時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮の医療事情

2016-12-09 00:29:48 | 北朝鮮
リテラの記事に気になる文章があった。

つるの剛士が「保育園落ちた日本死ね」の流行語選定を批判!
親たちの困難を理解せず国家への批判を許さない危険な思考



「つるのの批判の仕方を見ていると、もはやネット右翼と変わらないが、
 今回、つるのが「日本死ね」という表現に対して「汚い言葉」と反応したのは、
 ネット右翼と同様に「日本を誇れ」という思いが強いからなのだろう。

 しかし、そうして日本を誇ることを強要し、「自国に対して汚い言葉を使うな」と言っていると、
 それこそ北朝鮮のような国家と何も変わらなくなってしまう
 そのことに、彼ははたして気づいているのだろうか。
(編集部)」


つるのが極右の家畜人であることは前から知っているし、彼の発言を批判すること自体に異議はない。
しかし、極右を批判する際に「北朝鮮のような」というフレーズを入れることは果たして必要なのだろうか?

上のリテラ編集部の発言からは暗に「日本は北朝鮮よりはマシ」と言っているようなものである。



右翼や日本政府を非難する人間の中には
「北朝鮮(中国)のようになるな」とがなり立てる人間が少なからずいる。


彼らの頭の中には共産主義国家は自由と人権がない地獄のような国で
自国を批判すれば死あるのみの恐ろしい場所だというイメージがあるのだろう。


(こういう妄想を基軸にして過去、どれだけ多くの北朝鮮市民の「処刑」ニュースが報じられ、
 誤報だと判明した後にも反省さえされなかったことか)


では、本当に北朝鮮は日本よりも程度の低い野蛮なアジア的国家なのだろうか?
そのことを考えるために北朝鮮の医療事情について軽く紹介したいと思う。


先日、日本では年金カット法案が強行採決された。今後、高齢者の医療負担が増すことが予想される。
当然、悪の帝国北朝鮮はこれよりもっと凄まじい生存権の破壊を行っているはずである。

日本の良心的なリベラルの言い分に則れば。



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〈月間平壌レポート 10月〉拡大する紋繍地区の病院街“最先端医療を無償で”


【平壌発=金志永】


近年、東平壌の紋繍地区は大型プールなど様々な施設が建設され変貌を遂げている。
特にその一角に医療施設が相次いで新設され、病院街と呼ばれるようになっている。



ここに平壌産院が建てられたのが1980年。2001年には高麗医学総合病院が開院した。

金正恩時代になり、平壌産院乳腺腫瘍研究所(2012年)、
柳京歯科病院(13年)、玉流児童病院(13年)が建てられた。

今月1日には柳京眼科総合病院が運営を始めた。すべて大型の医療施設だ。


朝鮮人民は社会主義保健制度の恩恵を等しく受けている。
その最大の特徴は、無償医療が全面的に実施されていることだ。



金日成主席は1960年代に発表した労作で、社会主義医学は予防医学であるとのテーゼを示した。
それに沿って国内には、すべての人々が定期的に検診を受けるシステムが整っている


