
ワッハーブ派の盲目的で偏った思想や過激主義は、誰の目にも明らかです。
アフガニスタンとパキスタンのアルカイダ、タリバン、
イラクのISIS、シリアのヌスラ戦線、アフリカのボコハラムや
アルシャバブは、ワッハーブ派思想を根幹としています。
結婚による性のジハードや、ワッハーブ派への反対者の残虐な殺害など、
イスラム教的な倫理や預言者ムハンマドの教えに反する最も低俗な教令を出しているのは、
サウジアラビアにおけるワッハーブ派のイスラム法学者なのです。
アメリカの9.11同時多発テロのあと、アメリカの指導者は
タリバンやアルカイダとの戦いを口実にアフガニスタンに武力介入しました。
一方、この2つの過激派組織に思想や資金、
軍事力を供与していたのはサウジアラビアでした。
しかし、アメリカはサウジアラビアを支配するワッハーブ派を、
過激派やテロリズムの支援組織に認定しなかったどころか、
西側でのプロパガンダ活動を行うことに関して、
ワッハーブ派に対し制限さえ設けなかったのです。
西側政府とその筆頭であるアメリカは3年半前から、
シリアで危機が生じてくる中でワッハーブ派系統の集団を支援し、
シリアにおける現行の政権を転覆しようとしてきました。
この期間、タクフィーリー派のグループは、
イスラムを名乗ってのあらゆる犯罪行為に手を染めました。
西側政府とサウジアラビア、カタール、トルコなど、
地域における西側の同盟国は、資金、政治、軍事の各方面で
こうしたテロ組織への支援を惜しみませんでした。
欧米諸国出身のテロリストの多くが、これらのグループに加わっています。
ここで注目すべきことは、これらの人物による
シリアやイラクと西側諸国の間の行き来や、
西側への帰国に対して、西側諸国が何の制限も設けなかったことです。
しかし、イラクの少数派であるキリスト教徒が多数殺害され、
2人のアメリカ人ジャーナリストがISISによって殺害されると、
それまでISISやそのほかの同じような思想を持つグループを
支援してきた西側諸国の態度は豹変しました。
この西側政府の態度の転換に従い、
サウジアラビアのような地域における西側の同盟国のアプローチも一変したのです。
現在、テロ組織ISISはにわかに、
西側のプロパガンダにおける地域的、国際的な安全保障にとってのテロの脅威となり、
このテロ組織との戦いは、避けられない必要な事柄とみなされています。
このことは、国連安保理でこのテロ組織に対する
非難決議が採択されたことからも、理解できると思われます。
一方、このテロ組織は
イラクやシリアで数年前から、
このような犯罪に手を染めてきました。
現在このテロ組織の犯罪は拡大しています。
西側諸国やこれに同盟するサウジアラビアやトルコなどの
国々が態度を変化させたことから、ISISに対抗する国際的な連合を
形成しようとするアメリカの行動は疑われるべきではないでしょうか。
あるいは、サウジアラビアのジェッダやフランスのパリで開催された会議に参加した、
サウジアラビアやトルコ、そのほかの多くの国々が、ISISやテロリズムに
対抗するために一堂に会していた、ということは信用に値するのでしょうか。
テロ組織ISIS、ヌスラ戦線、タリバン、アルカイダなどは、
過激なタクフィーリー派や狂信的なワッハーブ派から生まれたものであり、
アメリカやその同盟国は完全にこのことを知り尽くしています。
しかし、彼らはサウジアラビアを支配する
ワッハーブ派の思想に対抗しようとはしませんでした。
なぜなら、サウジアラビアは世界最大の石油の埋蔵国、生産国であり、
また西側にとっては武器の大市場であるとともに、
中東地域におけるアメリカの政策の実行役だからです。
パキスタンのペシャワールにおいて、このワッハーブ派は、
これまでタリバンやアルカイダにイデオロギーを与え、
資金的、軍事的な援助を行い、現在もこれを行なっています。
ワッハーブ派はまた、
現在もほとんどのイスラム諸国や西側諸国で活動しています。
この宗派が存在する地域ではいずれも、
狂信的で盲目的なタクフィーリー派の思想や、
預言者ムハンマドによる正義を求め人格を形成する
イスラム教の教えから逸脱した思想が拡大しています。
アメリカとその同盟国は、ISISとの闘いを真剣に追求しておらず、
