「出来杉英才か・・・。彼は何をやっているか解らない恐ろしい男に見える。」
久米さんはそう言った。
「解らない男ですか・・・。何故です。」
私は聞き返す。
「そうですねぇ。彼は万能の天才みたいな男らしいのだけれども、全てすごくて
何をやっている解らないように思えるのですよ。彼が暗殺されたとき
何にもやっていないのになんで死んだのか解らないって顏をしていたと
当時捜査した警察官が述べていたのを思い出しましたよ。」
久米さんが自説を言う・・。
「でも、彼ほどの男ですから暗殺されるには何らかの意味があってもと
考えている人がと思って理髪店の店主にいろいろ聞いたんですよ。」
私はまくし立てる。
「まあ、多くの人はそう答えるかもしれません。でも私は暗殺の実行犯はです・・・。」
読み終えたワープロ書きの原稿を、机においた。
「ところで、出版するんですよね。」
私は念押しをする。
「するさ・・・。あんた佐賀市内出身で、現在福岡市在住・・・。關東の出版社にも
九州の出版社にも断られた顏だと私はみたが・・。」
久米さんはふふっとした顏をした。
「そうなんですよ。内容が内容なんで九州の方で断られて、關東では如何かと・・・。」
私は困った顏をしながら、久米さんに言った。
「關東じゃ、出版界を藤沼騏一郎に牛耳られているからなあ・・・。
彼の師匠というか親玉が、神路だしなあ・・・。」
久米さんは腕を組んでいた。
「で、あなたの處です・・・。」
という私の応えに
「私は關東の厚木出身でね。もともと關東に本社のある大手出版社にいたんだけれども
危なくなって、永世中立国のここ北陸に亡命して會社をおこしたのさ。」
彼は又、原稿を見た・・。
つづく
久米さんはそう言った。
「解らない男ですか・・・。何故です。」
私は聞き返す。
「そうですねぇ。彼は万能の天才みたいな男らしいのだけれども、全てすごくて
何をやっている解らないように思えるのですよ。彼が暗殺されたとき
何にもやっていないのになんで死んだのか解らないって顏をしていたと
当時捜査した警察官が述べていたのを思い出しましたよ。」
久米さんが自説を言う・・。
「でも、彼ほどの男ですから暗殺されるには何らかの意味があってもと
考えている人がと思って理髪店の店主にいろいろ聞いたんですよ。」
私はまくし立てる。
「まあ、多くの人はそう答えるかもしれません。でも私は暗殺の実行犯はです・・・。」
読み終えたワープロ書きの原稿を、机においた。
「ところで、出版するんですよね。」
私は念押しをする。
「するさ・・・。あんた佐賀市内出身で、現在福岡市在住・・・。關東の出版社にも
九州の出版社にも断られた顏だと私はみたが・・。」
久米さんはふふっとした顏をした。
「そうなんですよ。内容が内容なんで九州の方で断られて、關東では如何かと・・・。」
私は困った顏をしながら、久米さんに言った。
「關東じゃ、出版界を藤沼騏一郎に牛耳られているからなあ・・・。
彼の師匠というか親玉が、神路だしなあ・・・。」
久米さんは腕を組んでいた。
「で、あなたの處です・・・。」
という私の応えに
「私は關東の厚木出身でね。もともと關東に本社のある大手出版社にいたんだけれども
危なくなって、永世中立国のここ北陸に亡命して會社をおこしたのさ。」
彼は又、原稿を見た・・。
つづく