平壌市の場合、洞(東京の「町」に該当)ごとに診療所があり、
洞診療所の医師たちが、担当地区を定期的に戸別訪問し、住民たちの健康状態をチェックしている。


治療を受けなければならない住民は、洞診療所を訪ねることになる。
病気や怪我の程度によっては、区域病院や市病院にカルテが移される。

高度な医療が必要だと判断されれば、中央の総合病院で改めて診察を受ける。

このようなシステムが運営されているため、
紋繍地区の病院では平壌市民だけでなく、地方都市や農村地域の住民が診察、治療を受けている。


幼稚園児と小・中学生用の教室を備え、入院患者のための授業も行う
玉流児童病院では、今年10月現在、全国各地の約20万人の子どもたちが診察と治療を受けた。

同じ時期に開院した柳京歯科病院で治療を受けた患者数も約12万人に達する。


開院したばかりの柳京眼科総合病院は4階建ての外来病棟と8階建ての入院病棟から成り、
視力測定を行いメガネを製作、提供する専門店も備えている。


リュ・ウンヒ副院長(55)によると、
同院では年間約5万人の外来患者と5千人の入院患者を受け付ける計画だという。


病院側の試算によると1年に約5千人の白内障患者を治療し、
網膜剥離のような難治性疾患を持つ患者への高難度手術も随時行う。


病院の運営費は、すべて国家負担だ。



リュ副院長は「患者たちは費用のことは考えず、治療にだけ専念すればよい」と説明する。


同院の外来病棟の前面にある大きな窓ガラスは人の目をモチーフにし、入院病棟の外壁には視力表を施した。
外見だけでも眼科専門病院であることがわかる。検査室や手術室には最先端の医療機器が備えられた。

眼科医療の先進国で製作された最高級の設備だという。これらの購入も国家予算で賄われた。




諸外国では医療費の高騰によって、国の財政が圧迫し、医療保健制度の見直しがなされるケースもある。
朝鮮では、無償医療制度が変わることなく続いてきた。


国全体が経済的試練に見舞われた90年代後半の「苦難の行軍」といわれた時代も例外ではない。

当時、一部では国家の財政負担を軽減するために医療費の一部を自己負担とすることも検討されたというが、
金正日総書記は金日成主席が築いた社会主義保健制度は必ず維持されなければならないとの立場を貫き、
無償医療の継続に必要な対策を講じた。


当時、平壌の楽浪区域病院に勤めていたリュ副院長によると
「一部の輸入薬品が不足することはあっても、それ以外の薬品は正常に供給され、
 住民たちの診察と治療は滞りなく行われていた」という。

経済的苦境の中でも、国内の製薬工場は操業を停止することなく生産を続けていたということだ。


開院直後、柳京眼科総合病院には定員数をはるかに超える患者たちが詰めかけた。

10月中旬に金正恩委員長が同院を現地指導し、それが新聞、テレビのニュースで伝えられたことで、
最先端の眼科専門病院への関心と期待が一気に高まった。

外傷整形科のパク・ヨンリョン科長(46)は、連日150人以上診察した。
「患者が列をなして待っているので休む暇などなかった」

パク科長によると同院には、眼科の各分野ごとに専門医が揃っているが、
常に患者の声を尊重し、謙虚に接することを心掛けているという。


「外国の大病院には、尊大に振る舞う医師もいると聞くが、
 ここでは患者が医師に対して気軽に声をかけ、いろいろと要求をする。
 無償医療制度のもう一つの側面だと思う。
 社会主義朝鮮では医師も誠意と使命感を持って人民に奉仕する職業だ」


開院直後、柳京眼科総合病院に入院したヨン・ミョンウォルさん(75)は、
息子と共に平安南道价川市から訪れた。

2012年、歩行中の衝突事故で左目を打撲し、白内障になった。

事故の直後に診察を受けたが、
ヨンさんは「年寄りなのだから、いまさら治療などしなくてもよい」と考え、通院を続けなかったという。

目の疾患を放置している間に物の輪郭がつかめなくなり、明暗しか感じなくなってしまった。

金正恩委員長の現地指導のテレビニュースを息子が見たことが転機となった。
息子は「いくつになっても視力は取り戻せる」と母親を説得した。


ヨンさんは「息子の言う通り、手術を受けてよかった」と語る。
「自分の目でまた明るい世界を見ることができる。
 無償医療は本当に有難い制度。退院したら、息子と一緒に平壌観光をしてみたい」


平壌市力浦区域に住むリュ・チンギョンちゃん(2)は、
遊んでいる最中に突起物が目の周辺に刺さり、緊急入院した。

母親のキム・キョンファさん(30)は、泣き叫ぶ息子を見た時、
「失明するかもしれない」という思いにうちひしがれ、うろたえるばかりだったが、
日頃、検診を行ってくれている医師が
新たに開院した平壌の眼科総合病院で治療を受けることを勧めてくれたという。