このテロ組織との闘いは地域諸国に対する軍事介入の口実なのです。
確実に言えることは、ISISに対する
アメリカ主導の国際的な連合によりテロ行為が減少することはない、ということです。
それはアフガニスタンやパキスタンにおけるタリバンやアルカイダとの闘いで、
こうした成果が得られていないことと同じです。
ISISに対抗するためには、
タクフィーリー派や狂信的な思想を拡大する根源と闘わなければなりません。
このような意欲は、アメリカを筆頭とする西側諸国には存在しません。
アメリカは地域において、イスラム教徒の間の対立を生じ、
イスラム教の平和的なイメージを損なうことにより、自国の利益を求めています。
このため、ISISへの対抗を目的としたアメリカ主導の国際的な連合の結成は、
見せ掛けのものであり、その目的はテロとの戦いではない、というべきでしょう。
アメリカはISISとの闘いを口実に、
中東各地を空爆や長距離ミサイル攻撃の標的にしようとしており、
これは今日パキスタンやアフガニスタン、イエメンで行われている措置なのです。
http://japanese.irib.ir/component/k2/item/48591
-%E3%83%86%E3%83%AD%E7%B5%84%E7%B9%94%EF%BD%89%EF
%BD%93%EF%BD%89%EF%BD%93%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%
99%E3%82%8B%E9%80%A3%E5%90%88%E7%B5%90%E6%88%90#comment-1770
---------------------------------------------------------
要約すると、
ISISの台頭には、
サウジアラビアで権勢を誇っているワッハーブ派の活動
ならびに黙認・利用した欧米列強の外交戦略が主要因として考えられる
ということになる。
少なくとも、アメリカがISISを好意的に捉えていたことは、
元国務長官のヒラリー・クリントンの回想録を読めば一目瞭然だ。
「ISISは実際、アメリカが中東を分割するために誕生させたものだ」
「我々はイラク、リビア、シリアで戦争に入り、
全てが望みどおりに順調に進んでいたが、6月30日に突然、
エジプトで革命が起き、72時間の間に全てが変わってしまった」
「私は世界の112カ国を訪れた。そして一部の友人たちと、
ISISが誕生を発表した直後に、この組織を正式に認めることで合意した。
だが突然、全てが崩れてしまった。ISISは、6月5日に誕生が発表されるはずで、
それを待ち、すぐにでも、ヨーロッパと共にそれを正式に認める予定だった」
「全てが我々の目の前で、何の予告もなしに崩れ去ってしまった。
恐ろしいことが起こった。我々は武力の行使を考えていたが、
エジプトの軍隊は、シリアやリビアと同じではない。
我々がアメリカの艦船でエジプトのアレクサンドリアの港に向かったとき、
非常に新しい潜水艦によって監視されていた。
この潜水艦は、最新の武器やレーダー設備を備えていた。
我々が紅海に近づこうとすると、ロシアの旧型の戦闘機に遭遇した。
それ以上に奇妙なのは、この戦闘機がどこからやって来て、
どこに去ったのかが分からなかったことだ」
「我々は、ムスリム同砲団とISISを通じてエジプトを支配し、
それを分割した後、ペルシャ湾岸諸国に取り掛かろうとしていた。
友好国を通じて用意が整っていた最初の国はクウェートだった。
その後にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、
オマーンの順番で考えていた。そうすれば、アラブ諸国は完全に分割され、
我々は完全に、これらの地域を支配できるはずだった。
石油資源や重要な水路を支配下に置けるはずだった。
もし彼らの間に対立があれば、状況は変わっていただろう」
このように、ISISへの支持をはっきりと表明している。
そして、冒頭に述べた諸文献には、このことがなぜか書かれていない。
(拾い読みなので、もしかして見逃したかもしれないが)
クリントンの発言は、アメリカの国家安全保障局の元局員、
エドワード・スノーデン氏が暴露した内容を認めるものになっている。
同氏は、イスラエルが他国を攻撃するためにISISの創設に関わったことを明らかにした。
「アメリカ、イギリス、イスラエルの情報機関は、
ISISの創設に関与し、スズメ蜂の巣(Hornet nest)
という名の作戦によってISISを作り出した」と述べている。
スノーデン氏は、
ISISがシオニスト政権の支援によって創設されたこと、
この作戦の目的は、イスラムを標榜する組織をつくり、世界中から過激派を集め、
イスラエルの存続を脅かす国々に攻撃させることにあったと述べた。
そう言われてみれば、イラクもシリアも反イスラエルの急先鋒、
特にシリアはイスラエルにとっては仇敵のような国である。
おまけにISISは、
アラブ人を最も苦しめているはずのイスラエルに対して
これといった攻撃を行っていない。
スノーデン氏は
「ISISの指導者は1年間、イスラエルの諜報機関であるモサドの監視下に置かれ、
この間、スピーチの指導や軍事訓練を受けていた」とコメントしている。
実のところ、イスラエルはこの手の軍事訓練の最先端を行く国であり、
国防と治安維持のノウハウを海外に輸出している。
同氏の暴露は十分に考えられることだと言えよう。
以上、長々と書いたが、整理すると、
ISISが列強にとって不都合な存在になったのは、ごく最近のことで、
しかも、これだけ暴れまくっているにも関わらず、
不思議なことにイスラエルやサウジアラビアといった
親米諸国には被害が及んでいないというのは、非常に興味深い話だ、
ちなみに、リビア消滅の際、反リビア軍の正体はISISだったという記事もある。
https://libya360.wordpress.com/2014/11/19/libyan-rebels-are-isis/
ISISというのは、欧米列強の帝国主義の産物ではないか?
そのように、筆者は思えるのである。
文春からは2冊、朝日からは1冊、集英社から1冊、他にも諸々。
一通り、ページをめくってみた。といっても、拾い読みだが。
感想。
これを読むぐらいなら海外のニュースサイトを読んだほうが良い気がする(汗)
というわけで、古い記事だが、
ISISを考えるにあたって、まず初めに読むべき記事を紹介したいと思う。
--------------------------------------------------
テロ組織ISISに対する連合結成
現在、テロリズムが再び、アメリカや、
これに同盟するヨーロッパや地域諸国による、中東地域への干渉の口実となっています。
今回、その口実となっているのは、
「イラクとシャームのイスラム国」を自称するテロ組織ISISです。
数日前、サウジアラビアとフランスが、このテロ組織に対抗するための、
地域的、国際的な措置についての打ち合わせを行なうため、
複数の西側諸国やアラブ諸国、及びトルコによる外相級会合を開催しました。
これ以前にも、国連安保理はこのテロ組織に対する非難決議を採択しています。
この非難決議の採択の後、国連のパン事務総長は、
「ISISに対するあらゆる措置は、国連の許可を得る必要はない」
という見解を表明しました。
この見解表明は、アメリカに対して、
このテロ組織に対する措置を目的とした複数の国による
連合の結成に関して、ゴーサインを出したことになります。
テロ組織ISISに対抗する連合の結成、
というアメリカの措置については、多くの疑問点が存在します。
第一の疑問点は、テロとの戦いにおけるアメリカの行動と前歴に関係しています。
2001年のアメリカ同時多発テロの後、
アメリカはアフガニスタンを攻撃するため、テロ組織アルカイダの脅威を口実に挙げました。
また、イラクへの軍事介入に当たっては、
テロリズムの脅威に加えてイラクの大量破壊兵器を口実としています。
9.11同時多発テロから13年たちますが、
アフガニスタンやイラクにおけるテロ行為は数倍にも増加し、
他の一部の国にも拡大しています。
イラクやアフガニスタンのテロ行為の犠牲者は
アメリカ同時多発テロの犠牲者をはるかに上回っています。
現在、一体何が起こり、ISISと戦うために連合を結成するという
アメリカの新たな軍事的、政治的な活動を信用しなければならなくなったのでしょうか?