「あまりにも立派な病院なので驚いた。
 そして医師の先生たちといろいろ話す内に安堵の胸をなでおろしていた」

チンギョンちゃんは、入院後すぐに手術を受けた。術後の経過は順調だ。
キムさんも社会主義保健制度の良さを体験を通じて実感したという。


「普通の労働者の息子がきちんと治療を受けて手厚い看病を受ける。
 チンギョンも、この素晴らしい社会にしっかりと貢献する人間に育てていきたい」


朝鮮では、人民のいのちと健康を守る社会主義施策が徹底的に実行されている。
無償医療制度も、その適用に例外がない。

朝鮮公民が海外の病院に行くと診察費や治療費が高いことに驚くが、
そこで支払われた費用は、国家によって補てんされるようになっている。

眼科病院の患者にも、そのような体験者がいるという。

リュ副院長は「朝鮮公民は、外国に行くと自国の制度の良さをより深く実感するようになる」と語る。

柳京眼科総合病院を現地指導した際、金正恩委員長は、
近年、最先端医療施設を相次いで新設しているのは、
国が豊かだからではなく、それが社会主義を守る重要な事業であるから
だと述べたという。


拡大する紋繍地区の病院街は、人々に自国への誇りと愛着を抱かせながら、心のこもった医療を続けている。


http://chosonsinbo.com/jp/2016/11/24riyo-jjj02-3/
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ご覧の通りである。

「ミサイルを作るお金があるなら、その分を国民のために~」と
 したり顔で語っている人間が如何に無知であるか、よくわかるのではないだろうか?

(あるいは知っている上で、あえてそのような発言をしているか・・・である)


脱北者であることを全面的にアピールし民主化を叫んでいる人間をはじめとして
どれだけ北朝鮮の悪魔化に奔走しようと、経済制裁という名の経済発展妨害を行おうとも
一向に北朝鮮が自壊しないのは、生存権を保障するシステムが存在し、国民が恩恵を受けているからである。

(メディアに張り切って登場する脱北者と違い、
 実際には多くの脱北者は政治的事情ではなく、経済的事情により
 やむを得ず国を離れており、いずれは本国に戻りたいと願う者も少なくない。)


もちろん、完全に機能しているかどうかは精査の必要があるし、
以前より回復しているとはいえ、まだ食糧事情が完全に克服されたとは言い難い。
(某国家のようにTPPに固執し、食糧自給率を自ら下げようとはしていないが)



だが、少なくとも、どこぞの国のように
毎年、軍事費を増額する一方で福祉費は抑えようとするという真似はしていないことだけは確かだ。



何度も言っているが、日本政府は北朝鮮の「脅威」を口実に軍拡や諸々の改革(というより改悪)に走っている。

「北朝鮮は地獄のような国で、人々は独裁者に苦しめられている!」というのが連中の主張だ。
 そのような国を「民主主義国家」にするためにアメリカと協力して・・・という理屈である。


そういう主張に対して主流左翼は「それは違う」とは言わずに同意してしまう。
「戦争」というプロセスに反対しているだけで「民主化」という目的自体には同意しているのである。


しかしながら、仮に北朝鮮が「民主化」すれば、
他の民主主義国家と同様に、国民は治療のために私費を投じなければならなくなる。



某国家のように、資産の多寡に応じて受けられる医療サービスに差が出来るのが当たり前の社会になる。

(不思議なことに年金カットには非難するリテラも自国が抱える根本的な問題には踏み込もうとしない。
 これは実に不思議なことだ。日本は北朝鮮のような国ではない()のだから、
 もっと積極的に自国の医療制度を批判するべきである)


民主主義・民主化という言葉について、
あまりにも無警戒な主流左翼は、果たしてそこまで考えた上で民主化を叫んでいるのだろうか?


否である。そればかりか自国の政府を批判するために、あえて悪例として北朝鮮を取り上げ、
遠回しに自国の政府が拡散させている悪の帝国北朝鮮のイメージの補強に努めている。


そういう連中が果たして、オルタナティブとして機能するのだろうか?

日本人のほとんどが政治に無関心だったり、ズルズルと与党に従ってしまう原因の一つには
注意深く観察すると主流の左翼が右翼と大差ない意見しか言えなくなっていることがあるのではないだろうか?


よくよく考えてほしいのだが・・・恐らく考えられることはないのだろうと思う。


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