アメリカはテロとの戦いの中で常に、
テロの主要な原因を根絶するのではなく、その結果と戦おうとしています。
実際、アメリカはテロとの戦いで、
選択的なダブルスタンダードの対応をとっています。
このように、テロリズムは、
地域への進出を目的としたアメリカの政策を推進する要素となっているのです。
現在のテロリズムは、地域における過激主義や暴力、
タクフィーリー派の思想により生じています。
過激主義やタクフィーリー派の思想の拡大は、
アメリカの地域における拡張主義的な進出政策の結果となっており、
アメリカは中東地域で過激主義と闘おうとしたことはありません。
アメリカの首脳陣は、
自国の拡張主義的な進出政策を正当化するため、
アメリカの政策に反対する国々を過激派と見なし、
これらの国は地域の安全にとっての脅威だとして触れ回っています。
地域におけるアメリカのイランに対する敵対政策は、まさにこの方針で行われているのです。
一方、過激主義の拡大に最も大きく貢献している国々は、
アメリカの政策を促進するために、アメリカの道具として利用されています。
これらの国は、西側諸国で
民主主義と自由を主張する人々が掲げる基準を全く満たしていません。
これらの国の政治体制は、中世の時代のヨーロッパの政治体制のようなものです。
これらの国々では、公民権としての自由のみならず、市民権さえも無視されています。
現在のサウジアラビアのワッハーブ派による政治体制は、
1つの思想の潮流であり、これらの国々を初めとするこうした体制に合法性を与えるものです。
ワッハーブ派の盲目的で偏った思想や過激主義は、誰の目にも明らかです。
アフガニスタンとパキスタンのアルカイダ、タリバン、
イラクのISIS、シリアのヌスラ戦線、アフリカのボコハラムや
アルシャバブは、ワッハーブ派思想を根幹としています。
結婚による性のジハードや、ワッハーブ派への反対者の残虐な殺害など、
イスラム教的な倫理や預言者ムハンマドの教えに反する最も低俗な教令を出しているのは、
サウジアラビアにおけるワッハーブ派のイスラム法学者なのです。
アメリカの9.11同時多発テロのあと、アメリカの指導者は
タリバンやアルカイダとの戦いを口実にアフガニスタンに武力介入しました。
一方、この2つの過激派組織に思想や資金、
軍事力を供与していたのはサウジアラビアでした。
しかし、アメリカはサウジアラビアを支配するワッハーブ派を、
過激派やテロリズムの支援組織に認定しなかったどころか、
西側でのプロパガンダ活動を行うことに関して、
ワッハーブ派に対し制限さえ設けなかったのです。
西側政府とその筆頭であるアメリカは3年半前から、
シリアで危機が生じてくる中でワッハーブ派系統の集団を支援し、
シリアにおける現行の政権を転覆しようとしてきました。
この期間、タクフィーリー派のグループは、
イスラムを名乗ってのあらゆる犯罪行為に手を染めました。
西側政府とサウジアラビア、カタール、トルコなど、
地域における西側の同盟国は、資金、政治、軍事の各方面で
こうしたテロ組織への支援を惜しみませんでした。
欧米諸国出身のテロリストの多くが、これらのグループに加わっています。
ここで注目すべきことは、これらの人物による
シリアやイラクと西側諸国の間の行き来や、
西側への帰国に対して、西側諸国が何の制限も設けなかったことです。
しかし、イラクの少数派であるキリスト教徒が多数殺害され、
2人のアメリカ人ジャーナリストがISISによって殺害されると、
それまでISISやそのほかの同じような思想を持つグループを
支援してきた西側諸国の態度は豹変しました。
この西側政府の態度の転換に従い、
サウジアラビアのような地域における西側の同盟国のアプローチも一変したのです。
現在、テロ組織ISISはにわかに、
西側のプロパガンダにおける地域的、国際的な安全保障にとってのテロの脅威となり、
このテロ組織との戦いは、避けられない必要な事柄とみなされています。
このことは、国連安保理でこのテロ組織に対する
非難決議が採択されたことからも、理解できると思われます。
一方、このテロ組織は
イラクやシリアで数年前から、
このような犯罪に手を染めてきました。
現在このテロ組織の犯罪は拡大しています。
西側諸国やこれに同盟するサウジアラビアやトルコなどの
国々が態度を変化させたことから、ISISに対抗する国際的な連合を
形成しようとするアメリカの行動は疑われるべきではないでしょうか。
あるいは、サウジアラビアのジェッダやフランスのパリで開催された会議に参加した、
サウジアラビアやトルコ、そのほかの多くの国々が、ISISやテロリズムに
対抗するために一堂に会していた、ということは信用に値するのでしょうか。
テロ組織ISIS、ヌスラ戦線、タリバン、アルカイダなどは、
過激なタクフィーリー派や狂信的なワッハーブ派から生まれたものであり、
アメリカやその同盟国は完全にこのことを知り尽くしています。
しかし、彼らはサウジアラビアを支配する
ワッハーブ派の思想に対抗しようとはしませんでした。
なぜなら、サウジアラビアは世界最大の石油の埋蔵国、生産国であり、
また西側にとっては武器の大市場であるとともに、
中東地域におけるアメリカの政策の実行役だからです。
パキスタンのペシャワールにおいて、このワッハーブ派は、
これまでタリバンやアルカイダにイデオロギーを与え、
資金的、軍事的な援助を行い、現在もこれを行なっています。
ワッハーブ派はまた、
現在もほとんどのイスラム諸国や西側諸国で活動しています。
この宗派が存在する地域ではいずれも、
狂信的で盲目的なタクフィーリー派の思想や、
預言者ムハンマドによる正義を求め人格を形成する
イスラム教の教えから逸脱した思想が拡大しています。
アメリカとその同盟国は、ISISとの闘いを真剣に追求しておらず、
このテロ組織との闘いは地域諸国に対する軍事介入の口実なのです。
確実に言えることは、ISISに対する
アメリカ主導の国際的な連合によりテロ行為が減少することはない、ということです。
それはアフガニスタンやパキスタンにおけるタリバンやアルカイダとの闘いで、
こうした成果が得られていないことと同じです。
ISISに対抗するためには、
タクフィーリー派や狂信的な思想を拡大する根源と闘わなければなりません。
このような意欲は、アメリカを筆頭とする西側諸国には存在しません。
アメリカは地域において、イスラム教徒の間の対立を生じ、
イスラム教の平和的なイメージを損なうことにより、自国の利益を求めています。
このため、ISISへの対抗を目的としたアメリカ主導の国際的な連合の結成は、
見せ掛けのものであり、その目的はテロとの戦いではない、というべきでしょう。
アメリカはISISとの闘いを口実に、
中東各地を空爆や長距離ミサイル攻撃の標的にしようとしており、
これは今日パキスタンやアフガニスタン、イエメンで行われている措置なのです。
http://japanese.irib.ir/component/k2/item/48591
-%E3%83%86%E3%83%AD%E7%B5%84%E7%B9%94%EF%BD%89%EF
%BD%93%EF%BD%89%EF%BD%93%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%
99%E3%82%8B%E9%80%A3%E5%90%88%E7%B5%90%E6%88%90#comment-1770
---------------------------------------------------------
要約すると、
ISISの台頭には、
サウジアラビアで権勢を誇っているワッハーブ派の活動
ならびに黙認・利用した欧米列強の外交戦略が主要因として考えられる
ということになる。
少なくとも、アメリカがISISを好意的に捉えていたことは、
元国務長官のヒラリー・クリントンの回想録を読めば一目瞭然だ。
「ISISは実際、アメリカが中東を分割するために誕生させたものだ」
「我々はイラク、リビア、シリアで戦争に入り、
全てが望みどおりに順調に進んでいたが、6月30日に突然、
エジプトで革命が起き、72時間の間に全てが変わってしまった」
「私は世界の112カ国を訪れた。そして一部の友人たちと、
ISISが誕生を発表した直後に、この組織を正式に認めることで合意した。
だが突然、全てが崩れてしまった。ISISは、6月5日に誕生が発表されるはずで、
それを待ち、すぐにでも、ヨーロッパと共にそれを正式に認める予定だった」
「全てが我々の目の前で、何の予告もなしに崩れ去ってしまった。
恐ろしいことが起こった。我々は武力の行使を考えていたが、
エジプトの軍隊は、シリアやリビアと同じではない。
我々がアメリカの艦船でエジプトのアレクサンドリアの港に向かったとき、
非常に新しい潜水艦によって監視されていた。
この潜水艦は、最新の武器やレーダー設備を備えていた。
我々が紅海に近づこうとすると、ロシアの旧型の戦闘機に遭遇した。
それ以上に奇妙なのは、この戦闘機がどこからやって来て、
どこに去ったのかが分からなかったことだ」
「我々は、ムスリム同砲団とISISを通じてエジプトを支配し、
それを分割した後、ペルシャ湾岸諸国に取り掛かろうとしていた。
友好国を通じて用意が整っていた最初の国はクウェートだった。
その後にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、
オマーンの順番で考えていた。そうすれば、アラブ諸国は完全に分割され、
我々は完全に、これらの地域を支配できるはずだった。
石油資源や重要な水路を支配下に置けるはずだった。
もし彼らの間に対立があれば、状況は変わっていただろう」
このように、ISISへの支持をはっきりと表明している。
そして、冒頭に述べた諸文献には、このことがなぜか書かれていない。
(拾い読みなので、もしかして見逃したかもしれないが)
クリントンの発言は、アメリカの国家安全保障局の元局員、
エドワード・スノーデン氏が暴露した内容を認めるものになっている。
同氏は、イスラエルが他国を攻撃するためにISISの創設に関わったことを明らかにした。
「アメリカ、イギリス、イスラエルの情報機関は、
ISISの創設に関与し、スズメ蜂の巣(Hornet nest)
という名の作戦によってISISを作り出した」と述べている。
スノーデン氏は、
ISISがシオニスト政権の支援によって創設されたこと、
この作戦の目的は、イスラムを標榜する組織をつくり、世界中から過激派を集め、
イスラエルの存続を脅かす国々に攻撃させることにあったと述べた。
そう言われてみれば、イラクもシリアも反イスラエルの急先鋒、
特にシリアはイスラエルにとっては仇敵のような国である。
おまけにISISは、
アラブ人を最も苦しめているはずのイスラエルに対して
これといった攻撃を行っていない。
スノーデン氏は
「ISISの指導者は1年間、イスラエルの諜報機関であるモサドの監視下に置かれ、
この間、スピーチの指導や軍事訓練を受けていた」とコメントしている。
実のところ、イスラエルはこの手の軍事訓練の最先端を行く国であり、
国防と治安維持のノウハウを海外に輸出している。
同氏の暴露は十分に考えられることだと言えよう。
以上、長々と書いたが、整理すると、
ISISが列強にとって不都合な存在になったのは、ごく最近のことで、
しかも、これだけ暴れまくっているにも関わらず、
不思議なことにイスラエルやサウジアラビアといった
親米諸国には被害が及んでいないというのは、非常に興味深い話だ、
ちなみに、リビア消滅の際、反リビア軍の正体はISISだったという記事もある。
https://libya360.wordpress.com/2014/11/19/libyan-rebels-are-isis/
ISISというのは、欧米列強の帝国主義の産物ではないか?
そのように、筆者は思えるのである。